高木ブー「家族で川の字になって寝た!」北海道の旅を満喫|連載 第94回
「北海道にはウクレレがよく似合うんだよね。今回は桜と雪景色の両方を見られて感激した」と高木ブーさん。札幌で開催中の「志村けんの大爆笑展」のオープニングに駆けつけて、イベントを盛り上げた。翌日は家族と登別温泉を訪れて、水入らずの時間を過ごしたという。夏に向けて英気を養ったブーさんは、ますます力強く突き進む。(聞き手・石原壮一郎)
お母さんと子どもたちが雷様のコスチュームで来てくれた
アロハ! さわやかな季節になってきたよね。楽しいゴールデンウィークを過ごしてますか。僕はひと足早くってわけでもないけど、ちょっと前に北海道に行ってきました。4月21日から札幌市のサッポロファクトリーで「志村けんの大爆笑展」(5月14日まで)が始まって、オープニングのセレモニーに出たんだよね。
まだ北海道はちょっと肌寒かったけど、会場はすごい熱気だった。スタートする時間には大行列が建物の通路に延々と続いて、「変なおじさん」や「バカ殿」の格好をしている人もいっぱいいたな。みんなそうやって志村(けん)を思ってくれてるんだよね。
初日は僕が会場に来るって地元のテレビ番組とかで告知してくれてたからか、雷様に扮した人もいた。なかでも感激したのが、お母さんと小学校低学年ぐらいの男の子の雷様。親子で声をそろえて「大ファンです!」なんて言われちゃった。あのコスチュームって、お店には売ってないよね。みんな手づくりなのかな。嬉しいよね。
「大爆笑展」では、ゲストとして会場に行ったときは「サイン入りの名刺」を配ってる。仲本(工事)と一緒だった去年の秋の高崎のときが最初だったかな。せっかく来てくれたんだから、なにか記念になるものを渡したいもんね。娘のかおるに教えてもらったんだけど、SNSを見るとたくさんの人が「高木ブーからサイン入りの名刺をもらった!」なんて言って、名刺の写真をアップしてくれているみたい。
北海道と言えばやっぱりカニかなと思って、札幌の夜はカニを食べに行った。自分ではヘンだと思わないんだけど、僕のカニの食べ方はちょっと変わってるみたい。まず最初に身を全部ほぐさないと落ち着かないんだよね。外で食べると、ほぐしているうちに温かい汁ものとか出てきて、どんどん冷めちゃう。
一緒にいる家族に「おじいちゃん、早く食べなよ」って言われるんだけど、そういうわけにはいかない。家でカニを食べるときは、家族の分もほぐしたりする。こう言ったら何だけど、誰よりも上手だと思う。ああいうチマチマした作業が好きなのかな。ウクレレの演奏とどこか通じるところが……あると言えばあるしないと言えばないね。
翌日に行ったのが登別温泉。ドリフの「いい湯だな」にも「登別の~湯」が出てくる。だからってわけじゃないけど、好きな温泉地なんだよね。温泉もよかったし、足を延ばして行った洞爺湖の景色が最高だったな。湖面に雪化粧した有珠山が映ってた。札幌の近くは桜が満開だったのに。同じ時期に両方が見られるのは北海道ならではかな。
北海道って、けっこうウクレレが盛んなんだよね。登別温泉に近い伊達市の牧場では、かつて「ウクレレカンタービレ」っていうイベントが毎年行われてた。僕も何度も出たけど、広い空にウクレレの音が吸い込まれて、遠くから牛の鳴き声も聞こえてきたりして、すごくいい雰囲気なんだよね。もちろんハワイもいいけど、北海道の乾いた空気もウクレレにピッタリだと思う。またあの牧場で演奏して歌ってみたいな。
登別温泉は「大爆笑展」に一緒に行った娘のかおると旦那さんと、あとから合流した孫のコタロウと家族4人で行った。広い和室に4人で川の字……じゃないか、とにかく並んで寝たんだけど、修学旅行みたいで楽しかったな。旅行先だと、ご飯のあともみんなそれぞれ自分の部屋に行くわけじゃないから、ゆっくり話ができていいよね。何を話したかはぜんぜん覚えてないけど。
4月30日には、立川のグリーンスプリングスで開催された「Aloha Hawaiian Festival」で演奏してきた。感動したのが、娘のかおるが作詞して僕が作曲した「ブルーメモリー」を歌ったとき。ステージの前で60人のフラガールが、僕の歌と演奏に合わせてフラを踊ってくれた。その向こう側では、たくさんのお客さんが体を揺らしている。圧巻っていうのは、ああいう光景のことを言うのかもしれないな。
立川では、もうひとつ嬉しいことがあった。イベントを主催した立飛ホールディングスの取締役の方が教えてくれたんだけど、会場の場所には終戦後に米軍の立川基地の飛行場があったんだって。僕は20代の頃、フィリピンや台湾や沖縄の米軍キャンプで演奏するために、バンドの仲間といっしょに輸送機に乗ってそこから何度も飛び立ったんだよね。もう当時の形跡は何も残ってないけど、空を見上げながら「そうか、この空から行ったのか」なんて思っちゃった。
前回も紹介した「ドリフ麻雀」も、いよいよスタートする。本格的に配信が始まるのは6月からだけど、まずは5月6日にプレ動画ってことで、麻雀練習の様子が公開されるみたい。加藤(茶)も僕も麻雀はすごく久しぶりだったから、やり方を思い出すまではけっこうドタバタだったな。クラウドファンディングで毎月サポーターを募集してるんだけど、募集ページには僕のイラストも載ってます。よかったらのぞいてみてください。
→イザワオフィス公式YouTubeでの「ドリフ麻雀」について詳しく見る
これから夏に向けて、ますますウクレレが活躍するよね。僕もがんばらなきゃ。北海道であらためて思ったけど、やっぱり家族といっしょに過ごす時間が、僕にエネルギーを与えてくれている。「チーム高木ブー」のみなさん、これからもよろしくお願いします。
ブーさんの一言
「家族みんなで満喫した北海道の旅は、最高でした。ファンのみなさんと交流できたのもうれしかったなあ。エネルギーをチャージしたので夏に向けてますます頑張ります!」
高木ブー(たかぎ・ぶー)
1933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1964年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。CD『Hawaiian Christmas』『美女とYABOO!~ハワイアンサウンドによる昭和歌謡名曲集~』『Life is Boo-tiful ~高木ブーベストコレクション』など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)、『高木ブー画集 ドリフターズとともに』(ワニ・プラス)など。YouTube「【Aloha】高木ブー家を覗いてみよう」(イザワオフィス公式チャンネル内)も大好評。同チャンネルでは期間限定で「ドリフ大爆笑」の名作コントのデジタルリマスター版を続々と配信している。3月20日に『高木ブー画集RETURNS ドリフターズよ永遠に』(ワニ・プラス、2,700円+税)が発売。4月6日には、この連載をまとめた『アロハ 90歳の僕 ゆっくり、のんびり生きましょう』(小学館、2,200円+税)が発売! イザワオフィス公式YouTube新企画「ドリフ麻雀」は6月に本格スタート。詳しい案内とサポーター募集はこちら。
取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)
1963年三重県生まれ。コラムニスト。『大人養成講座』『大人力検定』など著書多数。最新刊は『無理をしない快感‐「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。