カット野菜、実は美味しく健康的!時短で便利、もう手放せないその6つの理由

 スーパーの野菜売り場にズラリと並ぶカット野菜。「栄養がないのでは」「鮮度が悪そう」という先入観も今や昔、カット野菜の市場規模は右肩上がり。「一度使ったらやめられない」「おいしくて食べやすい」「やっぱり便利」という声が増えている。重宝される6つの理由とは――

カット野菜は美味しくて健康的

 厚生労働省によれば、1日に必要な野菜摂取量の目安は350gとされているが、同省調査(2016年)によると、女性の平均摂取量は270.5g。野菜を最もよく食べている年齢層の60~69才でも、300.3gと不足している。管理栄養士の永吉峰子さんにその理由を聞くと、

「野菜を丸ごと購入しても使い切れずに、捨ててしまう場合があります。特に高齢のかたは食品ロスに抵抗を感じ、野菜そのものの購入を躊躇するケースも多く、偏った食生活に陥りがちです。その点、カット野菜ならば、複数種の野菜の栄養を無駄なく手軽に摂取できます」

 イオンリテールの広報担当者はこう語る。

「トップバリュのカット野菜は単一種類から8種類を組み合わせた商品まであり、目的に合わせて選べるようになっています。量も少量から大容量まで用意し、食卓を囲む人数に合わせて調整できます」

 そうした工夫があってカット野菜の需要は高まり続け、市場規模は5年で2倍近く伸びている。

重宝される理由1:栄養素は工場洗浄後でもしっかり残っている

 工場で洗浄され、カットされた野菜が袋詰めにされ、スーパーに並ぶ。はたして栄養や鮮度は保たれているのか。栄養素はかなり洗い流されてしまっているのではないか。

 前出・永吉さんによると、野菜に含まれる主な栄養素(水溶性ビタミン・脂溶性ビタミン・ミネラル・食物繊維)のうち、ビタミンCなど水に溶ける栄養素は洗浄によって減少するにはするが、残存率はかなり高い。キユーピーによるカットレタスの栄養素の残存率調査によると、工場洗浄でも家庭の水洗いでも、約9割のビタミンCが残っており、カリウム・マグネシウム・カルシウムといった栄養素も同様だったという。

 また、かつてはカット野菜には「余ったクズ野菜を使っているのでは」「添加物が入っていそう」といったネガティブな声もあった。永吉さんが答える。

「工場はシステマチックに工程が進みます。そこに変色した野菜を投入したら、一部が腐ってしまうなど品質が不安定になってしまいます。工場は作業効率を優先するため、規格が揃ったものを扱い、外葉は丁寧に取り除いています。また、基本的に着色料や保存料といった食品添加物の使用は認められていません」

 国内最大のシェアを誇るカット野菜メーカーの『サラダクラブ』によると、「千切りキャベツ」と「ミックスサラダ」の消費期限は、製造日から5日間。2015年の段階で従来品より1日延びている。その要因の1つに、野菜になるべくダメージを与えないようにする洗浄方法がある。

「カット前とカット後に洗浄するのですが、2回目はソフトに行うことで、野菜のダメージを減らしています。かつ、水を注ぎながら野菜を切ることにより、変色などを抑えて保存性を高めています」(サラダクラブ広報・佐々木愛さん)

重宝される理由2:大きさが均一なので、調理時間を短縮できる

 イオンのプライベートブランド『トップバリュ』はバリエーション豊富だ。

「共働き世帯が増加したため、調理に時短を求める声が高まっています。カット野菜は、そのようなニーズを実現します」(イオンリテール広報担当者)

 焼そば用、鍋物用、カレー・シチュー用などメニューに特化した『洗わずにサッと使える』シリーズも好評を博し、愛用者からは次のような声が寄せられているという。

「炒めミックスが1袋あれば、夕食に彩りを添えたり、お弁当に一品プラスできます。バラバラに野菜を買うより安価で、洗う、切るといった工程もなくパッと使えるところも魅力的」

「カレー・シチュー用は野菜を切る必要もなく、大きさにバラつきがないため、煮込む時間も短縮できます」

 前出の永吉さんが言う。

「カット野菜は大きさが均一なので炒める、蒸すなどの工程でムラなく、火が通りやすい。これが工場で製品を作っているメリットです」

重宝される理由3:多くの栄養素が摂れる上、食品ロスを減らせる

 最近は、カット野菜を含んだ食材で手軽に料理を作れるミールキットも人気だ。

セブン-イレブンミールキット[使って便利な食材セット]

 セブン-イレブンのお届けサービス「セブンミール」では、9月下旬から「食卓にちょっとしたごちそうを」をコンセプトに、下処理済みの材料にひと手間加え、よりごちそう感のある料理が完成する新サービス“ミールキット”の販売を開始した。セブン-イレブンの総菜を作っているメーカーが、同商品の製造も担当しているという。

「おいしさだけでなく原材料の履歴管理等も徹底し、安全・安心にもこだわっています。  野菜の使用量はメニューによって異なりますが、1食あたり120g以上(いも類、きのこ類、豆類を含む)使用しています」(セブン&アイ・ホールディングス広報担当・中田智史さん)

 このように、複数種の栄養素を効率よく摂れるという利点のほか、カット野菜は食品ロス対策にも貢献している、とイオンリテールの広報担当者は言う。

「その日のメニューに合ったカット野菜を購入いただければ、野菜を単品ごとに買う手間が省け、切って洗う面倒がなくなり、外葉や芯といったゴミが発生しません」

「サラダひとつ作るのにすべての野菜を揃えると、それなりの金額になってしまいます。もちろん使い切れば問題はないのですが、使いこなせず捨てることが多いのであれば、カット野菜の方が安い」(永吉さん)

●セブンミールの「ミールキット」の作り方

メニューの一例:あじの南蛮酢和え、お豆とひじきの煮物(写真は2人前。素材には調理に使う片栗粉も入っている)

【1】片栗粉をまぶす

【2】あじを焼く

【3】野菜を炒める

【4】南蛮酢に漬け込む

●できあがり

※これに煮込むだけの副菜「お豆とひじきの煮物」もつく。約20分で完成し、1人前550円。

→オーブンで1時間【干し野菜】の作り方|手軽にできて旨みも食感もアップ!

重宝される理由4:低温管理で鮮度を維持

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