お笑い芸人レギュラーほかよしもと芸人が発信する<介護レク本>「高齢者の笑顔で苦労も吹き飛ぶ」
内閣府・令和5年版高齢社会白書によると日本の総人口のうち65才以上の人口は3624万人(2022年10月時点)となり、総人口の29%が高齢者となった。高齢化の進行により要介護者も増え続け、2021年では全国で約690万人が要支援・要介護の認定を受けている。デイサービスや老人ホームといった介護施設やサービスのニーズが高まる中、注目されているのが高齢者向けの「介護レクリエーション」だ。介護施設の入居者やスタッフにも人気の吉本興業所属の芸人・タレントが提供する介護レクリエーションプログラムを紹介する。
よしもと芸人発!お笑い&レクリエーションで高齢者を元気に!
高齢者向け住宅や介護老人保健施設などの老人ホーム、デイサービスでは「レクリエーション」が開催されている。
レクリエーションによる定期的な運動は、身体機能の改善や転倒を防ぐなど生活の質の維持や、高齢者同士の交流など社会的なつながりも生まれる。
そんなレクリエーションと「お笑い」を融合させた取り組みを積極的に行っているのが「よしもとお笑い介護ブ!」だ。あるある探検隊でおなじみのお笑いコンビ、レギュラーを筆頭に、お笑い芸人たちがオンラインも活用してオリジナルの脳活・音楽レクリエーション・体操レクリエーションを展開している。
介護の世界を“よりよく楽しくする”ために、よしもと部活動プロジェクト「ブカツ!」から「よしもとお笑い介護ブ!」は誕生した。
メンバーはお笑い芸人を中心に30名ほどが所属し、全員が介護レク資格2級以上を取得。笑いをとりいれたレクリエーションを開発して、YouTubeで発信したり、介護施設を訪問したりと、高齢者を笑顔にする活動を行っている。
レギュラーの西川晃啓さんと松本康太さんは、2014年に介護職員初任者研修資格を取得し、その後、レクリエーション介護士1級も取得。
当初は介護業界に暗い印象を持っていた2人は、介護の現場で高齢者と触れ合う中で考え方が変わったという。
「大変なことも多いが実際は暗いことばかりではない。介護レクに参加してくださったかたからの感謝の言葉で苦労が吹き飛ぶほどの喜びが味わえます」(西川さん)
「自分たちのネタを見せたら、おじいちゃんやおばあちゃんが手を叩いて笑ってくれた。持ちネタを使えば手の運動にも効果があると感じました」(松本さん)
芸人による「介護レク」がついに書籍化へ
芸人として失敗したことを面白くフォローする力を活かしたレクリエーションは、参加者が失敗しても恥ずかしくないように笑いに変えてみんなで楽しむことができる。
そんな誰にでも簡単に取り組める介護レクリエーションを一冊にまとめた『現場でウケる!よしもと芸人の介護レク46選』が発売され、注目を集めている。
46個のレクリエーションがイラスト、動画付きでわかりやすく解説されているほか、介護現場の悩みにレギュラーが答える企画「教えてレギュラーさん!」も掲載されるなど盛りだくさんの内容となっている。
出版を記念して行われた無料特別オンラインイベントでは、全国から450の介護施設が参加し、水本健一さん(span!)による「大阪道頓堀なんでやねんゲーム」、さこリッチさんによる「ガッツポーズ体操」、もぐもぐピーナッツ(ばっしーさん、うっほ菅原さん)による「バシっと当てましょう」など、芸人たちが考案したレクリエーションを多くの高齢者が体験した。
「体力がなくなるので、ゆっくり行きましょう」「難しい方は小さく体を動かすだけでも大丈夫です」とオンライン画面越しにコミュニケーションと笑いをとりながら、参加者は時間を忘れて活動を楽しんだ。
「本当に簡単にマネできるようにつくられているので、ぜひ本を手にとって実践してほしい」(西川さん)
「動画がついているのがポイント。笑える動画になっているので、それを見ていただくだけでも笑って健康になる」(水本さん)
二次元コードを読み込むことで介護レクの動画を見ることができ、合計360分の動画も視聴できるという。お笑い芸人が本気で取り組んだレクリエーションで健康&元気を目指したい。
【データ】
『現場でウケる!よしもと芸人の介護レク 46選』
発売元:アスク出版 ©吉本興業
1980円
よしもとお笑い介護ブ!ちゃんねる(YouTube)
https://www.youtube.com/@user-fp8oy4rh5m
※吉本興業の発表したプレスリリース(2023年12月11日)を元に記事を作成。
写真提供/吉本興業 取材・文/松藤浩一
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