猫が母になつきません 第312話「ぽすと」
そんな高いところにポストを設置したら配達してくださる方が大変でしょう。でも、母はそんなことはおかまいなし。鍵がだめなら高いところに置けばいいと、知らぬ間にポストを移動していました。私がやめてと言ったことをすべて斜め上をいくやり方で突破していく母…あきらめるということを知りません。一度思い込んだらこだわりを捨てることができないのも認知症の代表的な症状で、対応策として、否定するとより頑固に反発するので否定しないようにとか、受け入れるとか、そのままにしておく、というようなことがよく書いてありますが…無理です!人の迷惑になるようなこともありますし。やんわり受け入れる、なんてことができるのは他人だけ。母も相手が他人であれば反応もまったく違います。親子だからこそのやりたい放題、だからうちではダメなことはダメ!と徹底抗戦なのです。ポストは元の位置へ。母もたいていは一度やったら満足しますし…さらに斜め上のアイデアが繰り出さないことを祈ります(疲)。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。