我が家の介護力をチェックしよう プロが教える在宅介護のヒント<4>】
総人口に占める高齢者(65歳以上)の割合が26%(「平成27年版高齢社会白書(概要版)内閣府」より)となり、今後ますます高齢化が進む中、介護のことは誰もが他人事ではいられない時代になってきた。そこで気なるのは、我が家の「介護力」。
介護力とはどのようなものか。介護力がない家庭では、介護はうまくいかないのだろうか。前回に引き続き、株式会社モテギ新宿ケアセンター長、モテギケアプランニング新宿管理者の森岡真也さんに聞いた。
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「介護力」の心配は無用、弱点はプロがフォロー
第2回でもお話ししましたが、介護保険というのは、家庭で行われていた介護を、社会全体で担うために作られた制度です。子育てと介護が重なる場合や、夫婦それぞれの両親の介護が重なるW介護などの負担を減らし、介護離職をなくし、介護をする世代の健康や家庭生活が守られるように、社会全体で担っていこうと制定されたものです。
「介護力」という言葉は、一般的には家族に介護をする人がいるとか、兄弟で分担できるとか、介護のための資金に余裕があるといった意味で用いられているようです。しかし、そういった意味では家庭に介護力は必要ではありません。超高齢社会となった今は老老介護世帯、独居高齢者世帯も増えているため、家庭内だけで介護をするのは難しいケースは多々あります。
ご家庭の介護力がどうなのか、よく分からなくても大丈夫。僕ら介護の専門職が客観的、専門的に介護力を把握し、ご家庭の介護負担が大きくならないよう配慮します。介護力があるなしにかかわらず、どのような家庭環境でも、さまざまな介護サービスを活用して、介護を受ける人とご家族を支える介護のマネジメントをするのが、ケアマネジャーの役割です。
→ケアマネジャーってどのような存在?
我が家の介護力のチェックは必要
ただし、介護に備えるという考え方で「我が家の介護力」を点検しておくと、どういう点をケアマネジャーに相談し、どんなことを介護サービスで補うべきか、整理ができるかもしれません。介護や、終末期に受ける医療については、「まだまだ先のこと」と思うぐらいの時期から、介護をする世代が介護を受ける人の意思を聞いておき、ご自身の伴侶・子供・兄弟などの考えも確かめ、話し合っておくと、いざというときにスムーズです。
家族で介護力について話し合ってみたら、おばあちゃんのことが大好きなお孫さんが「自分ができることはしたい」と言って、思わぬ介護力の存在に気がつく、などということもあります。僕が担当したご家庭でも、お孫さんが中心となって介護を担い、僕ら介護職とも良好なコミュニケーションを築いて、愛情深いケアを見せてくれたケースがありました。
次のような点について、ご家族で話し合い「我が家の介護力」をチェックしておくと備えになります。
とはいえ、介護がいつ必要になり、その期間がどれくらい続くかは分かりませんし、介護を受ける人やご家族の状況も変化します。変化に応じて必要な介護は変わるので、ある時点の「介護力」を深刻に考える必要はありません。