夏にはスパイスを使ったレシピを!|頼りにしたい&元気になる7つのスープ
冷房からくる冷え、暑さで夏バテ、寝苦しさからの不眠、食欲もない…。そんな時こそオススメしたいのがスパイス料理だ。インド・スパイス料理研究家の香取薫さんに、食欲がなくてもスルッと飲めるようスパイスを使ったスープレシピを教えてもらった。
※材料は2人分。電子レンジは600Wを使用しています。
※攪拌する場合はフードプロセッサーやすり鉢でも可。
ペースト状の温スープで胃腸への負担を減らして
「夏の不調の原因は内臓の疲れによるものが多いので、弱っているときは極力胃腸を働かさないやさしいスープがいいですね」
そう話すのは、インド・スパイス料理 研究家の香取薫さん。通常のスープの具材を攪拌してペースト状にするだけでもOK。薬効に優れたスパイスもおすすめだそう。
「どんな体質にも相性のいいクミンシード(胃腸薬効果)は、幅広い料理に利用できますよ」
胃腸が弱っているとき
<1>ほうれん草のスープ(常温で)
濃い味はNG。ほんのり薄味で胃にやさしく
濃い味つけは、胃酸の分泌を進めるので弱っているときは要注意。ほうれん草には汗で失われるビタミンやミネラルが豊富なので、汗を多くかいた日に。
【作り方】
【1】クミンシード小さじ1はフライパンでから煎りし、麺棒やびんの底でつぶして粗挽きにする。
【2】ほうれん草1/2束(100g)をやわらかくゆで、水分は絞らずにハンドブレンダーでペースト状にする。
【3】【2】に濃いめのだし11/4カップを加えて全体を混ぜ合わせ、薄口しょうゆ小さじ1を入れて味を調える。
【4】器に【3】の半量を盛り、薄切りにした豆乳入りおぼろ豆腐1/4パックを豆乳ごと入れ、【1】の半量と黒こしょう少量をふる。もう1人分も同様に作る
※鮮やかな緑色に仕上げるコツは、重曹小さじ1を入れてゆで、洗い流す。
夏バテ・食欲がわかないとき
<2> コリアンダースープ(温めて)
だる重さに喝! 爽やかな飲みごこちのデトックススープ
食欲が落ちたときに飲むスープ。コリアンダーは夏バテの原因となる毒素を排出してくれます。室内外の温度変化や気象病による不調にも有効です。
【作り方】
【1】玉ねぎ1/4個、にんにく・しょうが各1/2片(5g)、青唐辛子1/2本(またはししとう2本)は小さめのざく切りにし、ハンドブレンダーでペースト状にする(攪拌しづらい場合は水大さじ2~3を入れる)。
【2】鍋にサラダ油(またはギー)大さじ11/2を中火で熱し、煮立つ前にクミンシード小さじ1/3を入れる。香りが出たら【1】を入れ、油分が浮き出るまでしっかり炒める。
【3】【2】に、みじん切りしたパクチー(別名コリアンダー)1/2カップ(30g)を入れて1分炒め、チキンスープ11/2カップと塩少量を入れて弱火で5分煮る。
【4】器2つに【3】を盛り、レモンの輪切り各1枚を飾る。
<3> 冬瓜とココナッツジュースのスープ(温めて)
猛暑に負けない体力の底上げには冬瓜がオススメ!
