話題の<MCTオイル>効能と注意ポイントを医師が解説「ほかのオイルより約4倍も早くエネルギーに」
スーパーの店頭では油(オイル)の売り場が拡大し、さまざまな健康効果が話題になっている。話題のオイルを活用して「2か月で6キロのダイエットに成功した」医師の齋藤真理子さんが注目する「MCTオイル」。脂肪燃焼だけでなく、さまざまな嬉しい作用があるという。6つの効能と活用するときの注意ポイントについて解説いただいた。
教えてくれた人
齋藤真理子さん/山本メディカルセンター理事長・院長・医師
日本形成外科学会専門医、分子栄養学認定医。体の内側から分子レベルでの健康を目指す。著書に『「内臓脂肪がなかなか減らない!」という人でも勝手に内臓脂肪が落ちていく食事術』(アスコム)。
MCTオイル「6つの効能」を医師が解説
斎藤さんが自ら試したMCTオイルの効能について、特徴や活用方法を解説いただいた。
1. 素早くエネルギーになり活力が生まれる
鎖のような構造をしているMCTオイルは分子が短いため、水になじみやすいのが特長。
肝臓に通じる門脈を経て、直接肝臓に運ばれて効率よく分解されるため、ほかのオイルより約4倍も早くエネルギーになる。摂取することで細胞内のミトコンドリアを活性化するためパワーが生まれ、歩く速度が速くなったという報告もある。
2. エネルギーが長持ち「持久力、集中力アップ」へ
MCTオイルを摂り続けていると、脂肪燃焼回路にスイッチが入り、体内に蓄積された脂肪をエネルギー源にでき、持久力がアップする。MCTもしくはサラダ油を含む食品を2週間摂取後、自転車こぎ運動の試験を行ったところ、MCT群の方が長く運動できたという研究結果がある。
3. 腸内環境の改善へ
腸内で潤滑油のような働きをして便のすべりをよくするとともに、MCTオイルに含まれるオレイン酸が腸のぜん動運動を促して便通を改善し、腸内環境を整える。
また、毒性の強いカビなどの糸状菌、カンジダなどの真菌にも強い抗菌作用があり、感染症を防ぐ底力もある。
4.冷え症を遠ざける
それ自体が素早く消化・吸収、代謝されて熱として放出されるため、体を中から温める効果が高い。
MCTオイルを摂ると、ミトコンドリアが元気に活動するようになり、温め効果が持続するため、しばらくは体がポカポカする、歩くだけでも汗ばむようになるなどの声も多い。
「生野菜サラダは体を冷やしますが、MCTオイルをかけて食べれば冷えを和らげられます」(齋藤さん)。
体温が1℃上がると基礎代謝が約13%上がり、やせやすくなる。
5. 血糖値を安定させる研究結果も
MCTオイルに含まれるオクタン酸に、食後の血糖値を調整する効果があることが、東北大学の研究によりわかっている。
オクタン酸は、血糖値が正常なときはそのまま、高くなってしまったときには正常値まで血糖値を下げるという。血糖値が安定すれば、インスリンの過剰分泌がなくなり脂肪の合成を抑制する。さらに、食後血糖値の急上昇からの急降下によって生じる強い食欲が抑えられ、ドカ食いも減るため、ダイエットにつながる。
6.脳にエネルギーを補給「認知機能向上」の研究発表も
2016年に国立精神・神経医療研究センターの共同研究グループが、MCTオイルを含むケトン食の摂取で、認知症でない高齢者の認知機能が向上することを世界で初めて発表している。ケトン体によるエネルギーが素早く脳に供給されるので、脳のエネルギー不足を解消する。
いつもの食事にプラスしやすい3つの理由
MCTオイルは無味無臭。風味にくせがないので料理を選ばず
1. 無味無臭だから、どんな料理にも合う
料理の邪魔になる味や香りがないので、さまざまな料理や飲み物との相性は◎。旨みやコクが増し、満腹感も得やすくなる。
2. 少量で効果が得られる
1日のトータル摂取量は大さじ1程度、1回につき小さじ1/2~1が目安だ。コーヒーなどの飲み物にほんの数滴でもOK。
3. 酸化しにくく、常温保存できる
MCTオイルは酸素と結合しにくい性質があるため、酸化しにくい。常温または、冷暗所で保管するといい。