自分と家族に必要な<介護の準備>ランキング28|10人の専門家が総力回答「1位はお金の準備」
順位/内容/点数/コメント
1位 介護にかかる準備金を用意する 41点
「介護費用のシミュレーションはマスト。それに合わせた予算も早いうちに用意しておくと安心」(高室さん)、「どんな施設に入所できるかや介護サービスをどの程度利用可能かはお金次第。予算がなければ希望の介護プランが叶わないので事前に把握し貯蓄しておくことは必須」(石川さん)、「介護資金に関する不安は大きなストレス源になる。解消するためにも一度計算し、その分の資金は分けて管理するといい」(曽根さん)、「いざというときのために最低10年分、1500万円は用意しておきたいところ」(渋澤さん)
2位 自分の健康状態を把握する 40点
「人間ドックなどの検査を受け、その結果を家族に伝えておく。持病を事前に認識しておいてもらうことで、介護時によりよいケアを家族が選択できる可能性がある」(工藤さん)、「高齢になると、体の弱い部分がさらに悪化するケースも。元気なうちに自分の心身の"弱み"を知っておくこと」(小山さん)、「長生きを目指すために健康管理をするのか、趣味趣向を優先して病気のリスクを引き受けるのかなど考えておくべし」(川内さん)
3位 どのように最期を迎えたいか伝える 33点
「最期は突然訪れる。そのときをどう迎えたいか事前に伝えていなければ、家族が非常にシビアな判断を迫られる」(田中さん)、「危険な状態になったら延命措置をするのか、心臓マッサージや人工呼吸器を装着するかなど具体的に明示しておくべき」(工藤さん)、「認知症が進んだり、要介護になったとき、家から病院や施設に移していいのか、医療はどこまで受けたいか、葬儀はどうするのかなど、項目ごとに伝えておく」(曽根さん)
4位 資産状況を共有する 31点
「親がどの程度資産を持っているかわからずに、介護の費用をどのように賄えばいいか困っている子供が多い。金銭的な余裕がどれくらいあるかを健康なうちから伝えておくことは重要」(曽根さん)、「資産状況が共有されていなければ、金銭的な困窮を心配した子供が介護サービスの利用をためらい、本来受けられるはずのサービスが受けられなくなる可能性が出てくる」(工藤さん)
4位 どんな介護体制をとってもらうか家族で話し合う 31点
「いざ介護が始まると当事者だけでは判断できないことが出てくる。家族の協力は必須になるので事前に話し合いを」(曽根さん)、「最も揉めやすいのが介護の窓口を家族の誰がするか。あらかじめ決めておけば、負担や苦労が減る」(工藤さん)
6位 地域包括支援センターの位置・連絡先を把握する 26点
「『地域包括支援センター』はホームヘルパーや施設、地域のサポートなどを利用する際の総合窓口。いつでも相談できるように場所や連絡先を把握しておく」(曽根さん)、「『今後の生活に何となく不安がある』などざっくりした悩みであっても電話で対応してくれる。いざというときのお守りとして知っておきたい」(安藤さん)
7位 家族との関係をよくする 21点
「子供が成人した後、あまり会話していないという人は多いが、老後は子供のサポートが必要になるため普段からコミュニケーションを取っていなければいざというときに困ることに」(曽根さん)、「弱ったときに頼りになるのはやはり家族。健康なうちから声をかけて接点を増やしておく」(渋澤さん)
7位 地域で人間関係を作る 21点
「民生委員や近所の住民、趣味仲間などと人間関係を築いておけばひとり暮らしであっても安心感がある。必ずしも専門職でなくていい」(小山さん)、「いきなりの近所づきあいは難しいので、カフェやクリーニング屋などに行ったときに意識して雑談し、近所に住んでいることを認知してもらう、顔の見える関係づくりから始めるとよい」(高室さん)
9位 遺言書を準備する 17点
「要介護状態になってから作ると効力が問題視されるケースも。特に子供がいない人などは相続問題が難しくなるので事前に決めておくこと」(工藤さん)、「相続で家族が思わぬ形で分断することを防ぎつつ、残していく家族への思いを整理する機会として有効活用して」(川内さん)
9位 相続対策の準備をしておく 17点
「判断能力がしっかりしているとみなされているうちに決めておく。要介護状態になると親族関係を把握するのが難しくなる」(工藤さん)、「相続も介護と同じく心構えが大切。自分ならどうしたいかを普段から確認しておくべし」(川内さん)
