バナナだけじゃない“むくみ”対策にいい食品のランキング「アボカド」「小豆」もおすすめ
夕方になると脚はパンパン、靴下のあとが目立つ。翌朝、鏡を見ると顔がまんまるに──。特に夏はむくみやすい季節だというが、女性を悩ませるむくみに、特効薬はない。むくみ知らずになる食品を摂ることを今日から実践しよう。
夏は水分を多く摂るのに、代謝が落ちるためむくみやすい
“むくみ”は、体内に余分な水分をため込み、血液中の水分が血管の外に染み出て、皮下組織に過剰にたまって起こるもの。夏はむくみやすい季節とされるが、その背景には夏特有の習慣がある。
イシハラクリニック副院長の石原新菜さんが言う。
「暑さのせいで普段よりも水分を多く摂るようになる。にもかかわらず、冷たい飲み物やエアコンのきいた室内にいることで体が冷えて代謝が落ちるため排出しにくくなる。血液やリンパの流れも悪くなり、水分をため込みやすくなってしまうのです」(石原さん・以下同)
むくみは、さまざまな不調を引き起こす
脂肪がついたわけではないのに太ったように見えてしまうばかりか、放置すれば、だるさや体重増加などさまざまな不調が表れることがある。
「一部の筋肉や皮膚の細胞周辺に水がたまることで、周囲の血流も悪くなる。それにより手や脚に痛みやしびれが出たり、下肢静脈瘤ができやすくなったりします」
ナビタスクリニック川崎の内科医・谷本哲也さんもその危険性を指摘する。
「むくんだ状態が続くと、周囲の皮膚が張って、かゆみを伴うことがあります。皮膚のバリア機能も低下するので、感染症のリスクも増加してしまいます」
見た目の変化にとどまらず、体の不調を招くむくみ。その予防と解消は、日々の食事と習慣にかかっている。
を尿中に出します。減塩ではなく、塩を体外に排出する“排塩”の働きをします」(石原さん)
むくみをとる最強の食品ランキング12位~1位
今回、専門家たちが回答した「最強食品」のキーワードは、「カリウム」と「排塩」だった。
「塩分を摂りすぎると、体は塩分濃度を下げようと水分をため込むので、むくんでしまいます。そこで重要な働きをするのが、カリウムです。カリウムは、野菜や果物、海藻、豆類全般に多く含まれ、細胞内液の浸透圧を調節して一定に保つ働きがある。利尿作用があり、塩分を尿中に出します。減塩ではなく、塩を体外に排出する“排塩”の働きをします」(石原さん)
以下の12人の「専門医」と「食のプロ」におすすめの食品と習慣をあげてもらい、1位を10点、2位を9点、3位を8点、4位を7点、5位を6点として集計。15点以上を掲載しました。
専門家のみなさん
石原新菜さん(イシハラクリニック副院長)、金丸絵里加さん(管理栄養士)、佐野こころさん(医学博士)、田中優子さん(田中病院院長)、伊達友美さん(管理栄養士/戸板女子短期大学食物栄養科ビューティ&ウェルネス講師)、谷本哲也さん(ナビタスクリニック川崎・内科医)、浜本千恵さん(管理栄養士)、平柳要さん(医学博士)、福田千晶さん(医学博士)、前田あきこさん(管理栄養士)、望月理恵子さん(管理栄養士/健康検定協会理事長)、渡辺信幸さん(中部徳洲会病院健康管理センター長)
《順位(点数)/食品/コメント》
12位(15点):納豆
「カリウムや食物繊維も豊富に含まれる」(金丸さん)、「豊富なたんぱく質とビタミンB6が水分バランスを調整し、むくみを軽減。ナットウキナーゼは血流を促進する」(渡辺さん)
11位(16点):青菜(ほうれん草・小松菜)
「ほうれん草は茹でても100gあたり490mgのカリウムが含まれている」(平柳さん)、「ほうれん草は水にさらすことでカリウムが溶け出してしまうため、小松菜の方が摂りやすい」(浜本さん)
9位(20点):いも
「里いもには100gあたり552mgのカリウムが含まれ、食物繊維が豊富で腸内環境を整える」(田中さん)、「じゃがいもより、里いもやさつまいもの方がカリウムの含有量が多い」(浜本さん)
9位(20点):小豆
「アントシアニンやサポニンによって尿の出がよくなる」(石原さん)、「カリウムだけでなく、血流の流れをよくするサポニンも多く含まれていて漢方的にも水毒を改善」(伊達さん)
8位(21点):海藻
「食物繊維も多いので、体内の余分なものを排泄しデトックス効果も。血圧や血糖の急激な上昇も抑制」(金丸さん)、「刻んで余分な水分を出して食べるめかぶがおすすめ」(前田さん)
7位(24点):キウイ
「血流をよくするクエン酸も多く含まれる」(浜本さん)、「食物繊維はグリーン、血管を強くするビタミンCはゴールドに多いので、日によって変えて食べても◎」(望月さん)
5位(25点):きゅうり
「カリウムが豊富で、サラダなどで食べやすいのも高ポイント」(医学博士・佐野こころさん)、「食物繊維も多く含まれ、腸内環境を整えることで水分やナトリウムの排泄を促す」(福田さん)
5位(25点):しょうが
