シニア世代におすすめ「ChatGPT」の始め方・使い方「レシピや旅行プランも手軽に」

　最近注目を集めている「ChatGPT（チャットジーピーティー）」。人間の問いかけにまるで人間のように答え、対話するAIサービスは、熟年者こそ使いこなすべき最新テクノロジーだと専門家は語る。「ChatGPT」の使い方を詳しく解説する。

ChatGTPライフを満喫しよう！ — ChatGPTがあなたの生活をさらに便利にする？（写真／PIXTA）

「ChatGPTとは？」わかりやすく解説

「ChatGPTはIT界で起きた巨大なブレークスルー（障壁の突破）です」

　と語るのは、ITジャーナリストの三上洋さん。　

　そもそもChatGPTは「Open AI」という会社が開発したAI（人工知能）の一種だ。

　チャットとは、「インターネットでリアルタイムに会話する」ことを指す。GPTの原語は「Generative Pre-trained Transformer」で、意訳すると、「事前学習して自分で新たな文章を生成するモデル」となる。

「その名の通り、ChatGPTは使い手である私たちと会話（チャット）しながら、まるで生きている人間がしゃべっているように自然な言語で文章を生成します。インターネットで文章を学習したAIが、あたかも人間同士の会話であるかのようにすらすらと、しかも即座にこちらの問いかけに答えて文章を作ることが、ブレークスルーを果たした大きなポイントです」（三上さん・以下同）

　初めて公開されたのは昨年11月だが、三上さんによれば2022年は、ChatGPTのようなユーザーの要求に即座に応える「生成系AI」の開発者たちにとって画期的な年になったという。

「文章作成はもちろん、画像や動画についても、グーグルをはじめとした気鋭のAi開発企業がこぞって研究開発を進めてきました。その結果、さまざまなサービスが世に出るようになった。

　例えば昨年の夏頃、イギリスのAI開発企業がキーワードを入れるだけで画像が作れる『Stable Diffusion』というサービスを公開して大きな話題になりました。続いて公開されたChatGPTは、世界中の研究者たちが『生成系AIが爆発的に賢くなっている』と驚くほどの高性能だったのです。なぜ2022年に生成系AIの知能がここまで上がったのか、決定的な理由は専門家たちの間でもいまだに解明できていませんが、それまで学習させていた知識がある時点で閾値（いきち）を超えて、急成長を遂げたと考えられます」

88才の若宮正子さん「ChatGPTはシニアの味方」

　ChatGPTは決して研究者や専門家たちのものだけでない。開発会社であるOpen AI社のサイトにメールアドレスや名前など簡単なプロフィールを登録すれば、世界中の研究者を驚かせるほどの高性能にもかかわらず、基本的な機能は誰でも無料で簡単に利用できる。

「私もさっそく使っていますよ」と語るのは、「世界最高齢のアプリ開発者」と呼ばれる若宮正子さん（88才）。

　定年退職間際の58才でインターネットを始め、米寿を迎えたいまもITエバンジェリストとして活躍する彼女は、「初心者とシニアの味方」とChatGPTを絶賛する。

「難しい手続きや操作手順が一切必要なく、友達や家族とLINEでやり取りする感覚で使うことができます。それにもかかわらず仕事や生活をするうえで、心強い“秘書”になってくれる。

　最近ありがたかったのは、鳥取県倉吉市で講演をしたとき。行ったことのない土地だったから、『倉吉について300字以内で語ってください』と頼んで、市の成り立ちから観光スポットまで端的にまとめてもらいました。自分でインターネットを検索するよりもはるかに時間も手間も短縮できる。しかも広告など不要な表示も一切出ないから、ストレスなくスムーズに使うことができます」（若宮さん）

家事や仕事、趣味に活用して人生を豊かに

　こうした使いやすさと実力から、ChatGPTは世界中で瞬く間に普及し、本格的に導入する企業も増えている。

「すでに多くの会社がChatGPTを業務に取り入れています。特に多いのはカスタマーサポート業務の代行です。たとえば、電気機器などメーカーの製品サポートを担うチャットボットはこれまで低品質でほとんど使い物にならず、結局人間が電話や対面で対応しなければならなかった。しかしChatGPTは適切な回答を提供して業務の手間やコストを下げてくれるため、多くの企業が採用しています。加えて報告書やプレスリリースの作成、会議の議事録づくりでもその能力が重宝されています」（三上さん）

　実際、大和証券や三井住友フィナンシャルグループ、農林水産省、文部科学省など官民問わずさまざまな現場で主戦力となっているのだ。あまりに仕事が“デキる”ためChatGPTは、「今後、3億人の仕事を奪う」とも囁かれるが、三上さんは前向きに受け止めている。

「確かに“生成系AIが人間の仕事を奪う”とよく報じられていますが、私は違うと思います。仕事も家事も、圧倒的に効率がよくなり、人間が人間として自由に使える時間が増えるんです。ミドルシニアの女性も家事や仕事、趣味の面などでChatGPTを上手に使いこなせば、自由な時間が増えて人生が豊かになるはずです」（三上さん）