寝ながら簡単!「骨盤底筋ストレッチ」で尿もれ予防&睡眠の質も向上【理学療法士監修】
頻尿や尿もれを年齢のせいにしていませんか? 理学療法士である前田慶明さんは「骨盤底筋を鍛えれば予防できる」と語る。そこで、前田さんに、骨盤底筋の働きと、改善が期待できる「骨盤底筋ストレッチ」を教えてもらった。
約4人に1人が悩んでいる「頻尿・尿もれ」
今年10月に医療法人社団風林会が女性を対象に行ったアンケート調査では、50代の約4人に1人が「頻尿・尿もれ」に悩んでいると回答した。閉経前後のホルモンバランスの乱れなども要因の1つだが、尿もれは「骨盤底筋」を鍛えることで予防することができる。骨盤底筋はその名の通り、骨盤の中にあり、体の前後にハンモックのように位置している筋肉群だ。
広島大学大学院医系科学研究科講師で理学療法士、『骨盤底筋の使い方』(池田書店)の著者でもある前田慶明さんが言う。
「骨盤底筋は、直腸や膀胱、卵巣、子宮など、下半身の内臓を支えています。筋肉なので、年齢を重ねるごとにどうしても衰えてくるほか、出産するとゆるみやすくなる。尿もれに悩む人が男性よりも女性に多いのはこのためです。早ければ30~40代でも、骨盤底筋がゆるむのは珍しくありません」
運動不足や猫背などから骨盤底筋がゆるんでいく
骨盤底筋のゆるみを招くのは、加齢や出産ばかりではない。骨盤底筋は歩行する際にも使われるため、座りっぱなしの生活で運動不足になると衰えやすい。特に、猫背や骨盤が後傾した悪い姿勢でいると、さらにゆるみやすくなる。出産を経て働いている女性は、より骨盤底筋がゆるみやすくなっているかもしれない。すでに尿もれがあるなら、骨盤底筋がかなり衰えていると思った方がいいと、前田さんは言う。
「つまり、骨盤底筋のゆるみは、気づかぬうちに進むのです。衰えていると、女性は尿もれが起こりやすくなる一方、男性は残尿感が出ることが多い。これは男女で尿管の長さに違いがあるためです」(前田さん・以下同)
お腹がポッコリ出ている人は要注意!
骨盤底筋がうまく内臓を支えられないと、男女問わず、お腹がポッコリ出てくるようになる。
「スリムな体形なのにお腹だけがポッコリ出ている人は、骨盤底筋が弱くなっていて、内臓の重さに耐えられていない可能性があります。これを放置すると、最悪の場合、脱腸や子宮脱などが起こる恐れもあります」
骨盤底筋は、内臓を支えるクッションであり、衝撃から守ってくれる役割も果たしている。そのため、骨盤底筋は柔らかすぎても、硬くこわばりすぎてもよくない。しなやかに伸び縮みができて、内臓の重さをしっかりと支えられるだけの強さが必要だ。
「骨盤につながる股関節をストレッチすることで、間接的に骨盤底筋のストレッチになります。股関節を曲げることで骨盤底筋が伸ばされ、反対に股関節を伸ばすと骨盤底筋が縮みます」
ストレッチの前には深呼吸をして、筋肉の緊張を解いておくことも重要だ。横になることで深呼吸がしやすくなる。そしてひざを曲げると、下腹部に力を入れやすくなる。夜寝る前などに行うことで自律神経を整えリラックス効果も得られるため、睡眠の質の向上にも役立つ。
骨盤底筋ストレッチのやり方
【1】ひざを曲げてあお向けになり、下腹に手を置いて深呼吸する。5秒かけて鼻から吸い、10~15秒かけて口から吐く。これを3回繰り返す。
【2】左足のひざを曲げ、両手でひざ下を抱える。口からゆっくり息を吐きながらひざを胸に近づけて10秒キープ。これを左右3セット行う。
出典:前田慶明『尿もれ、下腹ぽっこり解消! 骨盤底筋の使い方』
教えてくれた人
前田慶明さん/広島大学大学院医系科学研究科講師・理学療法士
イラスト/勝山英幸
※女性セブン2022年12月8日号
https://josei7.com/
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