夫婦漫才さゆりさん「夫の借金1億7000万でも私は勝ち組み」苦難を乗り越える考え方
華やかな笑顔で私たちを魅了する芸能人だってネガティブな気持ちになることはある。落ち込んだ気持ちをどう気持ちを立て直すのか、いつも笑顔を見せてくれる元気で明るい夫婦漫才コンビ「かつみ(ハート)さゆり」の(ハート)さゆりさん(53)に聞いてみました!
夫婦漫才さゆりさん「夫の借金1億7000万、さらに10億円の督促」
夫婦漫才コンビ「かつみ(ハート)さゆり」の「(ハート)さゆり」(以下、さゆり)の人生は、波瀾万丈だ。
26才で「かつみ(ハート)」(以下、かつみ)と結婚したものの、株や不動産取引に失敗して夫が抱えた借金1億7000万円をともに背負うことになる。100円ショップやラーメン店などの事業はことごとく失敗。そして34才で婦人科系の大病にかかり、休業して入院――まさにジェットコースター人生だ。
「ジェットコースターって、上って下りますけど、私の場合、急下降ばかり(笑い)。結婚当初は落ち込むことも多かったですよ。ベランダから下をのぞいた日もありました」(さゆり・以下同)
特に借金を必死で返している時期に、「かつみ」が組んでいた漫才コンビ「どんきほ~て」が、相方の都合で解散。その10日後に「かつみ」の亡父が残した10億円の借金の督促状が届いた。このときが最も絶望したという。
「相続放棄をしたので10億円の借金は背負わずに済みましたけど、考えてみるとすごいんです。かつみさんと暮らし始めて33年経つんですが、不幸って慣れるんですね。一発叩かれたら、大きな痛みを感じますが、繰り返し叩かれるとまひする…いえ、血となり肉となり、経験値という大きな武器になるんです」
借金返済で水道光熱費が払えなかったある年の夏。帰宅すると電気が止められていた。明かりを求めて、自宅にあったツリー型のキャンドルに火を灯した瞬間、『ジングル・ベル』の曲が流れた。
「滝のように汗を流しながら、“真夏のクリスマスだね。これもきっといい思い出になるよ”とかつみさんが言った瞬間、“そんなことないよ!”と思いました。でも不思議ですね。数年経ったある年のクリスマス、本当にいい思い出になっていたんです。結婚生活を振り返ると、楽しかった思い出は、アクシデントを乗り越えたときなんです」
つらい過去はいい思い出に昇華してしまえば、ご機嫌になれるというわけだ。
大切な人がいるという幸せを意識する
とはいえ、思い出にできない、ネガティブな感情にとらわれて上機嫌になれない、という人もいるだろう。
「私もそうでしたが、夜は思いつめてしまいやすい。そんなときは、すぐにベッドに入って目をつぶる。朝、明るい日光に体をさらすと、昨晩の悩みは何だったんだろうと、元気を取り戻せています」
逆境のなか、ポジティブでいられたのは、大切な人の存在も大きいという。
「34才で入院したときは、ようやくかつみさんとのお仕事が軌道に乗り、忙しくなっていた頃でした。仕事に穴をあけたくなかったけれど、医師やかつみさんからの説得で休業して入院。かつみさんがお布団を持ち込んで泊まりに来て、ずっと励ましてくれました。大物の先輩もお見舞いに来てくださったり、ファンの皆さんからお手紙をいただいたり…。私はなんて恵まれているのかと涙が出ました」
25才で体験した阪神・淡路大震災も、さゆりの考えを変えた。当時すでにかつみと同棲しており、番組の企画で獲得したパリ旅行に行くことになった。
さゆりは両親に同棲を隠していたが、旅行前に打ち明けると、かなり怒られ、親とはけんか別れする形に。ところがその後、パリのテレビで実家がある神戸市長田区の街が燃えている光景を見ることになる…。
「あの中に家族がいるかもしれないと思うと、帰国までの3日間、寝ることも食べることもできませんでした。ただ神様に祈るばかり。帰国して、家族と無事に会えたときの感謝の気持ちは、いまでも忘れません。大切な人が生きている。それほどありがたいことはありません。ですから、人間関係でどんないざこざがあっても、相手がそこにいるだけで幸せだと思えるようになったんです」
人生、「勝ち組」「負け組」と、人にレッテルを貼る向きがあるが、さゆりは、限られた人生の中で、どれだけ多くの経験ができたか、どれだけ笑えたか、それが大事だと胸を張る。
「その意味で、私は大いなる勝ち組です!」と笑ってしめてくれた。
教えてくれた人
(ハート)さゆり/夫婦漫才コンビ「かつみ(ハート)さゆり」
ヘアゴムの飾りを引っ張る「ボヨヨ~ン」のギャグで話題に。53才とは思えぬ美貌と美脚の秘訣を投稿したYouTube『かつさゆのボヨヨンチャンネル』も人気。
取材・文/桜田容子
※女性セブン2023年2月23日号
https://josei7.com/
●ピンキーとキラーズ今陽子さん(70才)認知症の母の介護で学んだ「接し方で笑顔は増える」