アンミカさんが「故郷の味と涙した韓国済州島のアワビ粥」ほか大阪・鶴橋&生野の名店6選
大阪の鶴橋・生野は、在日コリアンが愛する絶対に外せない名店が揃う。韓国の下町ような雰囲気が広がる街並みは、韓国を旅している気分が味わえる。大阪のコリアンタウンの“本場の味”を案内してくれたのは韓国料理ツウの2人。生まれも育ちも韓国で料理店を営む申琴順(シンクムスン)さんと、韓国・済州島生まれのモデル・タレントのアンミカさんおすすめの名店を教えてくれた。アンミカさんが「故郷の味」と泣きながら食べたというアワビ粥も!
【目次】
大阪・鶴橋&生野は在日コリアンおすすめの名店が!
鶴橋や生野には、何世代にもわたって日本に暮らす朝鮮半島出身の人たちが多い。そのため鶴橋駅周辺や大阪生野コリアタウンには、その地に根づいた地元民による地元民のための「まるで韓国」な店が立ち並ぶ。
「近年のブームで観光客もかなり増えましたが、韓国の下町のような雰囲気は変わりません。明るくエネルギッシュなお店の人との会話も楽しんでくださいね」(申さん)
『スンデクッパ専門店 デポチャ』
韓国の釜山・慶尚道で店を営んでいた帆代希真さんが、昨年の7月にオープン。客のほとんどが頼むのは、韓国式の豚の腸詰め「スンデ」と豚の頭や舌、胃袋などの肉を一緒に煮込んだスンデクッパだ。
「ここのスンデクッパは本場の味そのもの。私も何度も通っています」(申さん)
グツグツと煮えたぎるスープに、自家製のカクテキや大根の葉の炒め物などのおかずが付く『スンデクッパ』(1300円)。開店から1年ほどで、限定約40食が売り切れる人気店に。アミの塩辛やにらのキムチ、ご飯を加えてと、味変をしていくのも楽しみのひとつ。
もち米と春雨がたっぷり入ったスンデはホロホロ崩れるほど柔らかい。
「豚の膝の骨のみを使うのがこだわり。丸1日血抜きをしてから4~5時間煮込むことで、真っ白なスープに仕上がります」と帆代さん。
住所:大阪府大阪市生野区中川4-13-21
『きよし』
46年前の鉄板焼きの店から始まり、いまや地元で知らない人はいない名物店に。駅からは離れているものの、申さんも「地元のグルメ通がこぞって通うお店です」と話す。80才になる康辛生さんが「目で盗み、口で盗みながら修行しました」という料理は、故郷・済州島の味。他にも太刀魚の煮付けなど、常連が必ずオーダーする人気メニューが多数。
奥から『かぼちゃの葉のスープ』(780円)は、やさしい味わいで体が温まる家庭料理。現地から取り寄せる生ひじきを使った甘酸っぱい和え物『生ヒジキフェ』(650円)。コリコリして歯ごたえ抜群。
店名の由来は「帰り際に『また来よし!』と声をかけられると思わず笑ってしまうでしょう?」と康さん。
とろみのあるじゃこだしで煮たかぼちゃの葉は、独特の舌触りが新鮮。だしを吸ったもちもちのすいとんも、たっぷり。
常連が必ず最初に頼む看板メニューが『焼き餃子』(640円)。ぶつ切りの豚バラ肉がゴロゴロ入った、創業当時から変わらない味。
「足を延ばしてでも訪ねる価値アリです!」(申さん)
住所:大阪府大阪市生野区田島1-8-15
『福一』
『福一』の人気メニューは、新鮮な海の幸を使った済州島の郷土料理。なかでもアンミカさんのお気に入りは、あわびの肝を潰して加えた、ミネラル豊富なあわび粥だ。
「父の他界後にこの店を訪れた際、愛子さんのご主人と父が友人だったことを知りました。生前、父が『一緒に行きたい店がある』と言っていた店がここだと知り涙した、思い出深い店です」(アンミカさん)
「味付けはごま油と塩のみ。あわびの風味をダイレクトに感じられます」(アンミカさん)。米から炊くので、食べる30分前に注文を。『アワビお粥』(2420円)。
張さんの手料理には実家のような安心感が。「アンミカさんも『故郷の味だ』と泣きながら食べてくれます」(張愛子・チョウアイコさん)
住所:大阪府大阪市生野区桃谷5-8-3
『Korean Kitchenサルビア』
