全盲の精神科医が語る「目が見える」で成し遂げられること「目が見えている人は“超能力者”。見えるからこそ分かることがたくさんある」
今でこそ買い物は優しい友人が付き添ってくれるので、彼の策略でスイーツを買わされることはあっても、間違った商品を買ってしまうことはなくなりました。
なので一番大変だったのは、まだかろうじて残っていた視力を頼りに1人で買い物をしていた頃です。
帰宅して食べる時までおにぎりの具は分かりませんでしたし、玉子サンドかツナサンドかも賭けでした。同じ弁当や同じサラダを複数買ったことも何度もあります。
目が見えていれば、仮に同じ形状の商品でも、色の違いや説明表記で判別できます。
しかし見えていないと、一体どっちが自分の目当ての物なのか、それはまるで時限爆弾の解除で赤と青のいずれのコードを切るかのごとく、どんなに迷っても決め手がなければ、最終的には選択を天に任せるしかないのです。
そんなわけで運試しに溢れた私の日常。まあブロッコリーとカリフラワーはもともと違いが分からないので、どっちに転んでも良いのですが、サラダ油と間違って台所洗剤で目玉焼きを焼いてしまった時には、その驚異の味にのた打ち回りました。
ただ私がお伝えしたいのは、自分がこれだけ大変だということではなく、目が見えているみなさんはそれだけすごいことをやっているんだということです。
やはり、目が見えるというのは超能力。見えるからこそ見えるもの、分かることがたくさんある。
自信を持ってください。誇りを持ってください。あなたはすごい力を持っているんです。それは決して当たり前なことではありません。