健康管理に欠かせない「体組成計」の正しい見方|タニタとオムロン担当者が見るべきポイントを解説
体組成を知ることは、ダイエットや健康管理の第一歩。家庭でもずいぶん普及してきた体組成計だが、果たして充分に活用できているだろうか? 体重、体脂肪率、筋肉量、内臓脂肪、基礎代謝量…何を見ればいいのか、体組成計メーカーの両雄「タニタ」と「オムロン」に、見るべきポイントを聞いた。
体重だけでは肥満かどうかは分からない
体重計から体組成計へと進化しているいまでも、体重はダイエット時に重要なものなのだろうか?
「確かに、もはや体重だけで肥満は測れません。BMIが示す普通体重は18.5~25未満ですが、筋肉量が多いために体重が重く、体脂肪率が低いアスリートが“肥満”と判断されるケースもあります。普通体重でも体脂肪率が多い“隠れ肥満”のかたもいます。そこで、“体重”と“体脂肪率”の2つが適正値をクリアして、初めて『適正な体重』といえると、私たちは考えています」
と言うのはタニタ開発部の佐藤航大さん。
オムロンヘルスケア広報部の和田理恵子さんは、
「体重を落とすことがゴールではなく、体脂肪率、内臓脂肪レベルを適正にし、骨格筋率を増やすといった総合的な考え方が重要です」と語る。
体組成計は、「脂肪はほとんど電気を通さない」「筋肉組織は電気を通しやすい」という特性を利用して体に微弱な電流を流し、その抵抗値を計測することで脂肪や筋肉量を推定するしくみだ。
測定時間も重要
水分など体内成分の変動に左右されるため、計測するタイミングも重要。起き抜けや激しい運動後、飲酒後などを避け、水分変動が安定する「起床2時間後、朝食後2時間以上経過後の昼食前、昼食後2時間以上経過後の夕食前、夕食後2時間以上経過した就寝前」のいずれかの時間に計測するのがいいそうだ。
●計測に最適なタイミング
・起床2時間後
・朝食後2時間以上経過後の昼食前
・昼食後2時間以上経過後の夕食前
・夕食後2時間以上経過した就寝前
上記のいずれか
ダイエット時に見るべきは体脂肪と筋肉量
ダイエットを主軸に置いた場合、体組成計の何をチェックしたらよいのだろう?
「体脂肪率と筋肉量の2つを見ていただきたいですね。体脂肪率は低い方がいいと思いがちですが、脂肪は体温を保ち、女性ホルモンを分泌させる役割があるため、少なすぎると免疫力が下がり、皮膚や髪がガサガサになってしまいます。25%付近を目指したいところですが、それより高い場合は食生活で脂っこいものを控え、摂取カロリーを調整していくべき。その場合は、基礎代謝量もあわせてチェックする必要があります。
そして、年齢とともに衰えやすいのが筋肉。なかでも脚の筋肉は、リモートワークなどで衰えを感じているかたが多いと思います。『BC-771』は、タニタ独自の指標で、体重に占める脚の筋肉量の割合を点数化しています。『最近、体力が落ちた』『階段を使わない』『在宅勤務で運動不足』というかたは、将来のためにも、いまからチェックしておくことをおすすめします」(佐藤さん)
オムロンもほぼ同様だ。
「体脂肪率、骨格筋率、内臓脂肪レベルの適正値を目安に、食生活の見直しと運動で代謝のよい体を作ることが大切。おすすめの『HBF-702T カラダスキャン』は、部位別に皮下脂肪率と骨格筋率を測ることができるので、気になる部分の状態がわかりますし、筋トレのモチベーションも上がります。アプリと連動させることで日々の数値の変化が一目でわかるのも便利です」(和田さん)
ちなみに、体脂肪率は体重のうち体脂肪(内臓脂肪+皮下脂肪)の割合を、内臓脂肪レベルは内臓のまわりにつく脂肪面積の大小をレベル化したもの。
また、オムロンでは、体を動かす筋肉量の割合のみを骨格筋率として表示しているが、タニタでは、骨格筋のほか、平滑筋(内臓の筋肉)、心筋と、すべての筋肉量を表示している。
タイプ別おすすめ食事と運動法
体組成計の数値別に適したダイエットや運動の方法はあるのだろうか?
