調査で判明した<葬儀の変化>コロナ後は家族葬が50%、一般葬は5%増、費用も8万円増へ
人生の締めくくりともいえる「葬儀」の形も多様化している。葬儀相談依頼サイト「いい葬儀」が実施した「お葬式に関する全国調査」では「相場がわからない」「葬儀社が見つからない」など不安を抱える声も多く届いたという。そこで、調査結果をもとに現在の葬儀事情を紹介する。
調査で判明した新たな葬儀の形
身近な人が亡くなった場合、悲しみに暮れる間もなく準備に取りかからなければならないのが「葬儀」だ。
鎌倉新書が運営する「いい葬儀」では2年に1度、喪主(または喪主に準ずる立場)を経験した日本全国の40才以上の人に向けて「お葬式に関する全国調査」を行っている。今回で第6回を迎えた調査は、アフターコロナを感じる結果になったという。コロナ禍を経て変化した「葬儀」の形とは。
半数が「家族葬を実施」と回答、コロナ禍を経て主流に
今回このアンケートに答えた2000件のうち半数が家族や親族、親しい友人・知人を中心に小規模で行う「家族葬」を実施したと回答した。次いで一般葬(※1)30.1%、一日葬(※2)10.2%、直葬・火葬式(※3)9.6%という結果に。
都市化や核家族化などによる地縁の薄まりといった社会背景が要因として考えられ、コロナ禍を経て家族葬が台頭した。一方で前回との比較では、家族葬は5.7ポイントマイナス、一般葬は4.2ポイントプラスとなった。
※1:通夜・葬儀・告別式を行い、参列者は知人や職場・地域の方など幅広く集まった葬式
※2:通夜がなく告別式のみ、1日の葬式
※3:直葬・火葬式:宗教儀式のない、火葬のみのお別れ
■行った葬儀の種類
家族葬…50.0%
一般葬…30.1%
1日葬…10.2%
直葬・火葬式…9.6%
その他…0.1%
葬儀費用の総額は2年前より約8万円増加
葬儀の種類別の平均金額は、一般葬161万3000円、家族葬105万7000円、一日葬87万5000円、直葬42万8000円だった。
費用は大まかに「基本料金」「飲食費」「返礼品」の3つに分類され、葬儀の規模が大きいほど高額になる。
■葬儀の種類…葬儀費用の総額(平均)|最も回答が多い価格帯
家族葬…105.7万円|60万円以上~80万円未満
一般葬…161.3万円|120万円以上から140万円未満
一日葬…87.5万円|20万円以上から40万円未満
直葬・火葬式…42.8万円|20万円以上から40万円未満
【葬儀費用の分類】
基本料金:斎場利用料、火葬場利用料、祭壇、棺、遺影、搬送費など、葬儀を行うための一式(固定費)
飲食費:通夜ぶるまい、告別料理などの飲食(※変動費)
返礼品費:香典に対するお礼の品物(※変動費)
総額:基本料金・飲食費・返礼品費の合計金額
※変動費:飲食費、返礼品費はひとり当たりかかる費用のため、参列人数に比例して変動
火葬までの日数は平均2〜3日。都市部ではすぐに火葬できないケースも
火葬までにかかった日数は「亡くなってから2日後」が35.1%で最多となった。次いで「亡くなった日から3日後」が29.2%、「亡くなった日から4日後」が10.1%、「亡くなった日から1日後」が9.7%となり、およそ4人のうち3人が「3日以内に火葬をしている」という結果となった。
ただし、関東地方の結果を見ると「亡くなった日から3日後」が24.1%だったが、次いで「亡くなった日から5日後」が19.0%、「亡くなった日から4日後」が16.2%、「亡くなった日から7日後」が15.6%となっており、過半数の人が「火葬に4日以上かかった」と回答している。
■亡くなってから火葬までの日数(全国)
1位…2日後(35.1%)
2位…3日後(29.2%)
3位…4日後(10.1%)
4位…1日後(9.7%)
5位…5日後(7.6%)
■亡くなってから火葬までの日数(関東地方)
1位…3日後(24.1%)
2位…5日後(19.0%)
3位…4日後(16.2%)
4位…7日後(15.6%)
5位…2日後(10.5%)
また、関東地方の冬季(12月・1月・2月)に葬儀を実施した人の回答では、特に亡くなってから8日以上と回答した人も18.1%と多く、冬場は火葬までに日数を要する「火葬待ち」の傾向が見られた。2023年度の冬は特に死亡者数が多く、人口に対する火葬炉の数が限られる地域であるなど複数の要因が絡み合うことで、火葬待ちが発生したと考えられる。
■亡くなってから火葬までの日数
<関東全体>
亡くなってから3日以内…36.2%
亡くなってから4日以上7日以内…58.1%
亡くなってから8日以上…5.7%
<関東冬季>
亡くなってから3日以内…27.8%
亡くなってから4日以上7日以内…54.2%
亡くなってから8日以上…18.1%
さらに、家族葬、一般葬、一日葬を実施した人の過半数は「葬儀に関して後悔していることはない」と回答。
一方で、直葬・火葬式を実施した人は38.7%にとどまり、「通夜をしなかったこと」や「火葬場でのお別れの時間が短かったこと」など、亡くなった人と向き合う時間の短さが後悔の原因と見られる。
このアンケートを参考に、大切な人はもちろん、自分が亡くなった時の事も含めて今から「葬儀」について考えるのもいいかもしれない。
【データ】
鎌倉新書
https://www.kamakura-net.co.jp/
「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)」の調査結果
https://www.e-sogi.com/guide/55135/
【調査概要】
調査名 :第6回お葬式に関する全国調査(2024年)
調査対象:2022年3月~2024年3月に喪主(または喪主に準ずる立場)を経験したことのある、日本全国の40歳以上の男女
調査期間:2024年3月1日~3月4日
調査方法:インターネット調査(調査協力:株式会社クロス・マーケティング)
有効回答数:2000件
※鎌倉新書の発表したプレスリリース(2024年5月15日)を元に記事を作成。
図表/鎌倉新書提供 構成・文/松藤浩一
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