話題の「ChatGPT」で老後の暮らしが激変!介護現場や終活相談ほか最新の活用事例
仕事、家事、育児と忙しい毎日を少しでも楽にしたいと思っている人も多いはず。どれだけ支離滅裂で自分勝手な無理難題を投げかけても、即座に解決策を一緒に考えてくれる相棒がいたらどんなに心強いだろう…。そんな切なる願いは「ChatGPT(チャットジーピーティー)」によって叶えられようとしているのかもしれない。誰でも簡単に使える「ChatGPT」を活用したサービスを紹介する。
ChatGPTが家事の相談相手に「かめ子かあさん」
ChatGPTはそのものの普及に加え、その機能を駆使した新たなサービスが次々と立ち上がっている。その中にはミドルシニアに向けたものも少なくない。
株式会社ぴんぴんころりが運営する「東京かあさん」は、ミドルシニアの熟練主婦がワーカーとして個人家庭を訪問し、家事や育児などをサポートするサービス。“東京にもう1人のお母さんを”をコンセプトに、平均年齢66才、約1400名が“お母さん”として登録している。そんな“お母さん”たちの相談相手として開発されたのが、ChatGPTをベースにしたAIツール「かめ子かあさん」だ。東京かあさん広報担当の鏡味真矢さんが語る。
「訪問するワーカーたちは基本的にひとりで各家庭のサポートをしているため、『冷蔵庫にある食材で何を作ればいいか』、『浴室の鏡のうろこ汚れはどう落とせばいいか』など、業務中に疑問が生じたとき、すぐに相談できる相手がいません。そこで『かめ子かあさん』にLINE経由で聞きたいことを質問すれば、すぐに回答が返ってくる仕組みを考えました」
「かめ子かあさん」は、東京かあさん公式キャラクターで“子育て経験が豊富な家事のプロフェッショナル”と設定されている。
「かめ子かあさんの回答のベースはChatGPTですが、口調を親しみやすくして、かわいらしい絵文字を使うなどのアレンジを加えています。どんな質問でも1分以内に返してくれるのでワーカーの評判は上々です」(鏡味さん・以下同)
育児をとうの昔に卒業している“お母さん”も多く、小さな子供のいる家庭を訪れた際、
「子供が好きな味付けってどうすればいいんだっけ?」、「1才の子をあやすときに気をつけることは?」といった疑問が出てくることも多い。「かめ子かあさん」とのそうしたやり取りをミドルシニアは大いに楽しんでいるという。
「わからないことを気軽に聞けるという利便性に加え、まるで同僚や友人と話しているようにスムーズに会話のキャッチボールができる点でも、ミドルシニアとChatGPTはフィットしています。弊社は、高齢になっても元気なうちは生き生き働いてほしいという就業支援からスタートしているため、ChatGPTの活用で悩みや不安を軽減して、多くのかたに長く楽しく活躍してもらえるのはとてもありがたいことです」
介護現場の煩雑な業務をChatGPTで改善
介護業界でもChatGPTを取り入れる動きがある。
「精度が高く、介護業界に生かせると思いました」
と語るのは、高齢者の介護支援を行う株式会社ACG(あおぞらケアグループ)DX部部長の堀之内将馬さん。
堀之内さんはたまたま見かけた動画でChatGPTを知り、「これはすごい」と即座に魅了された。
「介護業界は報告書やマニュアルなど書類を作成する業務が意外と多いんです。しかし現場にいる人は書類作成に慣れていないため、どうしても時間がかかってしまう。そうした仕事にChatGPTを取り入れたらスタッフの負担が軽減できると思いました」(堀之内さん・以下同)
それまではスタッフで分担して作っていた書類をまずChatGPTで作成し、それに人の手で修正を加える使い方から始めた。今後はさらにChatGPTの業務拡充と既存システムの自動連係をしたいと話す。
「事務的な書類作成に加えて、将来的には、ケアマネジャーが作る介護サービスの計画書である『ケアプラン』にもChatGPTがかかわってくれることをめざしています。以前からケアプラン作成はAIに取って代わられるといわれていましたが、これだけ精度が上がるといよいよ現実味を帯びてきました。でもそれは決して仕事をAIに奪われるということではありません。ケアプラン作成の負担が軽くなると、ケアマネジャーはさらに多くの要介護者に対応することができるようになると期待されます」
少子高齢化が進んで介護現場のさらなる人手不足が懸念されるなか、ChatGPTは救世主といえるだろう。
「介護は人間が相手なので、効率だけを考えるとどうしてもケアが疎かになってしまいます。しかし代替できるところをChatGPTに任せることができたら、その分スタッフの手が空いて現場でのケアに時間を費やせるようになります。AIとの組み合わせによって、介護はいま以上に価値のある仕事になると思います」
「終活」の悩みもChatGPTで解決!
最期のときを迎える準備にも、ChatGPTは寄り添ってくれる。
「人生100年時代のコンシェルジェ」を掲げる株式会社ファミトラは、資産、相続、老後の介護、身辺整理といった「終活」についての質問をChatGPTが答える「終活相談AI」の運用を始めた。
同社ディレクターの塩路未芽さんが言う。
「いまのところ、自分の老後を考えながら、同時に親の老後を目の当たりにするタイミングである40~50代がメインのユーザー層です。弊社が持つさまざまな終活情報をChatGPTを利用した『終活相談AI』を通して提供し、終活に対する不安や疑問を解消するお手伝いができればと考えています」
終活という大きな枠組みを持つ問題にもスピーディーに返答できることがChatGPTの大きなメリットだ。
「資産の整理から老後にかかりやすい病気まで、あらゆる質問に即座に反応が来ることに好評をいただいています。LINEなどの質問にスタッフが手打ちで対応するとどうしても返答に時間がかかりますが、ChatGPTなら1分ほどで疑問への回答が来る。悩みを抱えた利用者が不安に思ったりモヤモヤしている時間が短縮されて、心のゆとりにつながるという点もメリットだと考えています」(塩路さん)
この先、多くの人間は揺りかごから墓場までの道のりを、ChatGPTとともに歩むことになりそうだ。
教えてくれた人
鏡味真矢さん/株式会社ぴんぴんころり広報、堀之内将馬さん/株式会社ACG(あおぞらケアグループ)DX部部長、塩路未芽さん/株式会社ファミトラディレクター
文/池田道大 取材/小山内麗香、廉屋友美乃、戸田梨恵、伏見友里
※女性セブン2023年7月6日号
https://josei7.com/
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