真夏に部屋で過ごす高齢者が注意すべき4つのこと「部屋の温度を上げない工夫」を家事アドバイザーが指南
猛暑が続いているが、部屋で過ごす高齢者や介護中の人に、部屋の温度管理のコツを節約・家事アドバイザーの矢野きくのさんが指南。エアコンで温度を下げる前に、そもそも部屋の中の温度を上げない」工夫をするのが先決だという。具体的な対策を伺った。
この記事を執筆した専門家
家事・節約アドバイザー・矢野きくのさん
節約・家事アドバイザー。防災士の資格を持つ。家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ・講演・連載などで活動。NHK『ごごナマ』準レギュラー他テレビ出演多数。新聞での連載のほか自動車メーカー、家電メーカーなどの企業サイトでコラムの執筆経験も。近年は中高年層の家事アドバイスや家庭でできるSDGsについての講演、SNSでの情報発信でも活動している。著書『シンプルライフの節約リスト』(講談社)、『「節電女子」の野菜レシピ!』(アスコム)、『50代からの自宅の片づけ 実家の片づけ』(扶桑社ムック) など。https://yanokikuno.jp/
「室温を上げない」ためにすべき4つのこと
連日のように「猛暑だ、酷暑だ」というニュースが続いています。その中でもやはり気にしなくてはならないのが熱中症です。
とくに影響を受けやすい高齢者のかたは気をつけなければなりません。熱中症にならないためには、エアコンを利用して室温を適温に保つことや、水分を接種することなどありますが、まずいちばん初めにチェックしておきたい「室温を上げない工夫」についてご紹介します。
直射日光が室内に入るのを遮る
当たり前のことですが直射日光が部屋に入ると室温は上がります。同じ家でも直射日光があたっている部屋とあたっていない部屋では室温が5度くらい違うことも珍しくありません。
そうなると、エアコンの設定温度を1度上げるとかいうレベルではなく室温も変わってくるので注意が必要です。
家の環境によって取れる方法は変わりますが、オーニング(日よけ)や、よしず、すだれなどを窓の外に設置して直射日光が入るのを遮りましょう。
それができない場合は、窓を閉めてエアコンをつけているのであればカーテンを閉めて直射日光を遮るのも良いでしょう。
日が落ちてからの打ち水も効果的
昔ながらの打ち水も効果はあります。ただし日中、カンカン照りのときにやってもモワッとした熱気が入ってきてしまうだけなので、基本的には夕方以降、日が落ちてからやるのがおすすめです。お風呂の残り湯などを使うのも良いでしょう。
土がないと打ち水は効果がないと思われるかもしれませんが、たっぷり撒けばコンクリートでも効果はあります。また最近はベランダに敷く用の保水力が高いマットも市販されているので、マンションなどにお住まいの場合は、そのようなものを使うのもおすすめです。
いったん窓を閉めて、よしずやすだれに水をかけることでも涼しい風が入ってくるようになりますよ。
調理中に熱を出さないようひと工夫
キッチンで調理をしていると一気に室温が上がってしまいます。これはガス火だけでなく、IHコンロの場合も鍋から出る湯気などで室温が上がるものです。これらを意識して避けることも大切です。
まずは電子レンジ加熱で済むものは電子レンジを活用します。
たとえば麦茶をやかんで煮出すのではなく、カップ1杯の水に麦茶のパック1つを入れて電子レンジ600wと3分加熱します。
その後、カップに蓋をしたまま2~3分蒸すと濃い目の麦茶が出来上がるので、それを水で割り麦茶の完成です。
野菜の下茹でや煮込み料理も電子レンジで調理することで室温を上げずに済みます。
また、コンロで加熱する場合も、鍋やフライパンなどに蓋をすることで熱を封じ込めることが可能です。調理中は換気扇を強でまわすことで、熱せられた空気を外に出すことができます。
開ける窓によって風の量が変わる
エアコンをつけていない時間帯に窓を開けているようであれば、その開け方も重要です。まずは2か所以上の窓を開けることで風通しがよくなります。
しかし、どの窓でも開ければいいというものではありません。その家ごとの環境によって変わりますが、右の窓と左の窓、どちらを開けたほうが風通しがよいか試してみてください。他の部屋の窓の開け方との組み合わせも試す必要があります。
こればかりは、家ごとに実験してみないと分からないものです。
たとえば2階の右の窓を開けたら、階段を通って1階に風が来るようになったとか、空き地だった南側に家が建ったら、風が強く入るようになったとか、様々なケースがあります。まずはいろいろ試してみてください。
ご紹介した内容は、どれも珍しいものではありませんが、実は意外と多くの方が気にされていないというのも事実です。シニアのかたはエアコンが苦手という人も多いので、室温を上げない工夫は最初に手をつけてほしいところです。
まずはぜひ試してみて、その効果を実感してください。
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