「オルセー美術館の代表作品」でまちがい探しに挑戦【エドゥアール・マネ「草上の昼食」編】
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まちがい探しで読み解く!名画『草上の昼食』のここがポイント!
【1】モデルはマネの友人。右の男性と同様に当時の流行のファッションに身を包んでおり、現代性を巧みに取り入れた構図とされる。二人に黒い服を着せたのは、裸婦の白い肌を際立たせる仕掛けとみられる。
【2】平面を立体的に見せる遠近法は、当時すでに確立していた技法。ところが、水浴する女性の遠近感は曖昧だ。当時の批評家はマネの作品をひどくこきおろしたが、こうした技法の点も批判の対象だった。
【3】描かれているのはマネの弟。ポーズはライモンディ『パリスの審判』に倣ったもので、戸外で服を着た男性と裸婦という組み合わせはティツィアーノ『田園の奏楽』を参考にしたといわれている。
【4】裸婦が脱ぎ捨てたと見られる衣服は、当時の流行服で、この女性が現代の娼婦であることを示している。女性の表情が挑発的に見て取れることも批評家の反感を買い、激しい非難にさらされた。
【5】果物やパンなどが無造作に転がっている。この情景は、当時流行していた森の中でのピクニックを描いたものとされる。空になった酒瓶は、全員で回し飲みをしたことが表現されているようだ。
参考文献/『名画のすごさが見える 西洋絵画の鑑賞事典』(永岡書店)、『理由がわかればもっと面白い!西洋絵画の教科書』(ナツメ社)、『知識ゼロからの西洋絵画入門』(幻冬舎)、『語れるようになる 西洋絵画のみかた』(成美堂出版)、『マンガでわかる「西洋絵画」の見かた』(誠文堂新光社)
文/小野雅彦 写真/写真AC、アフロ
※週刊ポスト2023年10月6・13日号