がんと漢方|専門医がすすめる抗がん剤と併用でき、体力回復になる漢方薬とは
『桂枝湯(けいしとう)』
「漢方薬だけでがんは治りませんが、科学的な裏付けをもった医療の1つとして、がん治療に漢方を取り入れています」
とは、がん専門医の今津嘉宏さんだ。 そんな今津さんが最強の漢方薬と考えるのは「桂枝湯」だ。
一般的に桂枝湯は、高齢者や胃腸が弱い人に向いており、体力が衰えた時の風邪の初期症状に用いる。体を温めて血行をよくする生姜(しょうが)・桂皮(けいひ)・芍薬(しゃくやく)、滋養強壮作用のある大棗(たいそう)、緊張をほぐす甘草(かんぞう)などが配合されているからだ。
「がん患者といっても、年齢層は幅広く、症状も、白血病や脳腫瘍などさまざまです。そのうえ、糖尿病や高血圧の既往症があったり、精神的なストレスで悩んでいるなど、状況は千差万別。桂枝湯は、そんなすべてのがん患者さんの術後の体力回復に効果的なんです」(今津さん)
術後に抗がん剤と一緒に服用しても副作用などの問題もないという。芍薬の根に含まれる成分ペオニフロリンには、筋肉の緊張をほぐす作用があるためリラックス効果があり、桂皮(シナモン)の香りがアロマ効果を発揮し、気持ちを和らげてくれる。術後のつらさを心と体の両方から癒してくれる漢方薬といえる。
含まれる生薬
●桂皮●芍薬●大棗●甘草●生姜
おすすめのタイプ
●気虚(ききょ):エネルギーが不足しているタイプ
・体がだるく、疲れやすい
・顔色が悪く、声が小さい
・風をひきやすい
・集中力がない
・手足に力がない
●気逆(きぎゃく):気が上半身に逆流するタイプ
・下半身は冷たいのにのぼせる
・焦りを感じる、不安感がある
・めまいや頭痛がする
・眠れない
・ちょっとしたことでイライラする
こんな悩みに効果あり!
□頭痛 
□寒気、発熱(微熱) 
□のぼせ 
□鼻水 
□軽いうなじのこわばり 
□体の痛みなど、風邪の初期症状 
□神経痛
教えてくれた人
今津嘉宏さん/芝大門いまづ クリニック。 日本がん治療認定医機構・暫定教育医。日本外科学会専門医。
※女性セブン2019年3月21日号