兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし【第197回 人は人、ツガエはツガエ】
ライターのツガエマナミコさんは、若年性認知症の兄との2人暮らし。ハプニングがたびたび起こる毎日で、驚いたり、困ったりする日常を送る中で、気の持ちようにも変化が起きてきました。今回は、「常識」とは何かを考えたマナミコさんです。

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「常識」と「非常識」について考えてみる
いつものようにわたくしが、自室に閉じこもって仕事(ときどきYouTube鑑賞も)をしておりますと、リビングからテレビの音とともにシャキーン、カシャン、シャキーン、カシャンという金属製の音が聞こえて参りました。聞き覚えのある音に「なんだっけこれ」としばし考えましたところ「ZIPPOだ!」とひらめきました。
ZIPPOライターは若かりし兄が趣味として収集していたもので、20個ほど並べられる専用のケースがいくつもあるのを引っ越しの際に拝見していました。兄が若かりし当時は「タバコ」が男子の嗜みの上位に君臨しておりまして、ZIPPOは男子のファッションアイテムの一つだったように記憶しております。コレクションは主に観賞用なので、ほとんどのものはオイルが入っていない未使用品。放置しても発火することはございません。
でも、兄はタバコを吸っていた時期も