「実家の相続を放棄したい理由」ランキング「1位はコスト問題」後悔しない相続のためにしておくべきことを専門家が考察
「遠く離れた実家や築年数が古い家を相続したくない」と考える人が多いようだ。一般社団法人あんしん解体業者認定協会が行った調査によると、相続を放棄したい理由は「コスト」の問題だったことが判明。相続にかかる費用の問題点などを、税理士が考察。ランキング結果とともにレポートする。
実家の相続を「希望する・希望しない」あなたはどっち?
亡くなった人の財産や権利・義務を、残された家族が引き継ぐ「相続」。相続する場合でも、手放す場合でも書類を準備したり、申請に期限があるため早急な対応が必要となる。
あんしん解体業者認定協会が行ったアンケート結果では、自分が住まないのに固定資産税だけがかかる状態を回避するために、相続放棄を検討する人も多いようだ。
ただ相続放棄すると、実家だけではなく現金などの財産も放棄することになる。実家はいらないが現金だけ相続したい場合には、「生前のうちに親に実家を処分してもらう」「実家を含めて相続したうえで売却する」などの方法がおすすめだという。
「実家の相続を放棄したい理由」ランキング8
まずは、アンケート結果からみていこう。実家の相続を放棄したいと思っている人へのアンケート調査によると、
1位は「相続・相続後にコストがかかる(43人)」、2位は「資産価値が低い(39人)」、3位は「管理が難しい(28人)」だった。
実家の相続を放棄したい理由
<1位>相続・相続後にコストがかかる/43人
●相続税や手間などを考えると、損することになりそう(30代男性)
「税金の支払いが大変」と答えた人が目立った。相続する遺産の額によっては、相続税がかかる。また不動産を相続したあとは、自分が住んでいなくても、毎年固定資産税・都市計画税が課されたり、リフォームや維持管理にもお金がかかるため、「実家の相続はコスト面でデメリットが大きい」と感じる人が多いようだ。
<2位>資産価値が低い/39人
●土地や建物の値打ちがなく、売りに出しても買い手がつかなさそう(40代女性)
「立地が良くない」「古い」などの理由で、実家の資産価値が低いと考えている人も多数いた。相続の経済的なメリットが少なく、相続放棄を検討しているパターンの1つ。
<3位>管理が難しい/28人
●実家がとても遠く田舎なので、管理しきれない(40代女性)
「実家から離れて住んでいるので管理が行き届かない」と不安に感じる人も。自分で庭木の手入れなどメンテナンスを行う場合は、いちいち実家に帰る必要があり、距離が遠いほど負担は大きくなる。仕事や子育てが忙しい人だと時間を確保するのが難しく、年を取ると体力的にもきつい。
<4位>相続手続きが面倒/27人
●遺産が少ししかないのと、相続後の手続きや税金が面倒そうだから(40代女性)
実家を相続する場合には「不動産の名義変更」「準確定申告」「相続税の申告と納付」などの手続きが発生する。手続きが煩雑そうで、相続放棄を考えている人も少なくない。ただし相続放棄する場合も、「財産調査」「家庭裁判所などの申請」といった手続きは発生する。
<5位>住むつもりがない/23人
●自分の家があるし、実家があっても利用する機会がないから(50代男性)
実家とは別にマイホームを購入していたり、実家から離れたエリアで生活を築いている人は、実家を相続しても故郷に戻るのは難しいという意見も。
<6位>家族と疎遠・関わりたくない/22人
●実家との折り合いが悪いため(60代以上男性)
家族に対していい感情がないため、親から財産をもらいたくないと考えている人もいる。相続放棄する場合、他の相続人に連絡する義務はない。
<7位>兄弟・親族間で揉めたくない/21人
●遺産配分のことで家族と揉めるのはわずらわしいから(40代男性)
家などの不動産は現金のように分けられないため、相続人の間で「誰が実家を受け継ぐか」と揉めることもある。実家を売って現金を分けることも可能だが、相続人の中に「実家を残したい」「自分が住みたい」と主張する人がいると、話し合いは難航する。「地元に残っている兄弟姉妹に譲りたい」「親の介護を担っている兄弟姉妹に譲りたい」という人も。
<8位>借金がある・ありそう/19人
●母親が他界して認知症の父親が残されており、「財産の状況」「借金がいくらあるか」などが不明なので(40代男性)
相続放棄すると「プラスの財産」も「マイナスの財産(借金)」も放棄することになる。そのためプラスの財産より負債の方が多い場合は、相続放棄の検討を。詳細が不明なら、「限定承認」もあり。限定承認は、「プラスの相続財産の範囲内でのみ、マイナスの財産を相続する」という手続き。ただし、限定承認の場合は相続人全員で手続きすることが必須。詳しくは弁護士や司法書士に相談してみて。