猫が母になつきません 第365話「かたづける」
引越しに向けて大片付け中です。片付けるといってもほとんどは「捨てる」作業です。亡くなった父が50年以上前に建てた一軒家。母はもともと捨てない人で、片付けられない人(この二つの要素は大抵セットらしい)。私が東京から帰ってきたときには家中のすべてのタンス、引き出し、押入れ、天袋まで物がぱんぱんに詰まっていました。私の部屋だったところは弟が学生時代一人暮らししていたときのものや結婚して子供が小さかった頃のものでいっぱいでした。こういうの実家あるあるなのでは。いらないもの実家に置いてく。しかたなく仏間で暮らし始め、今も仏間です。それでもこの11年の間に少しづつ片付けて、母の抵抗にあいながらもいろいろ捨ててはいたのです。しかし売却のために家をからっぽにしないといけないとなると話は別。びっくりするくらい大変です。すべてのものを出し、分別し、運び、ゴミに出す。業者に頼むという手もありますが、頼むときは「もうこれ全部捨ててください」というくらいの状態になっていないと無理な気がします。とりあえずそこまでもっていこうと、毎日ひとりもくもくと片付けています。ああ、猫の手も借りたい…そういえばうちには猫がいたはず。でもかしこい猫はこんなときどこかに隠れて呼んでも出てこない。たくさんのモノに翻弄され疲れ果てている人間を横目にのんびり昼寝をしているのです。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。