眠れない夜の最終手段?「睡眠薬」は種類やリスクを知って正しく使う【薬剤師解説】
●睡眠薬の種類/懸念点
市販薬
●抗ヒスタミン薬(睡眠改善薬)
鼻炎薬やかぜ薬などの眠くなる副作用を利用したもの。効き目がおだやかな分、人によっては効果を感じられないこともある。
処方箋
●メラトニン受容体作動薬/オレキシン受容体拮抗薬
自然な睡眠リズムを促し、高齢者にも使いやすい一方で、眠りが浅くなって悪夢を見ることがある。
●ベンゾジアゼピン系
耐性と依存性のリスクがある。呼吸抑制や健忘の副作用も。
●非ベンゾジアゼピン系
比較的依存性が低いが、健忘の副作用があるほか、服用後に頭がぼんやりすることがある。
どうしても眠れない日は徹夜しても問題ない
睡眠の専門家たちは「眠れない日は、無理に眠らなくていい」と口を揃える。
「早く寝なきゃ」と自分にプレッシャーを与えてしまったら、それが余計に寝つきを悪くし、眠りを浅くするからだ。
「まとまった睡眠が取れなくても、夜中に目が覚めても、昼間の活動に支障がなければ、大きな問題はありません。“○時間眠らないといけない” “○時には寝ないと”と考えるのではなく、必要な睡眠時間はその日その日で、自分の体と対話して決めればいいのです」(雨晴クリニック院長の坪田聡さん)
そもそも、年を重ねれば睡眠時間が短くなるのは自然なことだ。
「子供に必要な睡眠時間は約10時間ですが、65才だと5~6時間程度が一般的。睡眠時間は、筋肉量や活動量に比例します。睡眠時間が短くなったら、その分遅く布団に入るくらいでいい。起きる時間さえ大きくズレなければ大丈夫」(中部大学・生命健康科学研究所の特任教授、宮崎総一郎さん)
ひと晩くらい眠れなくても、健康に大きな影響はないのだ。西川さんは「どうしても眠れない日は、思い切って徹夜するのもいい」と話す。
「眠れなかった日は、意外と“徹夜明けのテンション”で乗り切れてしまうもの。そうすれば、その日の夜は疲れて、いつもより早く眠れます。年を取ったら眠れなくなるのは誰でも同じ。“同級生もみんな眠れていない”と考えれば、気が楽になるはずですよ」(昭和西川の代表取締役副社長で睡眠研究家の西川ユカコさん)
眠れない人ほど「別に、眠れなくてもいいや」と、気楽に構えて、この睡眠ガイドを今一度最初から読んでみてほしい。気がついたら夢の世界にいるかもしれない。
教えてくれた人
三上彰貴子さん/薬剤師、坪田聡さん/雨晴クリニック院長、西川ユカコさん/昭和西川代表取締役副社長。睡眠研究家、宮崎総一郎さん/中部大学・生命健康科学研究所特任教授
写真/PIXTA
※女性セブン2023年8月3日号
https://josei7.com/
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