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ジャーナリスト・鳥集徹さんと本誌取材班が徹底取材 名医5人だけが知る<認知症の名医リスト>【全国版】

 もの忘れがひどくなって趣味や外出はおろか、日常生活までままならなくなり、周囲に負担をかけるーー。認知症にそんな「何もかもが不自由で苦しい」イメージを持ち、不安や恐れを抱く人は多いだろう。しかし、いい伴走者を見つけ、しかるべき処置をすれば穏やかかつ幸せに過ごすことは可能だ。ジャーナリストの鳥集徹さんと本誌取材班が徹底調査した認知症の名医達を紹介する。

2035年には65才以上の6〜7人に1人が認知症になる時代に

 女性の長寿率は高止まりのまま、じわりじわりと上がってすらいる。2023年9月の厚生労働省の発表によると、日本全国の100才以上の高齢者の数は過去最多の9万2139人。そのうちの約9割(88.5%、8万1589人)が女性だ。本誌の読者にも、将来百寿を迎えられる人がたくさんいるだろう。

 そんな“人生100年時代”の到来を心身ともに健康な状態で謳歌する人がいる一方で、認知症になる人も増えている。今年5月8日に開催された内閣官房の「認知症施策推進関係者会議(第2回)」に提出された資料によると、2022年時点での認知症患者数は443.2万人にも上る。有病率は65才以上の約8人に1人(12.3%)だ。

 そして、いまからおよそ10年後の2035年には患者数が100万人以上増え、有病率も6~7人(15%)に1人まで上昇すると推計されている(九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野教授・二宮利治「認知症及び軽度認知障害の有病率調査並びに将来推計に関する研究」)。

 そうした数字を見る限り、長生きすれば誰もが認知症になることを覚悟すべきと言えるだろう。

 認知症は発症すると、暴言・暴力や徘徊を繰り返して家族の負担となり、介護施設や精神科病院で暮らさざるを得なくなる人がいる。介護する家族が疲れ切って、共倒れのようになってしまうこともある。その一方で、記憶を失っても、家族とともに穏やかに生活できる人も少なくない。

 認知症になれば、誰もが不幸になるわけでは決してないのだ。では、家族や自分が認知症になったとき、患者も周囲も平穏に暮らしていくためにはどうすればいいのか。

家族の認知症介護に困らないために「名医」との出会いが必要

 そのカギを握るキーパーソンのひとりが、認知症治療の医師だ。

 近隣の地域を探せば、「もの忘れ外来」や「メモリークリニック」を標榜する医療機関が見つかるはずだ。また、全国には都道府県知事または政令指定都市の市長から「認知症疾患医療センター」に指定された医療機関もある。そうした専門施設にかかれば診断・治療が受けられるだけでなく、介護や看護の道筋もつけてくれるだろう。

 ただし、認知症の専門医療機関だからといって、必ずしも的確な診断・治療やサポートが受けられるとは限らない。

 場合によっては不適切な薬の処方や不充分な診察のために、かえって症状が悪化したり介護者が悩んだりするケースもある。

 そこで、豊富な知見と治療経験を併せ持ち、患者と家族に寄り添う認知症の「名医」5人に加えて、認知症の診療で信頼できる全国の医師を紹介してもらいリスト化した。

 誰もが認知症になりうる時代、「その日」に備えて参考にしてほしい。

ジャーナリスト・鳥集徹と本誌取材班が取材した認知症の名医5人

岸川雄介さん / 安曇野ななき診療所・院長

長野県安曇野市

【特色】

 米国アルツハイマーセンターで臨床経験を持ち、認知症を「病気ではなく症候群」だととらえて世界標準の脳機能診断のやり方で丁寧に診察し、適切な選択肢を提示。患者本人に加え、「治療の7割は家族を助けること」という信条のもと、詳しい介護アドバイスを通じて介護者の心のケアにも重点を置く。

