食事で鉄分不足を解消!「1日に必要な鉄分10.5mg補える」献立を専門家が提案
毎日3食摂って栄養も足りている。そう思っていても、実は鉄分が不足しているために体に不調を感じる人が増えているという。成人女性の鉄分の推奨摂取量は10.5mg以上だが、ほとんどの女性が推奨量を満たしていない。では、効率的に鉄分を摂り、きちんと機能させるにはどうしたらいいのか。具体的な食事の摂り方について専門家に聞きました!
鉄の吸収を助けるビタミンCを一緒に
鉄分の1日の推奨摂取量は、成人女性で10.5mg以上、成人男性で7.5mg以上。食事だけでまかなうなら、まずはどんな食材に鉄分が多く含まれているのかを知っておこう。医学博士で健康科学アドバイザーの福田千晶さんが解説する。
「鉄には2種類あり、1つは赤身の肉や魚などの動物性たんぱく質に含まれる『ヘム鉄』です。もう1つは豆類などの植物性たんぱく質や海藻類、小松菜やほうれん草などに含まれる『非ヘム鉄』です。
ヘム鉄の方が、体内に吸収されやすいため、効率よく鉄分を摂りたいなら、レバーをはじめ、牛肉や豚肉の赤身部分、かつお、いわしなどを毎日の食事に組み込むのがおすすめです。
一方、非ヘム鉄もビタミンCやクエン酸、たんぱく質と一緒に摂ると吸収率が上がります」
ヘム鉄、非ヘム鉄を問わず、1日3食の中にバランスよくさまざまな食材を組み込むことが大切なのだ。調理の際、鉄製の鍋を使ったり、鉄分を摂るための南部鉄器でできた「鉄の球」を鍋に入れるのもおすすめだという。
ヘム鉄・非ヘム鉄の多い主な食材リスト
《ヘム鉄》
■魚類(缶詰)
・さんま(かば焼き)…2.9mg
・アンチョビ、かつおのフレーク(味付け)、いわしの水煮…2.6mg
■魚類
・あゆ(天然、内臓、焼き)…63mg
・かつおの削りぶし…9mg
・かつおのなまりぶし…5mg
・うるめいわし(丸干し)…4.5mg
・めざし(焼き)…4.2mg
・かたくちいわし(みりん干し)…3.7mg
・しろさけ(すじこ)…2.7mg
・ぶり(焼き)…2.3mg
・ごまさば(焼き)…2.2mg
■鶏肉
・もも肉(皮付き、焼き)…0.9mg
・ささみ(焼き)…0.4mg
・むね肉(皮付き、焼き)…0.4mg
■豚肉
・スモークレバー…20mg
・レバーペースト…7.7mg
■牛肉
・もも肉(皮下脂肪なし、焼き)…3.8mg
・ひき肉(焼き)…3.4mg
■馬肉
・赤肉(生)…4.3 mg
■肉類(加工品)
・ビーフジャーキー…6.4mg
・コンビーフ缶詰(牛肉)…3.5mg
・レバーソーセージ(豚肉)…3.2mg
・焼き鳥缶詰…2.9mg
・ローストビーフ…2.3mg
■調理加工食品類
・メンチカツ(フライ用冷凍食品)…1.6mg
・合い挽きハンバーグ…1.3mg
《非ヘム鉄》
■穀類
・ライ麦(全粒粉)…3.5mg
・強力粉(全粒粉)…3.1mg
・玄米…2.1mg
・そば(生)…1.4mg
■豆類
・きな粉(黄大豆、全粒大豆)…8mg
・油揚げ(油抜き、焼き)…3.4mg
・あずき(こし生あん)…2.8mg
・木綿豆腐…1.5mg
・絹ごし豆、豆乳、調整豆乳…1.2mg
■野菜類
・切り干し大根(乾)…3.1mg
・サニーレタス(生)…1.8mg
・ほうれん草(葉、冷凍、油いため)…1.5mg
■果実類
・梅干し(調味漬)…2.4mg
・干しぶどう…2.3mg
・いちじく(乾)…1.7mg
・バナナ(乾)、プルーン(乾)…1.1mg
■きのこ類
・きくらげ(乾)…35mg
・しいたけ(乾)…3.2mg
・マッシュルーム(水煮缶詰)、えのきたけ(味付け瓶詰)…0.8mg
■藻類
・あまのり(味付けのり)…8.2mg
・カットわかめ(乾)…6.5mg
■貝類
・しじみ(生)…8.3mg
・あさり(生)…3.8mg
■卵類
・鶏卵・卵黄(生)…4.8mg
・うずら卵(水煮缶詰)…2.8mg
※文部科学省食品データベースより(可食部100gあたりの含有量)
“まとめ食べ”より“小分け食べ”が◎
また、吸収率を上げる食べ方も意識した方がいい。
「夕飯だけで鉄分を集中的に摂るより、3食に分けて摂る方が吸収されやすくなります。ですから、“まとめ食べ”より“小分け食べ”を意識してください」(前田さん・以下同)
腸内の環境をよくすると吸収率が上がるので、納豆などの発酵食品や食物繊維を一緒に摂るのもおすすめだという。
「鉄分は月経中に出血で失われ、減ると考えられがちですが、実はいちばん消費されるのは、排卵後から月経前なんです」