「こんなはずじゃなかった」を防ぐには 失敗しない高齢者施設の選び方・見分け方を現役介護福祉士が指南
今年、団塊の世代が全員後期高齢者となり、高齢者施設数は入居者数とともに過去最高を記録(※)。一方で、介護施設での虐待件数も最多になってしまったという。2025年1月にも、90才の入居者に沸騰したばかりのみそ汁を飲ませ、重いやけどを負わせたとして、元介護福祉士の男が逮捕されたばかり。こうした被害に遭わないためにも、施設選びは重要だ。知らなかったですまされない施設の実態を現役介護福祉士たちが明かす。
※厚生労働省老健局による令和4年度調査より
教えてくれた人
岡本典子さん/ファイナンシャルプランナー
FPリフレッシュ代表。「終のすみか探し」コンサルタントとして活動。約250の施設を見学。著書に『イザ!というとき困らないための親の介護と自分の老後ガイドブック』(ビジネス教育出版社)など。
失敗しない高齢者施設の選び方・見分け方とは?
“終の住処”と思って選んだ高齢者施設で虐待などされたら目も当てられないが、ほかにも問題が。東京在住の主婦Sさん(54才)は言う。
「私の伯母(82才)は、軽度の認知症があり、グループホームに入居したのですが、ほかの入居者はコミュニケーションが取れないほど重度の認知症のかたばかり。話し相手がおらずつらいと、退去してしまいました」
高齢者施設・住宅は下記のように8類型に大別され、介護度によって入居できる施設が決まっている。しかし、条件が合致しても、入居してみてわかる現実も。
「入居後の“こんなはずじゃなかった”を防ぐには、事前に自分と同程度の介護度の人が多いかを確認し、施設の『重要事項説明書』をよく読むことが大切。金銭面での問題も多いので、入居金、そして居住費、管理費、食費などの月額費用を確認しておきましょう」(ファイナンシャルプランナー・岡本典子さん)
寿命は予測できないため、無理のない選択が大切だ。
まずは知っておきたい!主な高齢者施設・住宅8類型の特徴
※岡本典子さんへの取材をはじめ、複数の資料を参考に編集部にて作成。
※◎○△×は各施設にご確認ください。
【民間の高齢者施設・住宅】
<1>介護付き有料老人ホーム
自立:○/要支援1~2:○/要介護1~2:○/要介護3~5:○/認知症:○/およその入居金:0~数百万円/およその月額費:15万~30万円/特徴:自立型・混合型・介護型がある
<2>住宅型有料老人ホーム
自立:○/要支援1~2:○/要介護1~2:○/要介護3~5:○/認知症:○/およその入居金:0~数千万円/およその月額費:10万~30万円/特徴:介護は外部サービスを利用
<3>サービス付き高齢者向け住宅
自立:○/要支援1~2:○/要介護1~2:○/要介護3~5:○/認知症:△/およその入居金:0~数十万円/およその月額費:10万~25万円/特徴:介護度が高くなると退去の可能性も
<4>グループホーム
自立:×/要支援1~2:要支援2から/要介護1~2:○/要介護3~5:△/認知症:◎/およその入居金:0~数十万円/およその月額費:10万~20万円/特徴:認知症の人に特化した施設
【公的の高齢者施設】
<5>ケアハウス
自立:○/要支援1~2:○/要介護1~2:○/要介護3~5:○/認知症:△/およその入居金:0~30万円/およその月額費:7万~20万円/特徴:自立型と介護型に分かれる
<6>特別養護老人ホーム
自立:×/要支援1~2:×/要介護1~2:×/要介護3~5:○/認知症:○/およその入居金:なし/およその月額費:6万~20万円/特徴:比較的安価で利用できる
<7>介護老人保健施設
自立:×/要支援1~2:×/要介護1~2:○/要介護3~5:○/認知症:○/およその入居金:なし/およその月額費:8万~20万円/特徴:リハビリが中心
<8>介護医療院
自立:×/要支援1~2:×/要介護1~2:○/要介護3~5:○/認知症:○/およその入居金:なし/およその月額費:10万~20万円/特徴:医療ケアを必要とする人が対象