「血行をよくする効果があり、体の循環を促進してむくみを解消する」(谷本さん)、「強力な抗酸化・抗炎症作用および血行増進作用があるのでむくみを改善できる」(平柳さん)
4位(29点):すいか
「カリウムやシトルリンのほか、赤い色はカロテノイド色素の一種であるリコピンで、高い抗酸化作用があり、活性酸素によって起こる体の老化を抑制。美肌作りにも効果的」(金丸さん)、「カリウムの含有量が多く、可食部が多いので効率的に摂取できる」(前田さん)
3位(30点):お茶
「緑茶に含まれる茶葉サポニンやGABA、カフェインには利尿作用があるので、むくみを改善する」(平柳さん)、「緑茶やルイボスティーなど利尿作用のあるお茶を積極的に摂取して」(前田さん)
2位(44点):アボカド
「カリウムだけでなく、血流を促すビタミンEも豊富に含まれる」(金丸さん)、「血圧の調整にかかわるマグネシウムのほか、含有量が多い食物繊維が塩分を吸着し、体外に排泄するのを助ける。ただし、脂質が多いため食べすぎには注意が必要」(望月さん)
1位(55点):バナナ
「100gあたり360mgのカリウムが含まれ利尿作用にすぐれているほか、マグネシウムやビタミン類、鉄、食物繊維などむくみによい物質が豊富に含まれる」(田中さん)、「調理不要で、朝食にもおやつにもさまざまな場面で手軽にカリウムを摂れる」(望月さん)
→医師・専門家が選ぶ「血管がつまって死ぬ」のを防ぐ最強食品ランキングBest10
整腸でむくみが解消
最強の食品1位に輝いたのは、カリウムが多い食品の代表格である「バナナ」だ。
「100gあたり360mgとカリウムが豊富に含まれ、マグネシウムやビタミン、鉄、食物繊維など、むくみ改善に効果のある栄養素も豊富です」(田中病院院長・田中優子さん)
2位につけた「アボカド」も、100gあたり590mgとカリウムの含有量が高い。管理栄養士で健康検定協会理事長の望月理恵子さんが言う。
「バナナとアボカド、どちらも塩分はゼロ。調理不要で加熱せずに食べられるため、栄養の摂取効率がよく、余分な塩分を摂る心配もありません。アボカドは脂質も多いので摂りすぎには注意してほしいですが、脂質の多くはオメガ9系脂肪酸のオレイン酸です。悪玉コレステロールを減らして血圧を下げる働きがあるといわれています」
腸内環境を整えることは、消化を促し、水分を排出するためむくみ解消にも効果がある。アボカドは整腸効果が高いこともポイントだ。
「水溶性食物繊維が多く含まれるので、体内の余分な老廃物を排出してくれます」(管理栄養士・金丸絵里加さん)
栄養を効率的に摂取するという点では、「いも」(9位)もいい。管理栄養士の浜本千恵さんが解説する。
「カリウムは水に溶けやすい性質がありますが、いも類のカリウムは茹でても栄養素が失われにくいという特徴があります。特にさつまいもや里いもはカリウムが豊富です」
夏が最盛期の「すいか」(4位)、「きゅうり」(5位)にも、カリウムがたっぷり含まれている。田中さんはすいかを1位に推した。
「すいかにはカリウムだけでなく、むくみをとるシトルリンという栄養素が非常に多く含まれます」(田中さん)
金丸さんも、シトルリンに注目し、すいかをあげた。
「シトルリンには塩分を腎臓から尿に排出する働きがあるので、腎臓病や心臓病、高血圧予防にもなります」
旬の食材は栄養価が高く、むくみ対策以前に体の調子を整えるので、積極的に食事に取り入れたい。
体を温めることで知られる「しょうが」(5位)だが、期待される効果はそれだけではない。医学博士の平柳要さんによれば、しょうがには抗酸化作用もあり、むくみ防止に役立つという。
「体内の活性酸素が増加すると、血管が老化して血流が悪くなり、むくみやすくなります。しょうがは体を温めて血行をよくするだけでなく、強力な抗酸化作用、抗炎症作用があるので、血管の老化を防いでくれます」(平柳さん)
意外なところでは、「小豆」が9位にランクインした。管理栄養士で、戸板女子短期大学食物栄養科ビューティ&ウェルネス講師の伊達友美さんが説明する。
「小豆はカリウムが多いだけでなく、血流改善効果があるサポニンが豊富に含まれます。茹でた小豆やあんことして食べるのもいいですが、塩分や糖分を控えるためには、小豆を煮出した小豆茶を飲むのがいちばんです」
小豆は、石原さんも1位にあげる推し食品だ。
「昔は、むくみに悩むことが多い妊婦さんに、利尿剤の代わりに小豆の煮汁をよく飲ませていました。小豆にはポリフェノールの一種であるアントシアニンや、苦み成分のサポニンも含まれています。これらには抗酸化作用があり、血圧や血糖値を下げて血管の老化を防ぎ、血流が改善されます。鉄分も豊富なので、貧血など女性の不調にも効果があります」(石原さん)
→「ポリ袋で簡単アボカドスープ、スパイスで発汗!」で冷えに克つ!体を温めるスープレシピ
※女性セブン2023年9月7日号
https://josei7.com/