韓国の家庭料理を定食形式で提供する店。「味とボリュームが口コミで話題に。特にランチタイムは混雑必至です」(申さん)。骨付きカルビを煮込んだガルビチムが一番人気で、韓国の味をベースにみそとしょうゆを加えたアレンジが好評だ。
丸々2本供される骨付きカルビは、箸で挟むと骨から肉がホロッと外れる。濃厚なたれはご飯にかけて味わって。『豚ガルビチム』(ランチ定食・1200円)。
「肉の柔らかさの秘訣は、下ごしらえ。脂を除くところから、丸2日かけてすべて手作業で行っています」と安さん。
住所:大阪府大阪市生野区鶴橋1-4-6 トクハラビル1階
URL: http://sarubia.jacklist.jp/
『徳山商店』
大阪生野コリアタウンの老舗食材店で、30年以上のロングヒットを誇るのが、オリジナルのごま油。ごまの豊かな香りと濃厚な味わいにファンが多く、アンミカさんの実家でも昔からごま油は『チャンギルム』一択だという。
「一度使うと手放せないおいしさ。料理の味がイマイチでも、このごま油を回しかけるだけで様になります。ダースで購入して、皆さんに配るほど大好き!」(アンミカさん)
『チャンギルム(純正ごま油)』(150g・486円)さえあれば、家庭のナムルも本格的な味わいに。店先ではこれを塗ったキンパも販売。
料理家の洪貞淑さんは、開発にも携わった。「韓国では搾りたてのごま油を売る店が多くあります。その風味を再現すべく、焙煎方法を工夫しました」。
創業時は餅の専門店だった徳山商店は、餅やトッポギも人気。11月中旬の再オープンに向け、現在店舗はリニューアル改装中。
住所:大阪府大阪市生野区桃谷4-6-16
『慶州商店』
金侖奎さんのキムチは、大阪生野コリアタウンで最初にキムチ店を開いた祖母直伝の製法で作られている。だしを加えず、塩のみで漬け込んだ野菜をいわしエキス入りのヤンニョムと和えているため、辛みが強く深みのある味わいが特徴だ。
「ここのキムチは、鶴橋のグルメな人々も太鼓判を押すおいしさ。私はねぎキムチが大好きです」(申さん)
白菜、小松菜などの葉物野菜から、にんにく、らっきょうまで、約30種類ものキムチがずらり。キムチ各種(約500~700gで500円)。
一番人気は定番の白菜キムチ。「いわしエキスを入れるのは慶州ならではの作り方なんですよ」と店員さん。
「食材を丸1日塩漬けにし、翌日キムチのたれと和えるのは重労働。祖母の味を守りたい一心で作っています」(金さん)
住所:大阪府大阪市生野区桃谷4-9-7 1階
鶴橋本の著者・あんそらさんの鶴橋の歩き方
著書やイベントなどで鶴橋・生野の魅力を発信する韓国ライターのあんそらさんは、「午前中から行動開始! キムチは即決せず厳選を」とアドバイスする。
「午前中には鶴橋駅に降り、目の前の迷路のような商店街を探検。その後、昼食に合わせて大阪生野コリアタウンへ。18時頃に店が閉まり始めるので、夕食は少し足を延ばして地元・鶴橋の韓国料理店で楽しみましょう。鶴橋に来たら必ず買って帰りたいのがキムチ。商店街やコリアタウンにはキムチ店がたくさんあり、店によって味も種類もさまざま。一通りチェックして好みの味を見極め、帰りに購入するのがおすすめです」
教えてくれた人
『唯』店主 申琴順(シンクムスン)さん/生まれも育ちも鶴橋。自身も韓国料理が得意で、店では参鶏湯の通信販売も。地元で「おいしい」と話題の店には積極的に足を運ぶ。
モデル・タレント アンミカさん/韓国・済州島生まれ。幼少期を鶴橋で過ごし、懇意にする店も多い。『ポジティブ手帳2023 365日、アンミカ思考で幸運体質!』(小学館)が発売中。
韓国ライター・あんそらさん/著書『大阪 鶴橋・生野 コリアタウンへ行こう 食と文化をディープに楽しむ』(メイツ出版)やイベントなどで鶴橋・生野の魅力を発信。
撮影/稲場啓太 取材・文/スペースリーブ(加藤 瞳、竹内里奈)、番匠 郁
※女性セブン2022年10月20日号
https://josei7.com/
●人気の激辛”韓国料理”お手軽レシピと作り置きアレンジ|料理研究家・島本美由紀さん