もったいないと暖房を我慢する高齢者に試してほしい【効率よく家で暖かく過ごす方法】家事アドバイザーが伝授
寒くても暖房は我慢――。特に高齢者はもったいないとエアコンや暖房機器を使うことを控えてしまいがち。家事アドバイザーの矢野きくのさんに、効率的な部屋の温め方を教えてもらった。シニア世代や高齢者にこそ必須の冬の寒さ対策をご紹介する。
この記事を執筆した専門家
家事・節約アドバイザー・矢野きくのさん
家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ・講演・連載などで活動。NHK『ごごナマ』準レギュラー他テレビ出演多数。新聞での連載のほか自動車メーカー、家電メーカーなどの企業サイトでコラムの執筆経験も。近年は中高年層の家事アドバイスや家庭でできるSDGsについての講演、SNSでの情報発信でも活動している。著書『シンプルライフの節約リスト』(講談社)、『「節電女子」の野菜レシピ!』(アスコム)、『50代からの自宅の片づけ 実家の片づけ』(扶桑社ムック) など。https://yanokikuno.jp/
寒い部屋で「光熱費がもったいないから暖房はつけない」は危険!
光熱費が高騰したままの昨今。シニア層のかたはとくに「もったいない」と暖房を我慢してしまうかたもいるかもしれません。しかし、寒さや暑さを我慢するのは体にとって好ましいことではありません。とくにシニア世代や介護中のかたには注意してほしいと思います。
そこで、無駄な暖房費を節約しつつ温かく過ごす方法をご紹介します。
1.機能性衣類などで温かい格好をする
まずは、あたりまえのように感じるかもしれませんが、室内で“温かい格好”をすることで暖房費を節約することができます。そこでシニア世代におすすめしたいのが、機能性インナーや昔は普及していなかったダウンの衣類です。
機能性インナーは下着類から靴下など、現在は幅広いアイテムで発売されています。
羽織るタイプの衣類には、昔は「どてら」「はんてん」など厚みがあって動きづらいものが主流でしたが、ダウンのベストなら軽く、袖が邪魔にならないので家事もしやすいのでおすすめです。
購入時にお金はかかりますが、何年も使えるものなので結果的には暖房費の節約につながります。
2.早い時間に雨戸やカーテンを閉める
日中の太陽に温められた部屋は、夕方日が落ちると室温も下がり始めます。夕方になったら早いうちに雨戸やシャッター、カーテンを閉めるようにすることで外からの冷気を少しでも防ぐことができます。
3.すきま冷気をカットする
暖房器具で室内を温めていても、ドアやふすまの隙間から室外からの冷気が知らず知らずのうちに入ってきてしまっています。
そんなときは、100円ショップやホームセンターで売っている「すきまテープ」をドアの隙間があるところに貼ることで冷気をカットすることが可能です。
ただし石油ストーブなどを利用している場合は、一酸化炭素中毒を防ぐためにも定期的に空気の入れ替えをするようにしましょう。
4.床からの冷気をカットする
忘れがちですが床からも冷気は伝わってきます。カーペットやこたつ布団の下、また床に布団を敷いている場合はマットの下に、ダンボールや断熱シートを敷いて冷気をカットするようにしましょう。ダンボールは中に空気の層があるので、想像以上に断熱効果があります。
5.エアコン暖房ならフィルター掃除を
エアコンの電気代節約技として頻繁に語られる「フィルター掃除」ですが、若い頃にエアコンがなかったシニア層のお宅では意外とフィルター掃除をしていないご家庭が多いのです。
フィルターにホコリが詰まっていると、暖気が出づらくなり余計な電力を消費してしまいます。エアコンの暖房費を節約したいのであれば、いちばんにチェックするべきポイントです。
6.ヒートショッを防ぐ暖房の使い方と注意ポイント
高齢者にとって、とくに寒い時期の家の中で気をつけたいのが“ヒートショック”。
家全体を常に同じ温度で暖房することができれば良いのですが、光熱費を考えるとそうもいかないのが現状です。
ヒートショックの対策には、寒くなりがちな脱衣所やトイレにパネルヒーターなどを置くのも有効です。
ただしパネルヒーターを置いたから安心というわけではありません。人感センサーつきのパネルヒーターで人を感知してすぐに暖気が出てきたとしても、すぐに室温が上がるわけではないからです。
お風呂の時間の30分くらい前にヒーターをつけて浴室の扉もあけて脱衣所と浴室が温かくなるようにしておくことがポイントです。
また、浴槽にお風呂に張るとき、高い位置からシャワーでお湯を注ぐと、蒸気で浴室が温まります。ちょっとした工夫で寒いお風呂場や脱衣所と、温かい室内の温度差をなくしておくことをおすすめします。
夜中、お手洗いに行くときには布団から出て温かい上着を羽織などしてから部屋を出るようにすると少しは温度変化を避けられます。
暖房費の節約ばかりに目がいって健康を害するのはいちばん避けなくてはならないところです。無駄なことはカットしながら、安全に温かい冬をお過ごしください。
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