《歯磨き時にかかとを上げるだけでもOK》『ゼロトレ』著者・石村友見さん直伝!運動を習慣化させる「スナック運動」とは?
「ウェルネス(Wellness)」という概念をご存じだろうか。ヘルス(Health)が主に体の健康を意味するのに対して、体の健康だけではなく精神的にも健康で人生に前向きな状態がウェルネス。このウェルネスのために欠かせない要素の一つが運動だ。とはいえ、運動と聞くと尻込みする人もいるかもしれない。そんな人のために手軽に運動を習慣化できる考え方をお伝えしよう。
シリーズ120万部『ゼロトレ』著者の石村友見さんが、「体」と「心」と「つながり」という3つの観点からどうすれば健康で、幸せに生きていけるのかを世界最先端の科学的データと豊富なエピソード、実例を絡めて解説した『Life is Wellness 「健康な生き方」の科学』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。
教えてくれた人
石村友見さん
株式会社Life is Wellness代表、『ゼロトレ』著者、ヨガ講師
劇団四季で『ライオンキング』に出演後、単身ニューヨークに渡り、ブロードウェイ・ミュージカル『ミス・サイゴン』に出演。その後ヨガスタジオを設立し、レッスンからヨガ講師の育成まで尽力。2018年に発表した著書『ゼロトレ』はシリーズ120万部の記録的ヒットとなり、『金スマ』『世界一受けたい授業』など多くのテレビ番組に出演。その後、ハーバード大学医学部「Health and Wellness」講義にて、ウェルネスの観点から世界最先端の栄養学をはじめ運動、コミュニケーションについて学ぶ。人々が「いきいきとした人生」をおくれるように、体と心の両面からサポートすることをミッションとし、レッスン、書籍、講演、インスタグラム、Voicyなどでウェルネスの普及を行っている。また、自身が運営する女性専用オンラインジム「チームゼロ」では、体と心を変えたい女性たちに向けて個人レッスンや勉強会を開催している。そのほか、企業研修や企業とのコラボ、商品開発プロデュースなど多数。現在は、ニューヨークと東京を行き来する生活。11歳男児の母。
習慣化のための「スナック運動」
運動を毎日の生活の中に無理なく入れ、習慣化するために「エクササイズ・スナック」という言葉を覚えておくといいだろう。エクササイズ・スナックとは、まとまった時間を確保して運動するのではなく、スナック(軽食)を食べる感覚でスキマ時間に体を動かすことだ。
最新の研究によると、1日を通して短時間の運動で構成されるスナック運動は、代謝を促進し、持久力を高め、長時間座っていることで起こる筋肉の老化を食い止めることができると言われている。
エクササイズ・スナックの考え方は元々、強度の高い「HIIT」などのインターバルトレーニングから来ているが、そこまで強度のある運動ではなくても、1、2分ほどの「1日の生活の流れに沿って実行可能な運動」でも効果が期待できるし、習慣化しやすい。
・寝起きにベッドに横たわったままエクササイズを行う
・バスでひと駅分の距離を歩いてみる
・駅でエスカレータを使わず、階段をのぼる
・職場のコピー機に溜まった資料を、担当者に持って行く係になる(歩数を稼ぎながら、感謝もされる!)
・子供と遊ぶ
・犬の散歩をする
・風呂上がりにスクワットを数回だけ行う
・歯磨きのときにかかとを上げる
このように、アイデア次第で、運動を取り入れることはいくらでもできるはずだ。ポイントは「生活の中」に組み込むこと。思い出したときにたまに行っても効果は小さく、毎日行うことで力を発揮する。
また、生活動線を思い浮かべて、その道筋に健康器具を置いておくのも効果的だ。毎日かならず使う風呂場の前に体重計を置いておけば乗る習慣がつくし、洗面所の前に青竹踏み(私はこれがお気に入り)を置いておけば確実に乗る。食卓にある茶碗をワンサイズ小さくしておけばご飯の量が減るし、ダイニングテーブルにアナログ時計を置いておけば、針の進みを見ながら「ゆっくり嚙む」習慣が身につく。
いわばウェルネス(Health<ヘルス>が主に体の健康を意味するのに対して、Wellnessは体の健康だけではなく精神的にも健康で、人生に前向きな状態)の自動化だ。
こうしていくと自宅が健康ランドのようになって楽しくなる。小さな目標を立てて、無理なく始め、習慣化し、やがて楽しくなる。
こうして生活の中でスナック運動を実践したり、健康器具を活用したあとは自分を褒めてあげよう。『TINY HABITS』の著者、BJ・フォッグはこれを「celebration」──祝福と呼んでいる。一つひとつの運動のあとに自らを祝福すると、脳内の報酬システムに関わる神経伝達物質・ドーパミンの生成を促し、新しい習慣を脳に定着することができるのだ。