《骨粗しょう症4つのサイン》「月経不順」「閉経」「高血圧」「60代」は要注意! “骨の世界的権威”が警笛を鳴らす“前兆”
加齢とともに増え、特に高齢女性に多い「骨粗しょう症」。骨がもろくなってしまう症状だが、事前に自覚することはできるのだろうか。「骨粗しょう症」をはじめ骨代謝の診断・研究・治療の世界的権威でもある東京慈恵会医科大学整形外科学講座主任教授・斎藤充さんが、100年健康に生きるための骨の真実を明かした著書『100年骨』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。
教えてくれた人:斎藤 充さん
東京慈恵会医科大学整形外科学講座主任教授。同大附属病院整形外科・診療部長。1992年、東京慈恵会医科大学卒。2020年より現職。日本骨代謝学会理事、日本骨粗鬆症学会理事、日本人工関節学会理事などを兼務。骨代謝の診断・治療・研究で国内外を牽引する。
自分で気付ける?骨粗しょう症4つのサイン
骨粗しょう症は、音を立てずに進行する病気です。骨密度の低下、骨質の劣化によって骨折しやすくなりますが、その「前兆」はなかなか見つけづらい。ですから、「骨折という一大事に一刻も早く気付くかどうか」、骨折を起こす前に「骨密度が減ったことを知れるかどうか」、「骨質が劣化したことを知れるかどうか」の3つがポイントとなります。
以下の点は、それらのポイントをチェックできるいい機会です。
まず、月経は、年齢が高齢でも若くても、女性が真っ先に気を付けておくべきポイントの1つです。
〈月経不順〉
骨密度が減っても痛みは出ないので、骨密度が減ったことはわかりません。ただ、性ホルモンと骨密度は非常に関係が深いので、
・初潮が遅かった
・閉経が早かった
・生理のあった年数が短い
・生理のサイクルが正常の範囲を超えて短かった
・生理のサイクルが正常の範囲を超えて長かった
など、いわゆるエストロゲンサイクルに問題があった場合、通常の生理としての女性ホルモンの働きがうまく機能せず、骨密度の貯金が少ない可能性があります。痛みとしては感じなくても、月経不順があった方は、骨密度の低下を疑ってみるべきです。
〈閉経、男性60代〉
加齢も骨粗しょう症の大きな危険因子です。
誰でも年齢とともに性ホルモンが減少し、骨質が悪くなり、コラーゲンが劣化していきますが、そこに拍車をかけるのが酸化ストレスです。
性ホルモンがなくなると活性酸素を抑える役割の担い手がいなくなり、からだのコラーゲンは劣化の一途をたどります。──私たち慈恵医大のチームは、性ホルモンが減少するとコラーゲンのAGESが起こり、痛みを感じないまま骨のコラーゲンが劣化することを立証しました。
女性は閉経、男性は60代を超えたら、骨粗しょう症予備軍と思っておく。骨強化適齢期に突入したと心得て、対策に本腰を入れてください。