料理研究家・荻野恭子さんの母ハルさんが100才を超えるまで料理を続けられた理由「卓上クッキング」4つの秘密
料理研究家として長年活躍する荻野恭子さんの母・ハルさんは、100才を超えるまで料理を続け、103才の最期まで自分の食べたいものを食べて過ごしました。「食べることは、生きること」を実践したハルさんと共に構築した「卓上クッキング」は、まさに人生100年時代の調理法。数々のアイディアには、長く、楽しく、ラクに料理を続ける工夫が詰まっています。
教えてくれた人
料理研究家・栄養士 荻野恭子さん
65か国以上の国を訪れ、学んだ料理を日本でも作れるレシピにして紹介。『103歳の食卓 母とつくり上げた卓上クッキング』(プレジデント社)ほか、著書多数。
※加熱調理には『山善』の1人用ホットプレートを使っていますが、コンロなどでも同様に作れます。
※米油は菜種油など香りの少ない植物油で代用可能です。
母、ハルさんが100才を超えるまで料理を続けられた理由
荻野恭子さんの母・ハルさんは85才のときに初めて、「しんどいから、料理をやめたい」と言ったという。
「母は食べることとワインが大好きでしたが、103才で亡くなるまでに、3回『もう料理をやめたい』と言いました。私が『やめてもいいけど、ボケちゃうよ』と言うと、負けん気が強い母は『じゃあ、やるわよ』と、続けるんです(笑い)」(荻野さん・以下同)
とはいえ、骨折したことでハルさんの足腰が弱り、キッチンに立ち続けるのがつらいことも荻野さんは気づいていた。
「そこで、『座って料理を作れば?』と提案したところ『いいわね!』と。そこから母と私の “卓上クッキング”がスタートしました。
料理は頭も体も使う、高度な作業。自分が食べたいものを食べられる喜びも大きいですよね。母が亡くなる直前までしっかりしていたのは、料理を続けたからだと思っています」
卓上クッキング4つのポイント
●加熱調理は一人用ホットプレートで
焼く、蒸す、煮る、揚げるなどあらゆる調理ができるホットプレートは卓上調理の強い味方。「1人用のコンパクトなものが使いやすい。操作が簡単、安全で、そのままアツアツを食べれば食器いらずです」。
●「モミモミ調理」は時短にも大活躍
ポリ袋に食材と調味料を入れて「モミモミ」するだけで、漬けものや和えものが完成。「母は数種類を作って、冷蔵庫にストックしていました。モミモミすることで、手の運動にもなります。袋の中で完結するので、洗い物も最小限に」。
●調理道具はコンパクトなものを厳選
食卓で作業するので、まな板はチーズボードのような小さいもの、包丁はペティナイフが使いやすい。ねぎや青菜はキッチンばさみ、スライスにはピーラーを活用し、そのままポリ袋やホットプレートに切り入れていくと作業がラクに。
●調味料は小さめのものをまとめて卓上にセット
「大瓶の調味料を長く使うと風味が落ちるし、いちいちキッチンに取りに行くのが大変。必要最小限の調味料と油をコンパクトにまとめて、卓上に置くようにしました」。素材をいかし、味つけもごくシンプルに。
簡単!おいしい!焼売の作り方
卓上クッキングの技が詰まった一品!ジューシーな豚肉とプリッとしたえびの歯応えが絶品
手間がかかるイメージの焼売も、卓上クッキングのアイディアを駆使すれば、驚くほど簡単!蒸し器不要で、本格的なプリプリ&アツアツの焼売が座ったまま作れます。後片付けがラクなのも、うれしい。
<材料>12個分
豚バラ薄切り肉…150g
えび…(正味)100g
細ねぎ…5本
片栗粉…大さじ1/2
焼売の皮…12枚
【A】
塩…小さじ1/3
砂糖…小さじ1/4
こしょう…少量
しょうゆ…小さじ1
ごま油…大さじ1/2
<作り方>
【1】豚バラ肉とえびをたたく
えびは殻と背わたを取り除いて細かくたたく。豚バラ肉もたたいて粗いミンチ状にする。「たたくひと手間で歯応えよく仕上がりますが、手軽にひき肉だけでもおいしいですよ」。
【2】ポリ袋に入れて「モミモミ」
【1】と【A】をポリ袋に入れ、しっかりもんで下味をつけたらみじん切りにした細ねぎと片栗粉を加え、均一になるようざっくり混ぜる。「野菜は後から入れると水っぽくなりません。ポリ袋でたねを作ればボウルいらず」。
【3】ポリ袋から皮にたねを絞り出す
焼売の皮をトレーに並べる。【2】のポリ袋の口を結び、底の片方の角を切ってたねを絞り出し、皮にのせていく。「皮1枚当たり、山盛り大さじ1の量が目安」。
【4】形を整える
たねを皮で包んだら、上部のはみ出しをスプーンで軽く押し込み、茶巾絞りのように上の口部分を少しつぼめるようにして成形する。
【5】ホットプレートに並べて蒸す
ホットプレートに【4】を並べ、水1/4カップ(分量外)を入れてふたをし、強火で10分ほど蒸す。
焼売はホットプレートを使ってひとりで作れる!
撮影/今清水隆宏 スタイリング/久保原惠理
※女性セブン2024年7月4日号
https://josei7.com/
●ポリ袋で作る本格“手打ちうどん”の作り方|カンタン!自家製もちもち麺|荻野恭子さん