医師がすすめるレンチン野菜スープ 3つの具材で脂肪燃焼、糖尿病リスクを下げる期待も
中高年の女性はホルモンバランスの乱れによって、脂肪がつきやすくなるという。放っておけば脂肪肝につながり、糖尿病を発症するケースも。そうならないために重要なのが、野菜を食べることだが、年齢的に量はたくさん食べられない。そこでオススメなのが、糖尿病患者の治療にも取り入れているという「レンチン野菜スープ」だ。3つの具材効果で脂肪を燃焼し、糖尿病のリスクも下げるという。推奨する医師も実際に飲んでいるという野菜スープの詳しい内容を見ていこう。
肉より野菜を食べた方が長生きする!?
肉を野菜に置き換えると長生きする――。世界中の大学や研究機関はこれを裏づける論文を次々に発表している。
米国立がん研究所(NCI)の研究によれば、動物性たんぱく質の3%を植物性たんぱく質に置き換えた人は、死亡リスクが10%低くなるという。さらに2021年8月には、オンライン学術誌『ネイチャーフード』に、牛肉や加工肉による1日のカロリー摂取量の10%を野菜や果物などに変えると、健康改善が見込まれるとの論文も発表された。
現代人の深刻な野菜不足はスープで解消
にもかかわらず現代人の野菜不足は深刻で、厚労省の目標値が1日350gであるのに対して、平均は288.2gと目標値にほど遠い状況だ。
栗原クリニック東京・日本橋院長で肝臓専門医の栗原毅さんは、野菜をたくさん食べるためには、スープにするのがいちばんだとアドバイスする。
「野菜は加熱することでかさが減り、たっぷり摂ることができるうえ、スープに流れた水溶性の栄養素もすべて余すことなく食べられます。また、焼かずに火を通す煮込み料理は老化の原因を作る『AGE』という物質が発生しづらいというメリットもある。
加えてスープはお腹が満たされやすく、満足感も得やすい。特に中高年の女性は、ホルモンバランスが乱れることにより、更年期障害や肥満、筋力の低下などさまざまな病気や不調に悩まされるうえ、ストレス解消や友達とのつきあいで間食が増え、気がつかないうちに食生活が乱れていることも少なくありません。女性こそ、ぜひ野菜スープを活用して健康を保って」(栗原さん・以下同)
中高年の女性は要注意「脂肪肝」と「糖尿病」
栗原さんが懸念するのは、更年期以降に「脂肪肝」と「糖尿病」発症リスクが大幅に高まることだ。
「閉経とともに女性ホルモンである『エストロゲン』が減少することにより、肝臓に脂肪がつきやすくなる女性は非常に多い。放っておけば脂肪肝になったり、そこから糖尿病を発症するケースも珍しくありません」
レンチンで作る野菜スープで脂肪燃焼!
栗原さんが糖尿病患者の治療に取り入れ、医師として多忙な毎日を送る自身もよく作るのが、電子レンジを使った“レンチン野菜スープ”だ。
「電子レンジなら火を使わずに手軽に作れるので、長く続けやすい。中高年の女性に特におすすめなのが、脂肪を落とし、糖尿病リスクを下げる『にんじん・昆布・セロリのスープ』です」
栗原さんが注目するのは、にんじんと昆布の持つ効能だ。
「米スタンフォード大学の研究によって、にんじんをはじめとしたβ-カロテンが多く含まれる野菜や果物を食べると、糖尿病のリスクを下げることが明らかになりました。昆布のフコキサンチンには、脂肪を燃焼させる働きがあります。一緒に摂れば相乗効果も見込めます」
セロリも脂肪を落とすための心強い味方だ。主成分であるカリウムには脂肪燃焼効果がある。
歯ごたえを残して早食い防止!
「スープを作るときに心がけてほしいのは具材にある程度の歯ごたえを残すこと。特に昆布やセロリはゆっくり噛むことで、満足感を得られやすくなります。“早食い”は食後血糖値を上げやすく、脂肪肝や糖尿病のリスクを上げるので要注意です」
「にんじん・昆布・セロリのスープ」の作り方
脂肪を燃やして糖尿病に打ち勝つ!
作り方(2人分)
【1】セロリ80gは斜めの薄切り、にんじん60gは細切りにする。細切り生昆布60gは長ければ食べやすい長さに切る。
【2】耐熱容器に、【1】とだし汁11/2カップを入れ、ふんわりラップをかけて600Wの電子レンジで4~5分加熱する。
【3】【2】を取り出し、しょうゆ小さじ2/3と塩少量で味を調える。
教えてくれた人
栗原毅さん/栗原クリニック東京・日本橋院長・肝臓専門医
撮影/矢口和也 イラスト/勝山英幸
※女性セブン2022年2月10日号
https://josei7.com/
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