長田乾(けん)さん / 横浜総合病院・臨床研究センター長

神奈川県横浜市

【特色】

 治療に加え、最新の機器を使った画像診断や生活習慣病をはじめとする危険因子の評価などから認知症発症リスクを判定し、予防や進行抑制のためのアドバイスも行う。お酒を飲みながら患者や介護者、医療スタッフが語り合う「あざみ野オレンジバル」も話題に。

平川亘医師 / 誠弘会池袋病院・副院長

埼玉県川越市

【特色】

 脳外科医としても豊富な経験を持ち、CTやMRIによる精密検査の結果を正確に読み取り、適切な診断を下す。「ドネペジル」をはじめとした薬の処方についても独自の研究に基づく豊富な知見を持ち、他院の医師たちからも厚い信頼を得ている。

高瀬義昌さん / たかせクリニック・理事長

東京都大田区

【特色】

 認知症患者の在宅医療のエキスパート。総合診療科や精神科と連携し、患者の全身を診る。減薬の専門家でもあり、多剤併用に伴う弊害にも対峙。「最適な薬を必要最低限の量で、最大の効果を」を信条に患者を日々観察しながら“最適解”を処方する。(※名前の高ははしごだか)

西村知香さん / くるみクリニック・院長

東京都世田谷区

【特色】

 神経内科医として脳梗塞治療などの経験を積んだ後、全国でも数少ない認知症に特化した個人クリニックを開業。カウンセラー・精神保健福祉士とチームを組み、介護者の心のケアに注力。地域に根ざし、具体的な施設やサービスも紹介する。

5人の名医達が信頼する認知症の名医24人を紹介

大田秀隆さん(秋田大学高齢者医療先端研究センター/センター長)

秋田県秋田市

【特色】

 豊富な臨床経験で最善の選択に患者を導く若手のホープ。予防医療の発展のため研究やデータ収集にも注力。

白土綾佳さん(あやか内科クリニック/院長)

茨城県笠間市

【特色】

 「病気だけではなく全身を診る」を信条に全力で患者と向き合う。「コウノメソッド(※)」も取り入れる。

(※)怒りっぽさや活気のなさの改善をなるべく少量の薬で行う治療法。専門医の河野和彦氏によって提唱された。

大澤誠さん(大井戸診療所/院長)

群馬県伊勢崎市

【特色】

  認知症患者を対象とした在宅医療に積極的に取り組む。「本人の行動の意味を探って治療に役立てる」がモットー。

松野晋太郎さん(市川フォレストクリニック/院長)

千葉県市川市

【特色】

 最新の技術を用いた医療に加え、介護者の笑顔を取り戻せる愛と調和のコミュニケーションを提供。

笠貫浩史さん(聖マリアンナ医科大学病院/教授)

神奈川県川崎市

【特色】

  認知症疾患医療センターとして早期診断・治療・支援を担当。特にレビー小体型認知症の診療に注力する。

福井俊哉さん(かわさき記念病院/院長)

神奈川県川崎市

【特色】

 外来診察と入院診療の両輪で患者と家族に併走。正しく診断をつけることと適切な治療を心がける。

長濱康弘さん(かわさき記念病院/副院長)

神奈川県川崎市

【特色】

 脳神経および内科での豊富な診療経験を持ち、患者に最適な治療を提供。講演活動による発信も多数行う。

繁田雅弘さん(医療法人社団彰耀会栄樹庵診療所/院長)

神奈川県平塚市

【特色】

 医療の枠を超え、患者を多面的に支援。カフェや講習会などを通して地域で啓発活動を行う「SHIGETAハウス」も主宰。

内門大丈(ひろたけ)さん(医療法人社団彰耀会メモリーケアクリニック湘南/院長)

神奈川県平塚市

【特色】

 「人とのつながりこそがいちばんの薬」が信条。「SHIGETAハウス」の副代表としても情報発信を行う。

日暮雅一さん(ほどがや脳神経外科クリニック/院長)

神奈川県横浜市

【特色】

 脳神経外科専門医としての経験と知識を武器にロジカルかつ情熱的に患者に対峙。院内には最新機器も完備される。

山崎貴史さん(横浜総合病院/神経内科部長)

