介護で気になる汚れやニオイをすっきり落とす<洗濯機>の選び方|予洗いやつけ置きの手間が減る注目の機能とは?【家電のプロが解説】
在宅介護中、排泄物などの汚れや食べこぼしなどで洗濯が大変…。洗ってもいまいち汚れやニオイがすっきり取れていないような気がする…。そんな気になるニオイや汚れをすっきり落とせる洗濯機選びのポイントを家電ライターの田中真紀子さんに解説いただいた。介護中の洗濯の手間が減る注目の機能とは?
教えてくれた人
田中真紀子さん / 家電ライター
家電ライター/家電を生活者目線で分析し、雑誌やウェブで紹介する家電のスペシャリスト。特に白物家電・美容家電に詳しい。自宅には最新家電を中心に200以上を所有し、年間300以上の記事執筆・監修に携わる。テレビ・ラジオにも多数出演。公式HP https://makiko-beautifullife.com/
洗濯物のニオイに悩んでいる人が多い
在宅介護において「洗濯」にストレスを感じている人も多いのではないだろうか。とくには尿や便がついた寝具や下着は、洗濯機で洗ってもニオイがすっきり取れないという悩みも。
介護ポストセブン実施した「介護のニオイ」に関する調査(n=2342人)によると、「介護のニオイで気になる物や場所」は、1位が「排泄後のオムツ」(757人)。2位の「寝室」(744人)に続いて3位に挙がったのが「下着などの衣類」(666人)、4位「汚れた洗濯物」(665人)だった。
洗濯物のニオイ残りは気になるが、予洗いやつけ置き洗いは手間がかかるもの。1度の洗濯でしっかり汚れを落とせてニオイも取れる洗濯機はないものか――。介護中のご家庭におすすめの洗濯機の選び方や最新機能について、家電ライターの田中真紀子さんに教えていただいた。
「縦型」VS「ドラム式」汚れやニオイが落ちやすいのはどっち?
洗濯機は大別して、縦型洗濯機と、洗濯から乾燥まで自動で行うドラム式洗濯乾燥機がある。衣服についた尿などの排泄物、食べこぼしなどの汚れ、それらのニオイをより強力に洗い落とせるのは、どちらだろうか?
「まず、ドラム式と縦型では洗浄方式が異なります。
ドラム式は、少量の水と高濃度洗剤で洗うため、洗剤の効果が高くなりやすく皮脂汚れに強いとされています。ただし、ドラム式は少量の水を使ってたたき洗いをするため、ニオイが残る可能性があります。
一方、縦型は大量の水の中で衣類を撹拌し、衣類同士を擦り付けることでもみ洗いができるため固形汚れに強いのが特徴ですが、トータルで見ると縦型の洗浄方式のほうが汚れ落ちにも強いとされています。
以上を踏まえると、食べこぼしや排泄物などの固形汚れが多いのであれば、大量の水でじゃぶじゃぶ洗えて、繊維の奥の汚れを水に洗い流せる縦型が向いていると言えるでしょう」(田中さん・以下同)
より洗浄力が高い「温水洗い」や「泡洗浄」も注目
縦型の中でも、とりわけ次のような機能のある洗濯機を選ぶと、洗浄力やニオイ落ちがより期待できるという。
「例えば温水洗浄機能。冷たい水で洗うより、温水で洗うほうが洗剤の酵素が活性化しやすく、油落ちも良くなるからです。
また、洗剤は泡立ててから使うことでも洗浄力がアップするので、泡洗浄機能を搭載したものもあります。そのほか、ウルトラファインバブルと呼ばれる1μm未満の微細な泡を発生させ、繊維の奥の汚れまでスッキリ落とす機能を搭載した洗濯機もおすすめです」
「つけ置き」や「予洗い」の手間を省くには?
