長嶋茂雄氏も!老人ホームより「療養型病院」を終の棲家にという選択
公共性のある組織が運営するため、民間より費用が少なくて済むことも特徴だ。
「民間の有料老人ホームに入居するには数百万円単位の一時金が必要なケースが多いですが、療養型病院は一時金が必要なく、基本的な月額費用は10万~20万円程度で済みます」
ただし、長嶋氏が入院する療養型病院のように、医療ケア以外のサービスが充実しているとコストが増す。
「療養型病院で近年増えているのは、通常より料金を上乗せして独自のサービスを行うタイプの病院です。そうした先進的な病院は4人部屋でも月50万円程度、個室だと月80万~90万円くらいします」
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医療機関のため手厚い医療ケアを受けられる
都心の一等地にある総合病院や大学病院でも、富裕層向けに“特別室”を用意し、至れり尽くせりのサービスを提供するところが増えているという。なにより、有料老人ホームとの最大の違いは「医療機関」であることだ。
「ともに施設内で食事、入浴、排せつなどの日常生活を送ることは同じですが、有料老人ホームは病気が悪化したり、重度の要介護状態になったら退所となるケースが多い。一方の療養型病院には医療スタッフが配置されていて、手厚い医療ケアを受けられます。近年は患者を最期まで看取る療養型病院が増えており、患者にとって終の棲家となっています」(佐藤さん)
病院経営が厳しくなり、生き残り競争が激しくなるなか、療養型病院は高齢者のニーズに応えようと奮闘している。
「現在は入院期間を減らすという国の方針もあり、全国的に一般病棟の空き室が目立ちます。そのなかで老人医療・介護に力を入れて、食事やレクリエーションなどさまざまな付加価値を付け、生き残りを図る療養型病院が現れた。“有料老人ホームでは健康面が不安”という高齢者には新たな選択肢となっています」(介護アドバイザーの横井孝治さん)
4月2日、長嶋氏は巨人の本拠地開幕戦・阪神戦を観戦するため、病院を出て東京ドームを訪れた。その時に見せた会心の笑顔は、確かに「不安」から解放されていた。
※女性セブン2019年5月23日号