神奈川県横浜市

【特色】

「来院した患者は全員診る」がモットー。予約や紹介状なしでも検査から治療方針の相談まで迅速かつ丁寧に1日で完了。(※名前の崎はたつさき)

八森淳さん(医療法人MoLead つながるクリニック/院長)

神奈川県横浜市

【特色】

 横浜の巨大団地で地域密着型の外来・訪問診療を行う。認知症患者と家族に寄り添い、総合的に診察。

新里和弘さん(東京都立松沢病院/リハビリテーション科・精神科医長)

東京都世田谷区

【特色】

 薬物を用いた治療のみに留まらず、症状が軽減する環境作りや生活習慣の改善にも尽力する。

齋藤正彦さん(東京都立松沢病院/名誉院長)

東京都世田谷区

【特色】

 前院長として日本最古の精神科病院の発展に寄与。認知症専門医として豊富な臨床経験に基づき講演や執筆で情報発信も積極的に行う。

井関栄三さん(シニアメンタルクリニック日本橋人形町/院長)

東京都中央区

【特色】

 認知症発症後の治療に加え早期診断と予防治療も積極的に行う。老年精神科医、レビー小体型認知症の専門医として高名。

眞鍋雄太さん(神奈川歯科大学附属 歯科・健脳クリニック日本橋/副院長)

東京都中央区

【特色】

 早期発見を実現する「健脳ドック」を完備しつつ、医科と歯科で連携を取り、包括的な治療を提供する。

新井平伊(へいい)さん(アルツクリニック東京/院長)

東京都千代田区

【特色】

 「アルツハイマー病研究者世界トップ100」に選出された経歴を持ち、日本のアルツハイマー治療を牽引する。

水上勝義さん(筑波大学人間総合科学学術院/教授)

東京都文京区

【特色】

 薬の投与から家族と患者のコミュニケーションの取り方まで認知症治療全般を網羅。後進の育成にも注力。

木之下徹さん(のぞみメモリークリニック/院長)

東京都三鷹市

【特色】

 本人同士の交流や「ピアサポート」と呼ばれる支え合いを積極的に実施。早期発見のための検査体制も万全。

片山禎夫さん(片山内科クリニック/院長)

岡山県倉敷市

【特色】

 診断はもちろん、その後の生活スタイルから進行予防、地域のサービスまで家族ごと相談に乗る。

大塚智丈さん(三豊・観音寺市医師会三豊市立西香川病院/院長)

香川県三豊市

【特色】

心理的支援が中心の治療に加え、重度認知症の人を対象にデイケアも実践。本人の生き方や個性に合わせて対応。

谷向知さん(愛媛大学医学部附属病院/看護実践教育研究サポートセンター センター長)

愛媛県東温市

【特色】

 生活に視点をおいた診療を行い、若年性認知症支援コーディネーター、県の家族会顧問など地域活動にも熱心。研究にも注力する。

内田直樹さん(たろうクリニック/院長)

福岡県福岡市

【特色】

 在宅医療の専門医として町を“認知症フレンドリー”とする取り組みを行う。オンライン診療も実施。

平山貴久さん(ひらやま脳神経外科/院長)

鹿児島県鹿児島市

【特色】

「コウノメソッド」と栄養療法、漢方を主軸に、丁寧な対応を心がけながら患者・家族と向き合っている。

※参考/東田勉『「認知症」9人の名医』(ブックマン社)

※女性セブン2024年9月26日・10月3日号
https://josei7.com/

●認知症予防のためのシニア向け「生成AIおしゃべりアプリ」 産学官で開発へ 横須賀市 

●認知症の母の排泄問題に悩む息子が実践する「デイサービスに学んだトイレの声かけ」の工夫と対策

●精神科医・和田秀樹さんら名医の朝食を拝見!「朝食を抜くと認知症のリスクが高まる 炭水化物やたんぱく質の摂取はマスト」

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