介護保険外サービスは1時間3000円が目安 その種類と賢い利用方法「模様替え、買い物代行、病院の介添えも」
介護保険を使わず自費でサービスを受ける「介護保険外サービス」が、いま注目を集めている。「保険制度に縛られず、柔軟な使い方ができる点が介護保険外サービスの特徴です」と、介護施設入居アドバイザーの小菅秀樹さんは語る。利用するためのノウハウや注意点について、専門家に聞いた。
介護保険外サービスの活用方法を解説
「コロナ禍のいまは在宅介護や在宅医療を希望する人が増えていますが、看護師やヘルパーが自宅に入る際は必ずPCR検査を受けてほしいと望む人もいる。介護保険外サービスの事業所には、毎回のPCR検査を徹底しているところもあるので、そうした安心の保障も魅力でしょう」
ただし、介護保険サービス同様、医師や看護師以外が行う場合の医療行為は不可となる。居宅介護支援事業などを手がける鐵社会福祉事務所代表の鐵(てつ)宏之さんは、以下のように語る。
「たとえば身体介護で、排泄介助はできますが、便秘を解消するために医療用浣腸を使うことはできません。爪切りも、糖尿病で変形している爪を切るのはNG。医師や看護師に処置してもらうことになります」(鐵さん)
しかし、日本では「家族が介護するもの」という風潮がいまも根強く、周囲の目も気になる。いくら魅力的なサービスでも、利用を踏みとどまる人は多いだろう。老人ホーム検索サイト「LIFULL介護」編集長で介護施設入居アドバイザーの小菅秀樹さんは、家族の仲を良好に保つためにも、利用を検討すべきと話す。
「特に遠距離介護やフルタイムで働いている場合は家族の負担が大きく、疲労がたまりやすい。心に余裕がなくなると、『どうしてそんなこともできないんだ!』と思わず不満を口にしてしまい、関係がギクシャクしてしまうこともある。臨機応変にサービスを利用することが家族全員のためになるのです」(小菅さん)
利用料金は1時間3000円が目安
とはいえ、有料サービスを気軽に利用するのはためらってしまう。だが、必ずしも家計の大きな負担になるとは限らない。
「もし遠距離介護をしているなら、交通費も決して安くないはず。保険外サービスは、1時間3000円くらいが目安です。2週間に1度、1回3時間の利用でも月2万円以下。交通費や、自身が仕事を休んだ分の給料の差額と比較して、納得がいく範囲で利用するといいでしょう」(小菅さん)
介護保険外サービス 地域ごとの1時間の料金相場
東京、大阪:5000~6000円
政令指定都市:2700~5000円
それ以外の地域 2200~4500円
※LIFULL介護調べ
利用回数の決まりもないので、単発で1回だけ利用するのも問題ない。
「保険外サービスで看護師に付き添ってもらい、海外旅行を楽しむことだって可能です。お金はかかりますが、『こんなことができたらいいな』と思うサービスは、たいていどこかの事業所がやっています」(鐵さん)
ただし、大都市の場合は、1時間あたりの利用料が5000~6000円と割高になることも珍しくない。
「1回の利用料はそれほど高額に感じなくても、1か月分の請求書を見て驚いたという人もいます。ですが、ランクによって価格設定の差があるので、安さばかりにこだわると満足度が下がる恐れがある。金銭面と満足度の両方で納得のいく事業所を選ぶことが大切です」と、終末期医療に詳しい看護師の大軒愛美(おおのきまなみ)さん(以下同)