チェックリストで【骨の健康度】を確認!冬場に多い転倒による骨折「大腿骨近位部骨折した男性の死亡率は女性より高いとのデータも」「過度のアルコール摂取、喫煙が骨粗しょう症の原因に」
健康長寿とは、言い換えれば何才になっても自分の足で歩けることだ。その土台を作っているのが「骨」である。年を重ねるにつれて骨折しやすくなり、寝たきりのリスクも上がるため注意が必要だ。骨の健康度をチェックして冬場の骨折トラブルを回避しよう。
教えてくれた人
戸田佳孝さん/整形外科医・戸田整形外科リウマチ科クリニック院長
冬場は転倒しやすく骨折の件数が増える
1年のうちで骨折の件数が増えるのは冬場だという。
日本整形外科学会の全国調査(2021年)によると、大腿骨(だいたつこつ)近位部(脚の付け根、股関節の周辺)骨折の患者数は1月が最も多く、12月、10月、11月と続いた。いずれも1万人を超えており、室内でこたつ布団などに足を引っ掛けたり、厚手の靴下を履き階段をおりる際、滑って転ぶなどの事例が多いという。
『9割のひざの痛みは自分で治せる』(中経出版)など数々のベストセラー著書を持つ整形外科医の戸田佳孝さん(戸田整形外科リウマチ科クリニック院長)が言う。
「冬場は足が冷えることで足底感覚が低下し、足から脳への情報伝達が減って転倒しやすくなることがわかっています。部屋のちょっとした段差や敷物の境目、テーブルや椅子の脚につまずくことで足の小指を骨折したり、そのまま派手に転倒して大腿骨や肋骨、腕などを骨折するケースが多く見られます」(以下、戸田さん)
年を重ねると、転倒による骨折がその後の生活をガラリと変えてしまう恐れがある。
厚生労働省「国民生活基礎調査」(2022年)によると、65才以上の高齢者が「要支援・要介護になる主な原因」は認知症(16.6%)、脳卒中(16.1%)に次いで骨折・転倒が第3位(13.9%)だった。
「大半が大腿骨近位部骨折で、その後、歩行が困難になり、車いす生活や寝たきりになるパターンが多いです」
東大の研究チームが大腿骨近位部骨折で入院した患者を追跡調査した結果、10年生存率が20%未満だったとの報告もある。
「海外の調査では、大腿骨近位部を骨折した男性の死亡率は、女性より高いとのデータもあります」
過度なアルコール摂取や喫煙が原因で骨粗しょう症に
特に、骨粗しょう症で骨が脆くなっている場合は、転倒・骨折のリスクが大幅に増加する。
「骨粗しょう症は女性に多いと思われがちですが、男性患者も約400万人に上ると推計されています。男性の骨粗しょう症は、加齢による男性ホルモン(テストステロン)の低下や過度なアルコール摂取、喫煙や運動不足などが原因と考えられています」
さらに、骨粗しょう症に起因する圧迫骨折(骨密度が低下した腰の背骨が押し潰されることによる骨折)は、男性のほうが高い確率で起こるという。
「東大病院の研究者らが圧迫骨折の有病率を調べるために40才以上の1486人についてレントゲン写真を撮影した結果、圧迫骨折が見つかったのは男性が21.3%で、女性の10.3%より多かったとの報告があります」
「骨粗しょう症リスク」を点検!骨の健康度チェックリスト
【1】牛乳、乳製品をあまりとらない/2点
【2】小魚、豆腐をあまりとらない/2点
【3】たばこをよく吸う/2点
【4】お酒はよく飲むほうだ/1点
【5】天気のいい日でも、あまり外に出ない/2点
【6】身体を動かすことが少ない/4点
【7】最近、背が縮んだような気がする/6点
【8】最近、背中が丸くなり腰が曲がってきた気がする/6点
【9】ちょっとしたことで骨折した/10点
【10】体格はどちらかといえば細身だ/2点
【11】家族に「骨粗しょう症」と診断された人がいる/2点
【12】糖尿病や消化器官の手術を受けたことがある/2点
【13】<男性>70歳以上である <女性>閉経を迎えた/4点
あなたの合計点数は?
<2点以下>健康的な骨。今のところ心配ないと考えられる
<3点以上>今後、骨が弱くなる可能性があるので要注意
<6点以上>骨が弱くなっている危険性あり
<10点以上>すでに骨が弱くなっていると考えられる
※公益財団法人骨粗鬆症財団「骨の健康度チェック」を基に作成
イラスト/河南好美
※週刊ポスト2025年2月7日号
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