関節の痛みに打ち克つには寝る姿勢が重要だった!<寝るだけ整体>のポイントを専門家が解説
関節痛を退ける正しい“睡眠姿勢”を手に入れるために、田中さんが推奨するのは「寝るだけ整体」の実践だ。まず、2つ折りにしたバスタオルを折り目側から丸めて棒状にし、「整体枕」を作ることから始めよう。
「整体枕」の作り方
1. バスタオルを2つ折りに。120×60cmほどの大きさで、少し厚みのあるものを選ぶといい。
2. 折り目側からくるくると丸めて棒状にする。端をヘアゴムなどでくくって完成。折り目を下にするのがポイント。
「寝るだけ整体」のポイント
■ポイント【1】顔
ストレートネックで前に出ていた顔が自然と元の位置に戻っていく。
■ポイント【2】胸
胸を包み込むように位置する胸郭が自然と広がり、気道が確保される。
■ポイント【3】姿勢
体が固まらないように、またゆがみを避けるために寝返りは左右均等を意識する。
■ポイント【4】肩
猫背で前に出ていた肩も、首と同様、自然と元の位置に戻る。
■ポイント【5】足
両足をまっすぐ、平らな床に伸ばすことで重力によって膝も伸びていく。
■ポイント【6】手
手のひらを上に向けることで、前肩の縮こまりが改善される。
■ポイント【7】場所
平らな場所で仰向けになること自体が骨格矯正の役割を担っている。
「整体枕」を活用して正しい睡眠姿勢を
「完成したら枕の代わりに首の下に置き、仰向けになってください」
このとき、天井がまっすぐ見えること、肩甲骨や肩がしっかり床についていること、呼吸が苦しくなっていないことを確認すべし。
「後頭部が浮いてしまう人は、頭の後ろにバスタオルを敷いて高さを調節してください。本来、人間は仰向けで寝るのが自然な姿。横向きでないと眠れないという人は、すでに体がゆがみ、関節も硬くなっている証拠。その状態が続けば、股関節や骨盤、肩の関節に負荷が集中し、痛みが生じることになります。また、大切なのは左右バランスよく寝返りを打とうと意識すること。一晩中同じ姿勢で動かなければ体が固まり、片肩のみだとバランスが悪くなります」
体に負担をかけない生活「歩き方と足のケア」
正しい姿勢でしっかり睡眠を取った後は、日中も体に負担をかけない生活の仕方をマスターしよう。
「日中はとにかく“よく歩くこと”を心掛けてほしい。二足歩行である人間は本来、立って行動する生き物。長時間座り続ければそれだけ筋肉も関節も硬くなり、痛みが生じる原因になります。50分座ったら、10分立って動くことを意識してください。ただし、靴選びは慎重に。ヒールが高ければ重心が前にきて、膝の前側に負担がかかり、反対に低すぎれば重心が後ろにかかって膝裏への負荷が重くなる。2~3cmくらいの高さがあるスニーカーがベストで、ハイヒールはもちろん、ぺたんこ靴も避けた方がいいです」
歩くことと並行して取り組みたいのが、足のケアだ。鍼灸師で柔道整復師の本田洋三さんは、「痛みの原因が足の指にあることも非常に多い」と指摘する。
「当院には膝や股関節に痛みを抱える女性患者が多く来院しますが、ほとんどのかたに共通するのが“足の小指が曲がっている”こと。曲がった指ではしっかり地面を踏みしめることができず、立ったときに体の重心をうまくとれずに不安的になりやすいうえ、足のアーチも崩れていきます。その状態で歩くと、お尻や太ももに負荷がかかり、筋肉がこわばり、股関節痛の原因になります。また、アーチが崩れると、足のクッション機能も失われる。歩く際の衝撃を足裏で吸収できず、膝で受け止めることになり、大きな負担がかかります」(本田さん)
つまり、足指の機能が失われれば、それだけ関節痛のリスクが上がるということ。本田さんは「足指ほぐし」によって指の力を取り戻してほしいと続ける。
「指をほぐすだけで、歩き方が改善し、膝や股関節の痛みから解放されたと話す患者は少なくありません。やり方は簡単で、まずはほぐしたい側の足の膝を立てて、体に近づけるようにして座ってください。次に、親指と人差し指で、マッサージする側の足の親指をつまみます。もう一方の手は、足指の付け根あたりを押さえて、足の甲がぐらつかないようにしてください。指の根元からしっかり動かすことと、指を前に引っ張るのがポイント。1日2セット、2~3週間継続すれば、変化が表れてきます」
膝と股関節の痛みを解消する「足指ほぐし」のやり方
【2】足指を持った手を前に引っ張り、下に向けて10回ぶらぶら動かす。同じ動きを左右10本の指すべてに行う。
監修/木原洋美さん、イラスト/勝山英夫
※女性セブン2024年4月18日号
https://josei7.com/
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