脳の若さを保つ食生活6つのポイント「乳製品や小麦、糖質の摂りすぎに注意」【医師監修】
脳の老化を防ぎ、若さを維持するには、脳に毒を溜(た)めない食生活を心がけることだと医師の本間良子さんは話す。そこで、本間医師に食事をする上で気をつける6か条を教えてもらった。食べたもので体はつくられる。いま一度、食生活を見直してみよう!
脳に溜まった毒が老化を進行させる
ストレスが溜まると体内に炎症が起きる。それを鎮めるのが、副腎から分泌されるホルモン・コルチゾールだ。
「脳の血管には、血液脳関門という、脳機能に不要なもの(毒)を入れないようにする関所のような働きをするフィルターがあります。ところが、ストレスにより体内に炎症が起こり、コルチゾールが過剰分泌されると、血液脳関門の細胞と細胞の間が緩み、“毒”が入りこむ隙間ができてしまうのです」
と言うのは、スクエアクリニック院長の本間良子さんだ。
これにより、本来なら血液脳関門ではじかれていた“毒”が脳に侵入してしまうのだ。
「厄介なことに、脳は一度入ると出にくい構造になっており、“毒”は溜まっていきます。これが、脳の老化を進めるといわれています」(本間さん)
脳に“毒”を入れないためにはストレスを減らすことが大切だが、脳に不要なものを入れないための食生活も必要だ。詳細を下記で紹介する。
脳に毒を溜めない6か条
【1】小麦食品は極力控える!
小麦の中のグリアジン(グルテン)は、細胞と細胞のつなぎ目を緩めるように働く。
「特に、朝はパン、昼はパスタ、おやつはクッキー、夜はうどんなど、一日中小麦を食べているような食生活の人は要注意。細胞間のつなぎ目が開きっぱなしになり、脳にどんどん有害な物質が流入してしまいます。脳の老化を防ぐには、なるべく小麦フリーやグルテンフリーの食材を選ぶなど、小麦食品は控えるようにしましょう」(本間さん・以下同)。
【2】乳製品もなるべく摂らない
健康のためにと毎日ヨーグルトを食べるなど、乳製品をたくさん摂っている人も多いと思うが…。
「乳製品に含まれるたんぱく質・カゼインも、グルテンと同じ働きをするので、脳の健康にはあまりよくありません。特に、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロするような人は、カルシウムを摂るためになどと、無理して飲む必要はありません。日光浴を1日30分もすれば、カルシウムの生成に必要なビタミンDは充分に作られます」。
【3】ヘルシーを謳(うた)う商品に惑わされない
ここ数年、カロリー控えめやシュガーレス、栄養バランスがいいなど、ヘルシーさを売りにした商品が人気だ。種類も豊富で、魅力的な謳い文句につい手が伸びがちだが、これらの加工食品には食品添加物が多く含まれている。
「たとえカロリーが控えめでも、自然界に存在しない人工的な食品添加物は、体にとってよくありません。肝臓が処理しきれない毒は、血流にのって全身を巡り、体のあちこちに炎症を起こします。こうした状況がコルチゾールの過剰分泌を引き起こし、脳にも悪影響を及ぼしかねません。カロリーを気にする前に、体に不必要なものは入れないことを忘れないように!」。
【4】糖質は急にたくさん摂らない
糖質は、脳にとって大事なエネルギー源になるが、摂り方には注意が必要だ。
「糖質の多いものや、小麦製品を食べると、急激に血糖値が上がります。すると、急いで血糖値を下げようと、インスリンも大量に分泌されます。このような血糖値の急激な上昇・下降は、イライラしやすくなるなどの感情の起伏を招き、脳にも負担をかけます。糖質は急にたくさん摂らずに、食事の中で他の食材と一緒に適量を摂るようにしましょう」。
【5】鼻から入る「毒」にも要注意
体に悪影響を及ぼす毒は、口からだけでなく鼻からも入る可能性がある。
「たとえば、衣装ケースなどに入れる防虫剤。最近はにおいの残らないタイプなどがありますが、薬剤を使用していることに変わりはありません。呼吸によって鼻から取り込まれたこれらの毒は、鼻の粘膜や肺の細胞に張り巡らされた血管から血液中に入り、全身を巡ります。それらの一部は、汗や尿とともに排出されますが、中には排出されずに体に蓄積されてしまうものも。気づかぬうちに体に毒を溜めてしまわないためにも、衣装ケースから服を出したら、風通しのよいところで陰干ししてから着るようにしましょう」。
【6】和食中心の食生活を心がける
脳の健康に最適な食事は、和食だという。「主食をパンからご飯にし、小麦粉は米粉で代用。この生活を1週間続けてみてください。頭がクリアになりますよ」。
さらに旬の食材を積極的に食べるのもいい。
「季節のものは、その時期に必要な栄養素が豊富。たとえば秋が旬の果物には、夏の疲労を取る働きも。栗やいもなど糖質の多い食材は、冬に向けて体力をつけるのに最適です。鍋にすれば、素材の栄養を丸ごといただけるのでおすすめです」。
教えてくれた人
本間良子さん/医師
スクエアクリニック院長。副腎疲労の夫をサポートした経験を生かし、アメリカで学んだアンチエイジング医学を用いた栄養指導を行う。著書に『抗加齢専門医が毎日やっている「脳の解毒」で一生ボケない脳になる!』(PHP研究所)など。取材・文/鳥居優美 イラスト/なか
※女性セブン2022年9月22日号
https://josei7.com/
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