高木ブー、秘蔵写真を公開「自宅には大量のアルバムがあって今も整理している」|連載 第73回
「昔から写真は撮るのも撮ってもらうのも好き」という高木ブーさん。自宅には時代やジャンルごとに分類されたアルバムが大量にあり、「ヒマがあると写真の整理をしている」とのこと。とりわけ大切にしているのが、家族の写真である。「写真って不思議だよね。そのときの会話まで記録されてる」というブーさんが、写真の魅力を語る。(聞き手・石原壮一郎)
娘にせがまれてキャンディーズや天地真理ちゃんの写真を撮った
「ブーさんの宝物は何ですか?」と聞かれたら、僕は迷わず「写真のアルバム」って答えるかな。もちろん、家族は別だよ。あ、たくさんのウクレレも大事だな。ハワイで買ったアロハシャツも……。まあとにかく、僕は写真をとっても大事にしてます。ヒマがあると写真の整理をしてるもんだから、娘や孫に「またやってる」ってからかわれちゃう。
小さい頃から、撮ってもらうのは大好きだった。親父が新しもの好きで、当時はまだ珍しかったカメラが家にあったんだよね。僕がまだ幼い頃の写真もたくさんあった覚えがある。でも残念ながら、空襲でほとんど焼けちゃったんだよね。家が焼けたのはもちろん悲しかったけど、写真が焼けたのも同じぐらい悲しかったな。
ウクレレを始めたばかりの中学生、高校生の頃の写真を見ると、当時の純粋な気持ちを思い出す。「もっと上手にウクレレが弾けるようになりたい」ってことしか考えてなかった。いや、ちょっとは女の子のことも考えてたけど、そういうヨコシマな思い出も混じってよみがえってくるのが、またいいんだよね。
プロのミュージシャンになってからの写真も、全部アルバムに整理して保存してある。沖縄やフィリピンの米軍キャンプに行ったときの写真、いろんなバンドを組んだときの写真、ドリフに入ったばっかりの頃の写真……。ドリフに入るちょっと前に娘のかおるが生まれたから、その頃からは家族の写真が増えてくるかな。写真って不思議だよね。そのときの会話まで記録されてて、見てると頭の中で再生できちゃう。
かおるが小さい頃は、8ミリにも凝ってた。旅行に行ったりするたびに、せっせと撮ってたなあ。このあいだ部屋を整理してたら、当時の8ミリフィルムがいっぱい出てきたんだよね。でも残念ながら今は映写機がないから見られない。DVDにしてくれるサービスもあるらしいから、頼んでみようかな。
8ミリでよく覚えてるのが、かおるが4歳ぐらいのとき、日本テレビの「あなた出番です!」っていう番組に出たときに、その様子をスタジオで撮影したこと。家族大会だったのかな。司会は伊東ゆかりさんとザ・ドリフターズ。まずかおるが登場して、伊東さんが「だれの娘さんでしょう?」って言うと、僕が風船を持って出てくる。僕が出演する場面では、ママに交代して撮ってもらった。出演中にそんなことしてるなんて、のどかな時代だよね。
「8時だョ!全員集合」のときは、かおるに「お父さん、天地真理さんにお願いして写真を撮らせてもらって」なんて、共演者の写真をたまに頼まれた。キャンディーズにもお願いしたかな。ふだんはすれ違いで、ぜんぜん父親らしいことをしてあげられなかったから、頼みごとをしてくれるとちょっと嬉しかったな。甘い父親だよね。カメラの種類にはそれほど思い入れはなくて、いつもお手軽なコンパクトカメラを使ってたかな。
僕はいつも、写真サイズで1枚ずつめくれる冊子タイプのアルバムを持ち歩いてる。20枚ぐらい入るのかな。今は孫のコタロウの小さかった頃の写真がほとんど。前はママとかおるの写真ばっかりだったんだけど、ちょっとずつ入れ替えているうちに、気が付いたらそうなっちゃった。あるとき、ラインナップの変化に気づいたかおるに「どういうこと!」って怒られたけど、厳選に厳選を重ねた結果なんだからしょうがない。
たくさんのアルバムの中には、いろんな写真が山のようにあるけど、とくに思い入れが深いのは、やっぱり家族を撮ったり家族と撮ったりした写真だよね。かおるにせよコタロウにせよ、そこにはその年齢のときにしか撮れない顔が写っている。早くいなくなってしまったママも、写真の中では元気に笑ってる。声も聞こえてくる。
高木家だけじゃなくて、どの家庭にも思い出がいっぱい詰まった家族写真があると思う。この夏、サザンオールスターズの関口和之君が作ってくれた「パパの手」という曲が、僕の演奏&歌で関口君のアルバム『FREE-UKES』(8月10日リリース)に収録されることになった。今、そのMusic Videoで使う「親子写真」を募集してます。自分のお父さんや子どもと写った写真を応募してください。
今年の夏は、久しぶりにライブも増えて忙しくなるかな。僕にとって思い出はエネルギーの源でもある。夏にたくさんの思い出を作って、ますますエネルギーを蓄えなきゃ。
ブーさんからのひと言
「写真を見ていると、そのときの会話とか気持ちとか、空気感なんかをどんどん思い出すんだよね。だから、写真はとっても大事です」
高木ブー(たかぎ・ぶー)
1933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1964年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。CD『Hawaiian Christmas』『美女とYABOO!~ハワイアンサウンドによる昭和歌謡名曲集~』『Life is Boo-tiful ~高木ブーベストコレクション』など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)など。YouTube「【Aloha】高木ブー家を覗いてみよう」(イザワオフィス公式チャンネル内)も大好評。6月に初めての画集『高木ブー画集 ドリフターズとともに』(ワニ・プラス)を上梓。毎月1回土曜日20時からニコニコ生放送で、ドリフの3人とももクロらが共演する「もリフのじかんチャンネル ~ももいろクローバーZ×ザ・ドリフターズ~」が放送中。親子写真の応募は【関口和之&1933ウクレレオールスターズ feat. 高木ブー 「パパの手」Music Video写真募集】まで(7月17日まで)。→応募はこちらクリック
取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)
1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」など著書多数。最新刊「【超実用】好感度UPの言い方・伝え方」が好評発売中。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。