認知症予防のためのシニア向け「生成AIおしゃべりアプリ」 産学官で開発へ 横須賀市
神奈川県横須賀市は、85歳以上の高齢者数が2020年〜2030年にかけて約1.5倍に増加する(「国立社会保障・人口問題研究所推計(国推計)」)と推計される状況に対応するため、認知症の発症を予防するため、生成AIと音声で会話できる新しいサービスの開発を発表した。
音声会話型おしゃべりAIアプリ「Cotomo」を開発したStarley株式会社および脳科学研究を行っている学術機関と協力して、生成AI技術を活用した認知症予防のための新たなサービスの開発を目指している。
認知症予防に向けた生成AIとの会話サービス開発
高齢者を対象とした認知症予防に重点を置き、高度な音声会話生成技術を活用し、24時間365日、いつでもどこでも本当に人と話しているような体験を提供するとともに、脳科学研究を行っている学術機関が、認知症予防効果を医学的知見から検証する。
狙いは、生成AIを用いてコミュニケーションの機会を増やすこと、さらにAIに昭和のニュースを学習させることで、会話中に過去の記憶を呼び起こす効果を期待するというものだ。 このサービスは2024年10月から横須賀市内の介護施設や地域包括支援センターで試験的に導入される予定となっていて、検証結果を基に、今後の展開が検討される予定だ。使用するニュースデータは、法令に従い、著作権に配慮して収集される。
他者との交流が認知症予防に寄与
複数の研究から、他者との交流頻度が少ない高齢者ほど認知症を発症するリスクが高いことが指摘されている。横須賀市が導入する生成AIとの会話サービスは、交流機会の少ない高齢者に新たなコミュニケーション手段を提供し、認知症予防に寄与することが期待されている。AIとの会話が交流の一助となり、記憶を呼び起こすことで、認知機能の維持にもつながる可能性がある。
横須賀市の試験導入が成功すれば、生成AIを用いた認知症予防サービスがさらに広がる可能性がある。今後もこのような新しい技術が、認知症予防にどのように貢献できるか注目されるだろう。
構成・文/介護ポストセブン編集部