介護の「人員配置基準」にローカルルール存在 厚労省が実態調査
介護分野における「人員配置基準」は、基本的に全国共通のルールが存在しているが、実際には自治体ごとの解釈や運用に違いが生じている。例えば、厚生労働省令で定められている人員配置基準などに従う範囲内で、自治体によって管理者が兼務できる職種数の上限や、介護職員に求められる資格要件などが異なることが多い。
厚生労働省は、このような地域ごとの違いを把握し、介護事業者の負担を軽減するため、「人員配置基準のいわゆるローカルルールの把握・整理」(実施主体:株式会社三菱総合研究所)を実施している。
ローカルルール実態把握の目的
この事業は、複数の自治体で広域展開している法人のあいだで、自治体によって人員配置基準の解釈が大きく異なることが負担であるという声があることなどから、介護分野の人員配置基準について、異なる解釈や取扱い(いわゆるローカルルール)の実態把握・整理・分析等を行うことが目的とされている。
ローカルルールの実態
「人員配置基準等に関するいわゆるローカルルール」の主なものとして
(1)管理者の兼務
(2)管理者の経験・資格
(3)従業者の兼務
(4)従業者の経験・資格に関するもの
その他のものとして、「事業所をまたぐ兼務について、原則として常勤ではなく非常勤として扱い、時間を分けて勤務体制を設定」「病気等の休暇で欠けた場合に対応することを想定した人員配置基準を超える実人数確保の規定」「夜間及び深夜の時間帯に勤務する従業者における特定の資格所持の規定」などが挙げられる。
(出典)厚生労働省老健局老人保健課調べ
今後の展望
ローカルルールの実態を把握し、介護サービスの全国的な標準化を目指すため、各都道府県及び市区町村や介護保険関係団体を通し、11月22日まで事例報告や要望を受け付ける専用フォームを開設している。また、受付フォームに回答のあった事例・要望については、本年度末に取りまとめの上、公表予定としている。
構成・文/介護ポストセブン編集部