インドでは、夏の食材として冬瓜がスープやジュースなどに重宝されています。暑さでほてった体をクールダウンさせるココナッツジュースと合わされば最強。
【作り方】
【1】冬瓜150gは皮と種を取って3cm角に切り、十字に隠し包丁を入れる。
【2】塩小さじ2/3、コリアンダーパウダー小さじ1/2、レッドペッパーひとつまみを合わせておく。
【3】鍋にサラダ油小さじ2を中火で熱し、熱くなる前にクミンシード小さじ1/3を入れる。香りが出たら【1】を入れ、クミンを絡めて弱火で3分炒める。
【4】【3】に【2】を入れて30秒炒めたら、プレーンヨーグルト小さじ1を入れて全体を混ぜ合わせる。ココナッツジュース1カップを入れ、蓋をして冬瓜がやわらかくなるまで15分煮る。仕上げに黒こしょう少量をふる。
冷房で体が冷えたとき
<4>小豆のポタージュ(温めて)
腎機能を高めてくれるクリーミーなインド風ぜんざい
冷えやむくみの原因となる余分な水分や、老廃物をろ過する機能を持つ腎臓。利尿効果があり、「腎臓の薬」とも呼ばれる小豆で、腎機能を改善して排出をスムーズに。
【作り方】
【1】玉ねぎ1/4個は薄切りにし、にんにく1片(8g)はすりおろす。
【2】鍋にバター(またはギー)大さじ1を弱火で温め、クミンシード小さじ1/2を入れて香りが出たら、【1】を入れて色づくまで炒める。ターメリック小さじ1/4を入れてさらに炒める。
【3】【2】にゆで小豆1缶(200g)を入れてひと混ぜし、ブイヨンスープ11/4カップを入れて全体をよく混ぜ、塩適量で調味する。ハンドブレンダーで好みのクリーム状にする。
【4】器2つに【3】を盛り、生クリーム各大さじ1を回しかける。
美容&健康に◎! 注目の スーパーオイル「ギー」
無塩のバターを加熱してこした精製バター。強い抗酸化作用があり、体にいい油として注目されている。サラダ油やバター代わりに使えば健康効果もUP!
だるいとき
<5>パイナップルのガーリックラサム(温めて)
暑さからくる疲れには果物の甘みが効果的
パイナップルに含まれる豊富なビタミンB1は、新陳代謝を促し疲労回復に有効です。疲れがたまっていたら、滋養強壮のにんにくを増やしてスタミナをつけるのも手。
【作り方】
【1】パイナップル120gはひと口大に、玉ねぎ1/4個は粗みじん切りにする。青唐辛子1本は縦半分に切り種を取る(またはししとう2本)。
【2】ボウルに、【1】のパイナップルと玉ねぎ、スライスにんにく3枚を入れ、麺棒やびんの底でなるべく細かくつぶす。黒こしょう10粒とクミンシード小さじ2/3もつぶす。
【3】鍋にサラダ油小さじ2を熱し、【2】、【1】の青唐辛子を入れて中火で5分炒める。
【4】【3】にチキンスープ2カップを入れ、弱火にして3分煮る。青唐辛子を取り出してこし、塩(または岩塩)小さじ1/3で味を調える。
【5】器2つに【4】を盛り、【4】の青唐辛子、スライスしたパイナップルとパクチー各適量を飾る。
暑さで心と体のバランスが乱れたとき
<6> 目覚めの青汁粥スープ(温めて)
青菜の苦みを味わうスリランカの代表的な朝食
体温を上げるにんにくやしょうがと、体温を下げるココナッツミルクを一緒に摂れば自律神経が整います。免疫を上げる青菜やハーブのビタミンは煮込まないのが鉄則。
【作り方】
【1】好みの青菜やハーブ180g分はざっくり刻む。
【2】ボウルに、【1】、スライスにんにく3枚とスライスしょうが2枚、水1カップを入れ、ハンドブレンダーで攪拌し、こして青汁を取る。
【3】【2】の青汁に、ご飯50g、塩小さじ1/3、水1カップを入れ、ペースト状になるまで攪拌する。
【4】鍋に【3】、ココナッツミルク2/3カップを入れ、中火で温めてひと煮立ちする前に火を止める。
【5】好みで黒糖適量を添え、一緒にいただく(【4】で一緒に入れ、溶かしても可)。
心地よく眠りたいとき
<7> カルダモンとミルクのスープ(温めて)
リラックス効果のあるカルダモンで深い眠りに
牛乳と塩分を一緒に摂ると胃の中で分離して消化に悪いため、夕食時は避けて就寝前に。ターメリックは、ほかのスパイスの薬効も上げてくれますが、脂溶性なので油に溶いて使いましょう。
【作り方】
【1】カルダモン2粒は中身を出し、麺棒やびんの底ですりつぶす(またはカルダモンパウダー小さじ1/4)。
【2】鍋に、バター(またはギー)小さじ1/2、【1】、ターメリック3つまみ、しょうがパウダー小さじ1/5を入れて練る。
【3】【2】に、温めた牛乳11/2カップを少量ずつ混ぜてなめらかに溶かす。弱火で全体を温め煮立つ前に火を止める。
教えてくれた人
香取薫さん/インド・スパイス料理 研究家
撮影/松村隆史 取材・文/佐々木めぐみ
※女性セブン2022年8月18・25日号
https://josei7.com/
●ターメリックなどスパイスやハーブの健康効果|がんや認知症予防効果に期待