プロアスリートも実践!<うで体・あし体>タイプ別「体の不調を防ぐ体の動かし方」を専門家が指南
鴻江さんの考えを実践する上で欠かせないのが、「自分がどちらのタイプか」を見極めることだ。
「後屈が得意なのがうで体。前屈が得意なのがあし体といった具合に見分けることができます」
さらに、3つのチェックポイントを掲載した。実際にやってみるのはもちろん、普段の生活ではどうしていたかを思い出し、まずは自身のタイプを見極めてほしい。
イスの座り方は?
■「浅く座る」なら【うで体】
背もたれに背中をあずけ、座ったときにも背中が丸まった状態を維持できる姿勢を好む。
■「深く座る」なら【あし体】
背もたれは使わず、骨盤を立たせてせすじを伸ばして座るのが心地よいと感じる。
重い物を持ち上げるときは?
■「腰を曲げて持ち上げる」なら【うで体】
腰を曲げることでつま先重心になり、同時に懐が深くなることで腕を使いやすくなるため、力を入れやすく感じる。
■「腰を落として持ち上げる」なら【あし体】
腰を落とすとかかと重心が強くなるため力を出しやすい。腕は伸ばしたまま、足の力で持ち上げようとする。
壁を押すときは?
■「腕を伸ばして頭を下げる」なら【うで体】
■「胸を近づけて頭を上げる」なら【あし体】
日常生活でタイプ別の動きを取り入れるポイント
自分がうで体とあし体のどちらのタイプか確認できただろうか。
「アスリートへの対応は、タイプに合わせて行っています。野球やソフトボールならば投球動作や打撃フォーム、ゴルフならアドレスやスイングを調整していきます。
しかし、私は実際のプレー中だけでなく、トレーニングはもちろん日常生活についてもタイプに合った体の動かし方をするようアドバイスしています。
競技中のハイレベルな部分は一般の人にはマネできないかもしれませんが、そういった『普段の生活』の面であれば、簡単に取り入れることができるでしょう」
そこで、うで体とあし体のそれぞれのタイプに合った体の動かし方を、「日常生活」のよくあるシーンを切り取って解説する。
「普段の歩き方で意識するポイント、ハンドバッグの持ち方や寝具選びまで、日常のさまざまなシーンをあげ、タイプ別に“何をすべきで、何をすべきでないか”を、イラストを用いて平易に解説します。
難しいトレーニング理論を勉強したり、高価な道具を買いそろえたりする必要はありません。わざわざ時間を作ってジムに通ったりする手間もかかりません。ほんの少しだけ意識するポイントを設けるだけで、普段感じているちょっとした不調が解決するだけでなく、元気に過ごせる未来に近づきます」
自分と反対のタイプの動かし方をしていなか?
余裕がある人は、「自分とは反対のタイプ」の説明を読むといいだろう。合わない体の動かし方をしていれば、日常生活では小さな疲労感や痛みとなって蓄積されてしまう。
つまり、反対のタイプの動かし方を避ければいいというわけだ。
さらに鴻江さんは、自身の理論の今後の展望を明かす。
「将来的には『リハビリテーション』の分野で大きな可能性を秘めていると感じています。
実際、聖峰会(せいほうかい)マリン病院・久留米大学名誉教授の上野高史さんの協力のもと、リハビリを必要とする患者さんに対し、イスからの立ち上がり方や歩き方の実証実験をしました。すると、パーキンソン病を抱えていたり、人工股関節の手術を受けた患者さんに、歩行スピードの向上や歩幅の拡大、歩行時の姿勢改善といった目に見える変化が確認されました」
患者からは「気持ち的に安心感がある」、「前向きになった」といった感想をもらったという。
「人に寿命があるとしたら、それは生まれたときに決まっているのかもしれません。でも『健康寿命』は、毎日をどう過ごすかによって、自分で延ばせるものだと思っています」
鴻江さんの理論には、日常生活を最後まで健康でアクティブに送るためのヒントが隠されている。
「あし体・うで体」体の動かし方をマスター!
呼吸、歩き方、階段、寝る姿勢など日常生活の体の動かし方を、「あし体」「うで体」別に紹介する。