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暮らし

介護しやすい部屋とは?暮らしの中で「やめるべき」8つのポイントを家事アドバイザーが指南

 介護は突然始まることが多い。いざというときに備えて、部屋の中をチェックして家具類や生活スタイルを見直しておきたい。元気なときには気がつかない、ささいな段差が転倒の原因になる可能性も。節約・家事アドバイザーの矢野きくのさんに、介護をしやすい部屋作りに必要な8つのポイントを教えてもらった。

 

この記事を執筆した専門家

家事・節約アドバイザー・矢野きくのさん

家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ・講演・連載などで活動。NHK『ごごナマ』準レギュラー他テレビ出演多数。新聞での連載のほか自動車メーカー、家電メーカーなどの企業サイトでコラムの執筆経験も。近年は中高年層の家事アドバイスや家庭でできるSDGsについての講演、SNSでの情報発信でも活動している。著書『シンプルライフの節約リスト』、『「節電女子」の野菜レシピ!』など。https://yanokikuno.jp/

介護しやすい部屋とは?

 家族に高齢のかたがいる場合、家の中をそれまで通りにしておくと怪我や思わぬ事故の元となってしまうこともあります。高齢の親御さんに介護が必要となってきたら尚のこと、部屋を片付ける必要が出てくるものです。

 介護を必要とされるかたが自分で動けるのか、そうではないのか。また認知症を患っているか、そうではないのかによっても整えるべき部屋の状況は変わってきますが、今回は一般的に高齢者が過ごすための快適な部屋作りについて考えてみたいと思います。

1.布団で寝るのをやめる

 高齢者のかたは、畳に布団を敷いて寝ることが多いかもしれませんが、できればベッドで寝るほうが体の負担が少ないといえます。

 布団から立ち上がるという動作は、思っている以上に体力が必要になるもので、立ち上がるときに転んで怪我をするということも多くあります。畳の上にマットレスと布団を敷いていて寝ていたら、立ち上がるときに足をひねって骨折してしまったという知人もいました。足腰が弱ってくると、布団と畳といった、ちょっとした段差も事故の原因になりかねません。

2.床に座るスタイルをやめる

 食事や休憩するときなど、床に座るスタイルをしている場合、こちらもベッドと一緒で立ち上がるときに危険が伴うことが考えられます。

 食事をするときなど椅子のほうが姿勢も保ちやすく、いずれ車いす生活になったときのことも考えると、床に座る生活をやめておくことをおすすめします。

3.床に物を置くのをやめる

 高齢のかたの居住部屋はもちろんのこと、利用しそうな部屋は極力、片付けておくようにしましょう。とくに床に直に物を置くのはやめ、棚などの収納場所を決めてきちんと片付ける習慣をつけたいもの。床に荷物が散らかっていると足を引っかけて転倒の危険性もあります。

4.ケーブル類の“ぐちゃぐちゃ”をやめる

 リビングでも寝室でも昔に比べて電化製品が増えた今、部屋の中にコードがあちこちに這っているご家庭も珍しくないでしょう。

 床の上だけでなく、ベッドにつけている照明のコードなど、あらゆるコードがひっかかりの原因になります。100円ショップなどでも売っているコードカバーを利用して、すべてのコードが隠れている状態にしましょう。

5.転倒の原因になるマットやラグをやめる

 床にマットやラグを敷いているご家庭もあると思いますが、これらも転倒の原因になるので見直したほうが良いでしょう。

 前述の布団やマットレスの段差で骨折した例のように、介護が必要なかたにとっては本当に少しの段差でも引っかかってしまうことがありますし、小さめのマットであればめくれてそこに足を取られるという転び方をする可能性もあります。

 一度、部屋全体を「引っかかる物はないか」という視点でチェックしてみることをおすすめします。

6.大きな家具はしっかり固定を

 ちょっと体勢をくずして倒れそうになったとき、人は無意識に近くにあるものにつかまります。その際、つかまったタンスが倒れてきてしまったりすると大怪我になることも。

 タンスや本棚など大きな家具には、L字金具などを使って壁にしっかりと固定しておくようにしましょう。

7.家具の角には危険がいっぱい

 小さなお子さまがいるご家庭なら、家具などの角にカバーをつけていることでしょう。高齢のかたがいるご家庭でも同じです。

 転んだ瞬間や、体勢をかがめていて起き上がったときに角にガツンとぶつけるようなこともあります。大人は子どもよりも背が高い分、角という角が危険になることも。100円ショップなどでも売っているコーナーガードで気になる部分をカバーしておくといいでしょう。

8.貴重品を出しっぱなしにしない

 本格的な介護が始まり介護士さんやケアマネさんなど家族以外の方が家に出入りするようになったらとくに、貴重品類は人目につかない場所や、他の人が入らないところで管理するようにしましょう。

 介護にかかわるかたを疑うということではなく、もしも何かがなくなったときに他人が出入りしているとどうしてもその人に目がいってしまうので、大事なものは収納する場所を決め、しっかり管理できるようにしておきましょう。

介護を快適にする部屋作り【まとめ】

□就寝:布団→ベッドへ

□食事:床に座る→テーブルと椅子へ

□荷物:床→棚へ

□コード類:すっきりまとめる

□敷物:マットやラグ→やめるか、引っかりがない、滑りにくいものへ

□家具:倒れる恐れのある大型の家具→転倒防止の工夫を

□家具:角張った部分→コーナーガードでカバーを

□貴重品:収納場所を決めておく

 このほか、食事などするリビングから浴室やトイレまでアクセスしやすいように片付けておくなど、動線を確認しておくといいでしょう。

 介護は急に始まることが多いので、まだ元気なうちに家の中をチェックしておくこと。部屋の中で転倒する危険がないか、介護をする人もされる人も快適な部屋作りを少しずつ始めておくことをおすすめします。

●高齢者が安心・安全に使えるキッチン収納3つのポイント「包丁差しは見直すべき」|矢野きくのさん

●シニア世代は「やめ家事」を!玄関掃除をラクにする方法を矢野きくのさんが指南

●自宅を終の棲家にするメリット・デメリット|部屋別リフォームのポイントを専門家が指南

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