「BMI、体脂肪率ともに高く、“脚点”が低いかたはウオーキングやジョギングなどの有酸素運動で脂肪を減らし、食事は脂っこいものを控えてカロリーを抑えること。甘いものなど炭水化物の摂りすぎにも気をつけましょう。BMIは適正でも体脂肪率が高いかたは、有酸素運動に筋トレを加え、筋肉量を増やしましょう。
食事はたんぱく質を気持ち多めに摂取し、脂質を抑えることです。BMIが低いかたは、健康改善のためにも、積極的に筋トレをしていただきたいですね。筋肉量が増えれば、必然的に体重が増えます。食事はたんぱく質と、筋肉を動かすエネルギー源である炭水化物を摂り、さらなる筋肉量アップを目指します。運動習慣のないかたがいきなり始めるのは難しいと思いますので、専門家の指示に従うのがいいと思います。
また、早歩きをする、エレベーターではなく階段を使う、買い物のときにカートではなくかごを持つなど、日常生活の活動量を上げたときのエネルギー消費量もばかになりません。運動以外の活動量で体脂肪率が下がるというデータもあります」(佐藤さん)
体組成計&話題の最新グッズなど4選
1.タニタ 体組成計 BC-771
脚の筋肉量を数値化した“脚点”表示
コロナ禍の運動不足が気になる層に向け、脚の筋肉量の割合を点数で表示する機能を搭載したものが今夏発売に。病院や介護施設でのみ使われていた業務用体組成計の機能を採用したもので、転倒や歩く速度の低下対策にも◎。
理想値と比較して「低い(50~79pt)」「やや低い(80~89pt)」「良い(90~150pt)」の3段階で判定。
■計量範囲 0~150㎏
■BMI 0.1単位
■体脂肪率 5.0~75.0%、0.1%単位
判定:やせ/−標準/+標準/軽肥満/肥満の5段階
■内臓脂肪レベル 1.0~59.0、0.5レベル単位
判定:標準/やや過剰/過剰の3段階
■筋肉量 0~100㎏まで100g単位、100㎏以上200g単位
判定:少ない/標準/多いの3段階
■基礎代謝量 1kcal/日単位
判定:少ない/標準/多いの3段階
■体内年齢 1才単位
■登録人数 5人
■商品寸法 幅280mm×高さ26 mm×奥行280 mm
■本体質量 約1.6㎏(電池含む)
■色 ホワイト、ダークグレー
■価格 各7000円前後(編集部調べ)
2. オムロン 体重体組成計 HBF-702T カラダスキャン
気になる部位の脂肪量・筋肉量がわかる
両手・両足で測定することで、体形の違いや体内水分の変動による影響を受けにくくなる。全身をはじめ、両腕、両足、体幹など部位別の皮下脂肪、骨格筋率が測れるほか、Bluetooth通信機能を搭載し、きめ細かな健康管理が可能。
■計量範囲 3~100㎏まで100g単位、100~135㎏まで200g単位
■BMI 判定:−(低い)/0(標準)/+(やや高い)/++(高い)の4段階
■体脂肪率 5.0~50.0% 0.1%単位 判定:−/0/+/++の4段階
■内臓脂肪レベル 0.5~30.0 0.5レベル単位
判定:0/+/++の3段階
■皮下脂肪率 部位別皮下脂肪率0.1%単位 判定:−/0/+/++の4段階
■骨格筋率 部位別骨格筋率0.1%単位
判定:−/0/+/++の4段階 ※同社データに基づく
■基礎代謝量 385~3999kcal 1kcal単位
■体年齢 18~80才 1才単位
■登録人数 4人
■外部機器連動 Bluetooth通信機能搭載(OMRONconnect対応) iPhone/Android
■外形寸法 幅約300mm×厚さ約51mm×奥行約325mm
■本体質量 約2.2㎏(電池含む)
■価格 2万2800円(編集部調べ)
専用アプリ「OMRON connect」と連動すれば、体組成の推移が一目瞭然。活動量計と血圧計(別売)とともに一元管理できる。
3. Withings(ウィジングス)Body Cardio(スマート体重計)
フランス発 スマート健康デバイスが話題
スマート健康デバイスの分野で10年以上の実績を持つ『Withings』。いずれの商品も専用アプリ「Health Mate」と連動し、総合的な体のデータ管理ができる。
代表的なスマート体重計「Body Cardio」は、筋肉量、体脂肪、水分率、骨量などの体組成が測れるだけでなく、乗るだけで心拍数や、世界初・心臓血管の健康状態までチェックできるという優れモノ。デザインもスタイリッシュで、部屋に置きっぱなしにしていても絵になる。2万218円。
4. Withings(ウィジングス)ScanWatch(スマートウオッチ)
「ScanWatch」は、アクティビティーや心拍に加え睡眠サイクル、時間、中断回数などに基づいた睡眠スコアを表示するほか、就寝中の呼吸の乱れを検知する機能まで備わる。iOS、Androidに対応。38mm:3万6240円、42 mm:3万8490円。いずれもAmazonにて取り扱いあり。
教えてくれた人
佐藤航大さん/タニタ開発部、和田理恵子さん/オムロンヘルスケア広報部
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2022年9月29・10月6日号
https://josei7.com/
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