60才以上は要注意!<肺炎対策>予防が期待できるワクチン4種、生活習慣や運動法を医師が解説
誤嚥性肺炎を防ぐために鍛えたいのが、呼吸する力、飲み込むための嚥下(えんげ)力、そして発声力だという。
「呼吸筋とは、呼吸にかかわる筋肉の総称で、異物を追い出す“せき反射”を促す筋肉です。一方、嚥下のための筋肉は、のど仏周辺にあります。食前に、30秒間で5~6回を目標に唾液を飲み込むようにして“空嚥下”をするほか、下記の『のど筋トレ』もおすすめです」(大谷さん)
さらに、しゃべることで、飲み込む力を鍛えられるという。左の「ベロ出し運動」や人との会話、音読が有効。試してみよう。
ベロ出し運動
呼吸筋ストレッチ
【1背中を丸める】(1セット×10回)
(1)胸の前で手を組み、ゆっくりと息を吐ききる。
(2)息を吸いながら、おへそをへこませるように背中を丸めて腕を伸ばす。その後、息を吐きながら姿勢を(1)の状態に戻す。(1)と(2)をワンセットにして、1日10回行う。
【2両手伸ばし】(1セット×10回)
(1)両手を頭の後ろで組み、胸の筋肉と横隔膜を意識しながら、ゆっくり息を吸う。
(2)息をゆっくり吐きながら、伸びをするように、手のひらを返して腕を上に伸ばす。このとき、かかとは床につけたままで、ひじをしっかり伸ばす。息を吐ききったら、(1)の姿勢に戻る。(1)と(2)をワンセットにして、1日10回行う。
【3胸を張る】(1セット×10回)
(1)両手を後ろで組み、息をゆっくり吸いながら、猫背になるように両肩を前方に丸め込む。頭は少し下げる。
(2)息をゆっくり吐きながら、後ろで組んだ両手を伸ばす。両肩を斜め後ろに引っ張りながら、胸を張る。息を吐ききったら(1)の姿勢に戻す。(1)と(2)をワンセットにして、1日10回行う。
【4お腹とわき腹を伸ばす】(1セット×10回)
(1)片手を頭の後ろに当て、もう一方の手は腰に当てて、鼻からゆっくり息を吸う。わき腹が気持ちよく伸びていることを意識。
(2)息を吐きながら、頭に手を当てた側のひじを上方に引き上げて、わき腹を伸ばす。息を吐ききったら、体を(1)の姿勢に戻し、楽に呼吸する。反対側も同様に行う。(1)と(2)をワンセットにして、1日10回行う。
のど筋トレ
【1手とおでこの押し合い】(1セット×5~10回)
おでこに手のひらの下の方を当てる。そのまま頭を下方向に押し、手はおでこを押し戻すように力を入れて5秒間キープ。のど仏のあたりに力が入っていればOK。
【2親指とあごの押し合い】(1セット×5~10回)
あごの下に両手の親指の腹を当てる。下を向いてあごを引き、親指はあごを押し戻すように力を入れ、5秒間キープ。のど仏のあたりに力を入れる。
【3口角引き上げ】(1セット×5~10回)
まっすぐ正面を向き、口をできるだけ横に開く。「イィ~」と長く発声させるようにして10秒間キープ。奥歯を食いしばるように緊張させることがポイント。声は出しても出さなくてもOK。
【4寝たまま首を持ち上げる】(1セット×1日2回)
(1)床やふとんの上にあおむけに寝て、体をリラックスさせる。薄手のバスタオルを枕にするとやりやすい。
(2)つま先を見るように頭だけを持ち上げ、その姿勢を30秒間キープ。(1)の姿勢に戻って10~30秒間リラックスする。両肩は床につけたままで行う。
※「のど筋トレ」【4】は頸椎症やむち打ち症など、首の病気がある人や高血圧の人は行わないこと。代わりに、親指とあごの押し合い運動を行おう。
※参考文献/『「よくむせる」「せき込む」人のお助けBOOK』(主婦の友社)
取材・文/桜田容子 イラスト/藤井昌子
※女性セブン2023年11月9日号
https://josei7.com/
●マスク生活でのどの老化が進む…危険な”誤嚥性肺炎”を防ぐ4つの対策【医師監修】