【花粉症の対策】あるあるだけど間違っているものはどれ?正しい対策や最新治療法を専門医が解説
市販の薬だけでは症状が緩和しない人のために、新しい治療法が登場している。その具体的な方法や費用の目安を紹介する。
●舌下(ぜっか)免疫療法
半年前から毎日服用して備える
【治療法】
抗原(アレルゲン)を体の中に入れて、アレルギー体質を根本から改善する方法。
「スギ花粉やダニのアレルギーがある人に行えるアレルゲン免疫療法です。以前は注射が主流でしたが、いまはのみ薬もあります。治療はスギエキス入りの錠剤を、花粉シーズンの半年ほど前から1日1回のむだけ。3~5年と年月をかけて体質を変えていきます」(浦長瀬さん・以下同)。
毎日のみ続けなければならないので根気が必要だ。
【費用】
1か月3000~4000円(3割負担の場合)。花粉症の症状が続けば、その症状を抑える薬代も追加で必要になる。
●手術療法
日帰りで行えるレーザー手術
【治療法】
多くの医療機関で広まっているのが“レーザー手術”だ。
「腫れてしまった鼻の粘膜をレーザーで焼いて再生を促すという方法です。鼻の粘膜を焼くことで粘膜の質が変化し、抗原が入ってきても反応しにくくなります」。
ただし、花粉が飛散する時期は手術ができない。鼻の粘膜を焼くので、粘膜の防御機能が弱くなり、花粉が粘膜の中に入り込みやすくなるからだ。手術を受けるのは6~12月頃の期間が適している。
【費用】
レーザー手術の場合、程度にもよるが9000円ほど(3割負担の場合)。入院の必要がない場合が多い。
●ゾレア皮下注射
新しい季節性アレルギー性鼻炎治療薬
【治療法】
花粉が体の中に入ったときに作られる“IgE抗体”に作用してアレルギー反応のもとを抑える薬。
「皮下に打つ注射薬で、2~4週間に1回注射します。花粉症の症状が重症以上の人向けです。投与量は体重と血中のIgE濃度によって決まるので、血液検査を受け、血中のIgE濃度を調べる必要があるなど、注射を受けるには細かい条件があります」。
いままで処方されていた薬では、効果が不充分な人向けの薬だ。
【費用】
1か月4500~7万円(3割負担の場合)。検査結果やゾレア使用量(体重比)によって費用に幅が出る。
●ボトックス点鼻
美容皮膚科などで施術が可能
【治療法】
しわ治療などに使われているボトックスを鼻に点鼻する治療法。
「ボトックスには、鼻水を分泌させる神経伝達物質“アセチルコリン”の放出をブロックする働きがあり、点鼻するだけで鼻水や鼻づまりが改善されます。即効性があり、花粉症発症中でも施術できます」(銀座ケイスキンクリニック・慶田朋子さん)。
肌が弱いので鼻をかみたくない、車を運転するので眠くなる薬をのみたくない人などにおすすめ。
【費用】
1回1万2000円~(病院によって差がある)。1回で約2~4週間効果が持続。1シーズン2回施術する人が多い。
教えてくれた人
浦長瀬昌宏さん/耳鼻咽喉科専門医
神鋼記念病院耳鼻咽喉科科長。主な著書に『通院してもちっとも治らない アレルギー性鼻炎を本気で治す!―最新治療から費用・期間 までスッキリ分かる』(時事通信社)など。慶田朋子さん/皮膚科医
銀座ケイスキンクリニック院長。主な著書に『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)など。取材・文/鳥居優美 イラスト/サヲリブラウン 藤井昌子
※女性セブン2023年3月23日号
https://josei7.com/
●花粉症対策に話題の”じゃばら”って?和歌山・北山村の生産者が明かす村外不出の果実