猫が母になつきません 第311話「ふしぎがる」
母は重度の携帯電話依存症です。とにかくずーっと携帯を手から離すことができません。でも1日にかかってくる電話も数本だし、メールも2〜3通あれば多い方、80代の高齢者としては普通なのではと思います。携帯電話の操作がかなり怪しくなっている母が一日中さわりまくるので、いつもおかしなことが起きてしまう。「川本さんからの電話なのに、出てみたら森田さんなのよ。おかしいわよね?不思議だわー」「電話代はどっちが払ってるのかしら?」。森田さんの電話番号を間違えて川本さんの名前で登録していたことをどんなに説明しても母には理解できないようで、今でも不思議がって人に話しています。スマホ認知症というスマートホンへの依存から発症する認知症が問題になっていますが、母の場合はスマホが使えないのでガラケー認知症? コロナ禍で人と会えなかった期間に母の携帯電話への依存度はぐっと高まりました。そのことがさらに認知症を加速させるとは… ハイパー高齢者として鳴らした母の脳は、今やガラケーでパンク寸前です。
【関連の回】
第302話「メールする」
第297話「へんしんする」
第292話「れんとうする」
第290話「ハブられる」
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。