いくら洗浄力の強い洗濯機でも、頑固な汚れやニオイがあるなら、洗濯機に入れる前につけ置きや予洗いをした方が安心だが、それなりに手間がかかってしまう。
「最近は洗濯機のコースの中に、つけ置きや2度洗い、また予洗いの機能が搭載されたモデルも出ていますので、こうした洗濯機を選ぶと手間も時間も省けますね」
あるいは、洗濯機ではないが、予洗いに便利な“超音波洗浄機”というアイテムもおすすめだという。
「超音波洗浄機は、超音波で繊維に付着した汚れを飛ばすので、洗濯物をこすることなく落としてくれます。尿や汗じみはきれいに落ちているように見えても繊維に残っていると、黄ばみの原因にもなるので、1回に限らず毎回使いたい。そう考えると、継続して使いやすいか工夫がされているかどうかは重要なチェックポイントになります」
あると便利なのは「洗剤自動投入」機能
さらに、洗濯にまつわる手間を減らすなら、洗剤自動投入機能がついた上位モデルを選びたい。
「洗剤自動投入機能はとても便利ですので、ぜひ取り入れてほしいですね。洗剤のボトルを取ってくる、計量する、元に戻すといった作業が不要になるうえ、洗濯物の量に合わせて正確に測ってくれます。
洗剤は多すぎてもすすぎ残りの原因や無駄になりますし、少なすぎても汚れが落としきれないので、正確に測る必要があります。洗剤の置き場所に悩まなくなるのも助かりますね」
最後に、汚れやニオイをパワフルに落としてくれるおすすめの洗濯機を2点、教えてもらった。
【1】東芝ライフスタイル『ZABOON 縦型洗濯乾燥機 AW-12VP4』
約20万円(税込)※2024年11月21日時点の実勢価格(編集部調べ)。
https://www.toshiba-lifestyle.com/jp/laundries/aw-12vp4/
洗浄力では田中さんもお墨付きなのが、ウルトラファインバブルを搭載した、こちらの縦型洗濯乾燥機に注目。
冷水でも汚れが落ちやすいウルトラファインバブル
「ウルトラファインバブル発生装置から、繊維のすき間より小さな直径1μm未満(0.001mm未満)の泡が放出され、洗濯洗剤と混ざり合います。
そして洗剤を繊維の奥まで浸透させて見えない汚れを落としてくれるのです。さらにすすぎの際もウルトラファインバブルを使うので、すすぎ残りも抑えてスッキリ。
冷たい水でも汚れが落ちやすいのがうれしいですね。繊維に蓄積した汚れは黄ばみの原因になりますが、そのような衣類の傷みも防いでくれます。銀イオンによる抗菌効果も期待大」
なお、「温か洗いコース (洗濯容量5kgまで)」は、衣類とウルトラファインバブルの洗剤液を温風で温めることで、さらに洗剤の効果がUP。汚れ具合に合わせてつけおき時間は2・3・5・7・9時間で設定可能だというから、心強い。
【2】アクア『全自動洗濯機 Prette plusシリーズAQW-VX14R』
16万5000円(税込) ※2024年11月21日時点の実勢価格(編集部調べ)。
https://aqua-has.com/product/vx14r/
こちらは、前洗いに便利な「超音波部分汚れ洗浄機能」を搭載した縦型洗濯機だ。
部分汚れの前洗いに最適な“超音波”による予洗い機能
「食べこぼしには、超音波で予洗いできる洗濯機が便利。クリーニング店のシミ落としにも使用されている超音波技術をヒントに開発された超音波部分汚れ洗浄機が本体に設置されており、自動で洗剤液も流し込んでくれるので、あとは汚れに超音波ホーンを軽く押し当てるだけ。
こすり洗いをしなくても、繊維の奥の汚れを弾き飛ばしてくれます。汚れた水は、洗濯槽外に流してくれるので、あとはそのまま洗濯機に入れて、ほかの洗濯物と一緒に洗えばOK」
ガンコな汚れを予洗いできるだけでなく、汚水は洗濯槽外に排出。洗濯物を分けずに一度に洗えるので、洗濯回数も減って経済的だ。
どちらの洗濯機も、洗剤の自動投入機能が搭載されており、洗濯容量も12㎏以上とたっぷり洗える。介護中の衣類の汚れ・ニオイに悩んでいる人は、こうした洗濯機を使えばストレスが軽減されるのではないだろうか。
取材・文/桜田容子