輪ゴムで耳をほぐして健康に!「肩こり、頭痛、腰痛改善に」やり方を専門家が伝授
東洋医学では耳に全身のツボがあると考えられている。輪ゴムを巻いてこれらの箇所を一定の圧で刺激すれば、痛みや不調を改善し、全身によい効果が期待できるという。輪ゴムを使った、1日1分で簡単にできるセルフケア法をご紹介します。
輪ゴムを耳に巻く健康法「耳は全身の縮図」
手指や耳は輪ゴム健康法の効果が表れやすい場所。短時間触って輪ゴムを巻いて、ほぐすだけで全身の血流が整うので、冷えやすい冬にはぴったり!
耳にも全身に呼応するツボが多く集まっており、手と同様に“全身の縮図”と呼ばれている。輪ゴムを巻いてツボを刺激することで、呼応する器官の血流や気の流れが整うと鍼灸師の松岡佳余子さんは説明する。
輪ゴムによる刺激が手指同様、内臓や筋肉などの機能を活性化させ、不調が改善するが、耳にはそれ以上の効果が期待できる。
「耳の周りには、脳につながる血管やリンパ節も集中しています。リンパ節には、リンパ管を流れる老廃物や病原体などを取り除いて、リンパ液をろ過する働きがあります。耳の周囲のリンパ節は体の表面近くにあるため、輪ゴムを巻くことで刺激が伝わりやすく、リンパ液の流れが促進されます。それによりデトックスがスムーズに行われ、肩こりや頭痛などの症状が改善されるのです」(松岡さん)
耳を触ると硬いのは、血流が悪く、どこかに不調のあるサイン。そんなときこそ耳に輪ゴムをかけてほぐして、不調を改善してほしい。
全身のリンパの流れを改善
耳の付け根巻き(2本使用)
血行を促すとともに、耳の周辺にあるリンパ節を刺激してリンパ液の流れを促進。内臓を中心に全身を調整する。肩こり、頭痛、耳鳴りも改善する。
【1】輪ゴム2本を束ねて1つにし、耳の付け根にひっかける。
【2】片手で耳を押さえ、もう一方の手で輪ゴムを前に伸ばして8の字にねじり、二重になるように耳に巻く。
【3】輪ゴムができるだけ耳の付け根にあたるように巻く。反対側の耳も同様に巻き、1分ほどおいて輪ゴムを外す(2本の輪ゴムをねじっておいたものに耳をかけてもよい)。
頭痛・耳鳴り・眼精疲労に
耳たぶ巻き(2本使用)
耳たぶの周りには頭、目、鼻などのツボがあり、頭部まわりの不調全般に効果が。巻いてすぐに視界が広がったと感じる人もいる。眼精疲労を感じたら、基本の耳の付け根巻きをした後で行えば、頭も目もスッキリ。
【1】輪ゴム2本を1回ねじって8の字にし、二重にする。
【2】輪ゴムの輪に指を入れて耳たぶをつかみ、輪ゴムを移す。ゆるく感じる場合はもう1回巻いてもよい。反対の耳も同様に巻き、1分ほどで外す。
腰痛や足のだるさを改善
耳の上巻き(2本使用)
耳の上部は足や腕、腰に呼応するツボがある。痛みが強い場合は1本を二重にして始めるといい。
【1】輪ゴム2本を1回ねじって8の字にし、二重にする。
【2】輪ゴムの輪に指を入れて耳の上部をつかみ、輪ゴムを移す。ゆるく感じる場合はもう1回巻いてもよい。反対の耳も同様に巻き、1分ほどで外す。
高血圧や肩こりに効く
耳の二つ折り巻き(2本使用)
耳の周囲にある肩と首のツボを中心に、全身のツボが刺激できる巻き方。血流が促進されるので、高血圧の改善、冷え症にも効果がある。
【1】輪ゴム2本を1回ねじって8の字にし、二重にする。
【2】耳の裏側を意識し、耳全体をつまむようにして上下を二つ折りにしたら、輪ゴムの輪に指を入れてつかみ、輪ゴムを移す。反対の耳も同様に巻き、1分ほどで外す。
冬におすすめ!耳カイロのやり方
毛細血管が細く、外気の影響を受けやすい「耳」は、冬になると冷えやすく、血流が滞ってしもやけになってしまうことも。
「使い捨てタイプのカイロを輪ゴムを使って耳にかけ、10分ほどおけば一気に血流が改善。リラックス効果もあるので、寝つきが悪い人は就寝前に行うといいでしょう」(松岡さん)
【1】輪ゴムを二重にし、ミニタイプの使い捨てカイロの縦長部分の中央に巻きつける。
【2】カイロが耳全体を覆うようにして、輪ゴムを耳の付け根にかけて留める。反対側も同様にし、1回につき10分ほどおいて温めたら外す。長くとどめると耳がうっ血したり、低温やけどの原因にもなるので注意すること。
輪ゴム健康法の効果を高めるQ&A
誰でも簡単にできる輪ゴム健康法だが、しっかりと効果を高めるために、知っておきたいポイントがある。いつ、どのように、どんなゴムで行うといいのかをぜひ押さえてほしい。
Q. どんな輪ゴムを使ったらいい?
A.一般的な輪ゴムでOK。女性なら16号(内径38mm)、男性なら18号(内径44.5mm)を目安にし、長時間巻いても違和感のない強さのものを選ぶこと。ゴムアレルギーがある場合は、髪結い用のゴムがむき出しになっていないタイプのものを使うとよい。
●女性は16号内径38 mm
●男性は18号内径44.5 mm
Q. いつ行うと効果的?
A.不調を感じたらいつでも対応するポイントを刺激してOK。ただし、入浴後の体が温まっているときは、少し時間を空けて行うとよい。就寝前に耳の輪ゴム健康法を行うと頭の血流がよくなりすぎて寝つきにくくなる可能性があるので避けること。
Q. 左右どちらの手や耳から?
A. 症状のある部位に対応する方から行うと、効果を実感しやすい。叩いたり押圧して痛みのある方を重点的に刺激し、反対側も行った後、再度押圧して痛みが軽減していれば、症状も改善されている。
Q. 何回やっても大丈夫?
A.1回につき1分を守ること。手指を強く締め付けない巻き方なら、不調を感じたタイミングで何度行ってもいいが、耳の皮膚は薄くて傷つきやすいので1日2回程度にとどめること。1日に行う回数や時間を増やすより、毎日続ける方が効果が出やすい。
Q. うっ血してきたら?
A. 輪ゴムを巻いた部分に痛みを感じたり、うっ血して暗紫色になったり、手指や耳が冷たくなった場合は、すぐに輪ゴムを外すこと。また、輪ゴムをかけて5~6秒ほどでうっ血した場合は、動脈硬化を患っていたり、心機能が低下している可能性があるため、すぐに医師の診断を受けた方がいい。
教えてくれた人
アジアン・ハンドセラピー協会代表 松岡佳余子さん/鍼灸師として国内外の鍼灸やツボ治療を学び、それらをさらに発展させた手指鍼を研究。簡単にできる効果の高いセルフメソッドとして、輪ゴムを使った健康法を考案。
取材・文/山下和恵 イラスト/いばさえみ
※女性セブン2023年1月19・26日号
https://josei7.com/