頻尿・下痢対策には腎臓を整える羊肉、鶏レバー、えびを食べるべし!「食から尿漏れを防ぐ方法」を管理栄養士が伝授
現代女性を苦しめる冷えとストレスは、実は“尿漏れ”の大敵でもある。体を温め、自律神経を整えれば体調もきっと変わるはず。体調を改善する食材を積極的に摂り、漏れない体を手に入れよう!管理栄養士おすすめの頻尿や下痢便を防ぐ「食材」を伝授する。
教えてくれた人
西村かおるさん/排泄ケア専門ナース。排泄にトラブルを抱える人に情報提供する『日本コンチネンス協会』名誉会長。著書に『「パンツは一生の友だち」排泄ケアナースの実践録』(現代書館)がある。
清水加奈子さん/管理栄養士。フードコーディネーターとして活躍し、国際中医薬膳師の資格も持つ。監修本に『冷え性のあなたに読んでほしい本』(エイ出版社)がある。
頻尿や下痢便を防ぐには体を冷やさないこと
体が冷えるとトイレが近くなる。日本コンチネンス協会名誉会長の西村かおるさんは、次のように説明する。
「体内にある水分が冷えることで“冷え”は起こります。2~3月の時期はまだまだ気温が低く、汗をかきにくいため、余分な水分が体内にたまりやすいのですが、体は体温を上げるために余分な水分を排出しようとするため、頻尿や下痢便になりやすいのです」
体を冷やさないためにはどうすればいいのか?
「温熱性のある食材を摂ることが大事」と言うのは管理栄養士の清水加奈子さん。
「代表的なものでは、しょうが、にんにく、とうがらしといった辛味成分のある食材です。特にしょうがはショウガオールとジンゲロールといった体を温める成分が含まれています。紅茶に、はちみつとしょうがを入れて飲むと体が温まりますよ」(清水さん・以下同)
ただし、しょうがやにんにく、とうがらしは、摂りすぎると腸の刺激となって下痢を悪化させる可能性があるので注意が必要だ。
そのほか、羊肉は体を温めるだけでなく、腎臓の働きをサポートする力もある。
「薬膳の考えでは腎臓を表す『腎』は五行の水に属し、冬は特に働きすぎて傷つきやすいとされています。その『腎』をいたわり、腎臓の働きをサポートするのが羊肉。羊肉に含まれるL−カルニチンは、体を温める作用があるので、冷えや頻尿、下痢が気になる人には特におすすめの食材です」
そのほか、鶏レバー、えびなども腎を整える食材だ。
自律神経を整える栄養素は朝食に摂取すべし!
頻尿や下痢は精神的なものも関係するため、「自律神経を整えることが重要」と、清水さんは説明する。
「下痢と便秘を繰り返す過敏性腸症候群はストレスが原因といわれています。頻尿の場合も不安から余計にトイレに行きたくなるもの。そのためにも、自律神経を整え、ストレスに強い体を作ることが大事です」
自律神経を整える栄養素には、GABA、トリプトファン、ビタミン B6がある。
「GABAはストレスをやわらげ、脳の興奮を沈静化する働きがあります。精神安定物質『セロトニン』を生成する働きがあるトリプトファン、神経機能を正常に維持する働きのあるビタミン B6なども意識して摂るといいでしょう」
これらの栄養素はできるだけ朝食で摂るのがベストだという。
「自律神経を整えるためには睡眠の質も大事ですが、睡眠を促すホルモン『メラトニン』は、約14~16時間で生成されるため、メラトニンの材料ともなるトリプトファンやGABA、ビタミン B6も活動前の朝に摂るのがベストです。玄米のおにぎりやバナナ、チーズを朝食に取り入れると、よく眠ることができ、精神も安定してきます」
餅を食べると尿意が抑えられる?
長時間の映画鑑賞やコンサートの前に餅や大福、だんごを食べると尿意を抑えられる―そんな情報が、2022年秋にSNSで話題になり、実践した人たちから、「本当だった」の声が上がったが…。
「お餅やだんご、ポップコーンに尿意を抑える作用があるといった科学的根拠はありません。考えられるのは、『これを食べたから大丈夫』といった安心感から、尿意を感じにくくなっているのではないかということです。ただ、薬膳の視点から見ると、あながち間違いではありません。もち米には体を温める作用があるので、冷えによる頻尿の予防効果も期待できそうです。ただし、お餅やだんごを食べたから絶対に大丈夫!というわけではありませんから、ふだんから頻尿や下痢を改善する生活を心がけましょう」
冷え対策&腎臓を整える食材一覧
<腎臓の働きを補うもの>
羊肉、鶏レバー、えび、にら、くるみ
<温熱性のあるもの>
シナモン、山椒、こしょう、とうがらし、にんにく、しょうが、ねぎ、羊肉、鶏肉、もち米、よもぎ
自律神経を整える栄養素が含まれている食材一覧
<GABA>
玄米、なす科(じゃがいも、ピーマン、ししとう、トマト)
<トリプトファン(アミノ酸)>
レバー、チーズ、牛乳など乳製品
<ビタミンB6>
かつお、バナナ、まぐろ
イラスト/鈴木みゆき
※女性セブン2024年3月14日号
https://josei7.com/