11位 介護されることを見据えて居住環境を整える 16点
「介護ベッドが入ることを想定し、どの部屋でどういうふうに暮らしたいか間取りを含めて居住環境を整えておく。事前の準備なしだと、介護する側の都合で家具の配置や部屋を決められてしまい、居心地悪い環境で暮らす可能性が高い」(高室さん)
12位 地域で利用できる介護サービスの正確な情報を得る 15点
「自治体によって利用できる介護サービスの内容が異なるため、民間も含め正確な情報を把握しておきたい」(渋澤さん)
13位 入居したい施設を調べる 14点
「パンフレットの情報に加え、現地に行って施設の雰囲気や職員の様子などをチェックしておくこと。元気なうちでないと自分で見学するのは難しい」(太田さん)
14位 金融機関の代理人カードを作成する 13点
「認知症になったら口座が凍結されるため、親族が代理で介護資金を引き出せるよう、もしものときに備えて健康なうちに作っておくこと」(工藤さん)
14位 介護保険を使う心づもりでいる 13点
「介護が必要なとき、必ずしも家族が担える状況とは限らない。介護保険サービスを駆使してひとりで生活するシミュレーションをしておいた方がいい」(太田さん)
14位 利用できる助成金などを把握する 13点
「介護で申請すればもらえるお金の情報を仕入れておくと、介護の準備金に多少の余裕が持てる」(安藤さん)
14位 在宅医療のできるかかりつけ医を見つける 13点
「近所のかかりつけ医を見つける際は、往診や訪問診療を行っている医師から選ぶのも一案。歩行が困難になっても往診を依頼できるので安心」(小山さん)
18位 遠隔介護できるグッズやサービスを見つける 11点
「電気ポットの使用状況を通知することで安否確認ができる『見守りポット』のような遠隔介護グッズを事前に導入しておくと安心」(安藤さん)
19位 介護体験をする 10点
「誰かを介護することで介護者側の考えが理解でき、要介護になった際にも上手に希望が伝えやすくなる。地域の講習会やボランティアなどで体験できる」(石川さん)
20位 家族がいないことを想定する 9点
「ひとり暮らしで寝込んだときの食事やゴミ出し、買い出しなどを想像すると、介護されるときの状況が見えてくる。事前に想定と対策をしておく」(石川さん)
20位 要介護になってからどう暮らしたいか書き留める 9点
「要介護状態になると遠慮がちになったり、口で要望を伝えられない場合も。過ごし方やこだわり、食事や間食の好き嫌いをメモしておけば自分らしい生活スタイルが正確に伝わる可能性がグッと上がる」(高室さん)
20位 介護予防に取り組む 9点
「運動や食事、社会活動を通して介護の予防をすることで、介護が必要になっても症状の悪化・進行を遅らせ、生活の自由度が保たれる可能性が上がる」(渋澤さん)
23位 自分が生きた証を残しておく 8点
「死後も形が残る作品や仲間を作っておくことで、最期の瞬間に悔いを残しにくくなる」(田中さん)
23位 自治体や民間の見守りサービスを把握する 8点
「見守りサービスなどは公的なものに加え民間サービスも多数。調べるにはネット検索が重要になるので、苦手な人は家族の手を借りて」(安藤さん)
25位 調べた情報をひとまとめにしておく 7点
「介護は突然始まり、必要となったときにはすべきことが山積みで調べる余裕がなくなる。事前に情報を集め、ひとまとめにしておくと負担は大きく減る」(太田さん)
25位 社会福祉協議会に相談する 7点
「ボランティア活動を紹介してもらい高齢者との交流をはかりながら、地域の福祉情報に触れられるので、自分の今後を考えるきっかけにも」(川内さん)
25位 後悔のないようやりたいことをやっておく 7点
「やりたいことをやっておけば自分自身はもちろん、ケアをする周囲の悔いも残りにくい」(田中さん)
25位 介助が必要になった場合の買い出し先などを決めておく 7点
「介護度が軽度でも“運転は無理だけど、外出はできる”など行動範囲が狭まるもの。なじみのスーパーや店舗をリストアップして簡単な地図にしておくと伝える負担が減る」(高室さん)
※女性セブン2024年4月11日号
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