干し野菜の作り方・保存法 失敗しない基本|その日のうちに食べられる「セミドライ」&保存しやすい「ドライ」
野菜は、干すだけで旨みが凝縮されて新感覚の味と食感に。空気が乾燥する今の季節は、まさに“干しどき”。晴れた日に野菜を干すだけ、余った端切れ野菜も捨てずに干してみませんか?干し野菜の基本と、その日のうちに食べられる「セミドライ」、しっかり干して旨みを凝縮させる「ドライ」をプロに教えてもらいました。
【目次】
「干し野菜」は栄養満点!冬がはじめどき
「野菜やきのこは天日干しすることで、栄養価が高まります。ポリフェノールの抗酸化作用がアップするほか、きのこ類に含まれるビタミンDは生の数倍にもなり、カルシウムの吸収を高めてくれます」と、管理栄養士の金丸絵里加さん。さらに、味が濃くなり甘みや旨みもアップ。
「噛みごたえも増すので、満足感を得やすくなるので、ダイエット食材としてもおすすめです」(金丸さん)
「初めて挑戦するなら、料理に使う野菜を切るときに、干す分まで切ってしまうのがおすすめ。あとは並べて干すだけ。太陽と風の力で旨みたっぷりの自家製食材が出来上がります」(三宅香菜子さん)
干し野菜にすれば、食材のムダを大幅に削減。また、水分が抜けて火の通りが良くなり、時短調理でも大活躍。
「時間のかかる煮物も早くできるうえ、水分が抜けているので煮くずれしにくく、見栄え良く仕上がります。災害時の非常食としても便利。非常時は野菜不足になりがちですから、手軽に作れるみそ汁やスープの干し野菜ミックスを作っておくと重宝しますよ」
干し野菜成功のPOINT2
1「季節と湿度を見極めよ!」
空気がカラッとして湿度が低いこれからの季節(10月中旬~2月末頃)は、干し野菜作りのベストシーズン。一方、湿度が高い梅雨の時期はカビが生えやすくなり不向き。数日間乾かす場合は連日の天気予報チェックをお忘れなく。
2「ベストな時間と場所を!」
太陽の出ている日中が干すタイミング。朝干して夕方には取り込みを。夜露に濡れてカビの原因になるため、出しっぱなしはNG。場所は庭やベランダが適所。室内で干すなら窓際に。鳥や虫が心配なら網戸は閉めた状態でもOK」
干し野菜のお助けアイテム
■「ざる・かご」
まんべんなく日光が当たる。細切り食材には目の細かいタイプを。
■「ネット」
風に飛ばされやすい食材に。鳥や虫よけ、ペットや乳幼児の誤食防止にも。
■「ピンチハンガー」
野菜の葉を1枚ずつ干すのに便利。ざるなど置く場所がない場合に。
干し野菜の作り方・3STEP
【1】切る「水はふきとる」
食材は洗って水気をしっかりふきとり、好みのサイズに切る。水気が残っているとカビの原因になりやすいので要注意。薄切りや細切りにすると水分が抜けやすくなる。
【2】並べる「重なり注意」
ざるやネットに食材が重ならないように並べる。食材の周りにスペースを作ると日当たりも風通しも良くなる。ピンチハンガーの場合は、食材の大小にかかわらず1個ずつ挟む。
【3】干す→完成
旨みが“ギュッ”と凝縮します♪ 日当たりが良く風の通る場所に干し、食材全体に日光が当たるようにする。ときどき表裏を返す。干し時間を調整しながら、セミドライ、ドライなど好みの干し具合に仕上げる。
「セミドライ」その日のうちに食べられて独特食感も魅力!
「水分の多いトマト以外は1時間~半日で仕上がるので、朝干せばランチや夕食にも使えますよ」(三宅さん)
■白菜
干し期間:3時間~半日
保存期間:冷蔵4日
ひと口大に切って干し、葉の水分が抜けてしんなりしたら完成。芯は水分を感じられる程度でOK。
■さつまいも
干し期間:3時間~半日
保存期間:冷蔵4日
1cm厚さで好みのサイズに切り、ゆでて(レンジ加熱でも可)干す。黄色が濃くなりふちが縮んだら完成。しっとりした手触りで弾力がある。
■きゅうり
干し期間:1時間~半日
保存期間:冷蔵4日
1cm厚さの輪切り(歯ごたえを残したいなら厚め)にして干し、表面が乾いたら完成。乾燥が進むほど水分が抜けて、保存しやすい。
■かぼちゃ
干し期間:4時間~半日
保存期間:冷蔵4日
種とわたを除き1cm厚さにして干し、表面が乾いて色が薄くなれば完成。内側は少しやわらかくてもOK。調理する分だけ干すのが◎。
■ミニトマト
干し期間:1~3日
保存期間:冷蔵4~5日
半分に切り、切り口を上にして干し、果肉が減って皮にシワができたら完成。果肉にやわらかさが残るくらいがベター。干し始めに出る水分はペーパータオルでふきとって。
■レタス
干し期間:3時間~半日
保存期間:冷蔵5日
1/6~1/8に切り、芯をつけたまま干す。全体がしんなりし、切り口が乾いて茶色くやわらかくなったら完成。
■長いも
干し期間:半日
保存期間:冷蔵4日
皮付きのまま1cm幅の輪切りにして干し、切り口が乾いて粒々が浮き出ていたら完成。触るとやわらかく水分を感じるくらいでOK。
■ブロッコリー
干し期間:3時間~半日
保存期間:冷蔵3日
小房に分けて干し、表面が乾燥して茶色くやわらかくなったら完成。見た目には、つぼみがしんなりしているかをチェック。
■にんじん
干し期間:2時間~半日
保存期間:冷蔵1週間
皮付きのまません切りにして干し、しんなりして白っぽくなったら完成。触ると少し弾力があるくらいに。
■トマト
干し期間:1~3日
保存期間:冷蔵4~5日
1cm厚さの輪切りにし、ペーパータオルで水気をふいて塩少量をふる。水分が出たらふいてカビ対策を。表面が乾いたら返し、再度水気をふいて干し、乾いたら完成。触るとやわらかく弾力があるくらいに。
※干し期間は目安です。気温、湿度、切り方によって異なるため、触って確かめながら干し期間を調整してください。