親の介護に今後いくらかかる?費用を「見える化」するキャッシュフロー表の作成で不安を解消した実例【FP解説】
親の介護にどのくらいのお金がかかるか把握できているだろうか?令和3年の生命保険文化センターの調査によると介護費用の総額は約580万円となっている。親の貯金や年金収入で賄える? 施設介護の場合は足りるのか――。FPの河村修一さんによると、介護のお金の不安を解消する第一歩が“見える化”。相談実例をもとに月の収支とキャッシュフロー表で早速、見える化してみよう。
介護期間の平均は61.1か月、費用の総額は580万円
親の介護費用について、今後いくらくらい必要になるか心配に思う人は多いのではないでしょうか。
「令和3年度生命保険に関する全国実態調査」(公益社団法人 生命保険文化センター)によると、介護費用のうち住宅改修や介護ベッド購入などの一時費用の平均は74万円、月々の費用の平均は8.3万円、介護期間は61.1か月となっています。これをもとに介護費用の総額を算出してみると、約580万円かかることになります。
また、「在宅」と「施設」の介護にかかる月額費用を比べると、「在宅」の4.8万円に比べ「施設」では12.2万円と高くなっています。
そこでおすすめしたいのが、介護にかかる費用の「見える化」です。
※参考/「令和3年度生命保険に関する全国実態調査」
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1116.html
介護にかかるお金「1か月の収支と軽減制度」を把握しよう
まずは実際に、どのくらいの費用が必要か見積もり、収支を把握しましょう。
●親の収入【1】+【2】
【1】公的年金収入
【2】その他の収入
●支出【3】+【4】
【3】介護にかかる費用
・介護サービスで利用している金額(自己負担分)
・サービス費用に伴う費用(施設介護に伴う食費・居住費等)
・その他
【4】介護にかかる費用以外
・生活費(日常生活費、水道光熱費等)
・医療費(薬代含む)
・税金
・介護保険料等
・その他
収入(【1】+【2】)から支出(【3】+【4】)を控除した額がプラスの場合は、ひとまず安心ですが、マイナスの場合は、預貯金を取り崩す必要があります。
また、リースバック(自宅などの不動産を売却して現金化した後でも住み続けられる仕組み)、リバースモーゲージ(自宅を担保に生活資金を借り、そのまま住み続け、死亡時に不動産を処分し、借入金を返済する仕組み)などを活用する手もあります。
さらに、介護費用を抑えることができる制度、高額介護サービス費や高額医療合算介護サービス費などの負担軽減制度(※1)、介護保険制度下での医療控除(※2)、各自治体の独自施策などの要件も確認しておきましょう。
たとえば、住民税非課税世帯の人なら、1か月の自己負担額が高額になっても、一定額を超えたときは、超えた分が後から支給されるという「高額介護サービス費」といった軽減制度を活用することができます。
※1 厚生労働省「サービスにかかる利用料」https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html
※2(施設の場合)国税庁「No.1125 医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1125.htm
※2(居宅の場合)国税庁「No.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1127.htm